1 どのような場合に監理団体の変更を検討すべきか

技能実習制度には企業単独型と団体監理型の2つの方式がありますが、現地法人を持たない中小企業にとって企業単独型を導入することは困難であり、現実的には団体監理型により、監理団体を通じて技能実習生を受け入れることしか現実的には採用し得ないと思います。

そのため、技能実習生を受入れる中小企業にとっては、ほぼ必然的に監理団体との付き合いが生じますが、この監理団体に対して不満を抱き、監理団体を変更したいと考えることがあります。

 

監理費が高額な場合

よくある不満としては、監理費が高額というものです。

団体監理型の技能実習生を受入れる際に必要なコストとなるのが監理団体に支払う監理費ですが、経営が楽ではない中小企業にとって少しでもコストを抑えたいという発想になるのはある意味当然かもしれません。

もっとも、金額だけに目を向け、単に高額なのが不満だとか、とにかく安くしたいというのであれば立ち止まって考える必要があります。監理団体には、監査や技能実習生のサポートなどの監理業務があり、それをしっかりと行ってくれた結果、ある程度の金額の監理費が生じているのであれば、それは技能実習生を受入れる以上必要なコストであり、カットするのは適切ではありません。

金額だけを重視して、監理費が安い監理団体に変更したとして、監理業務が手抜きというのでは元も子もありません。

管理費の額を問題視するのは、まともに監理業務を行ってくれないのに、監理費が不相応に高額という場合です。そのような場合は、監理団体の変更を検討しても良いかもしれません。

 

業務内容に不満がある場合

技能実習生のサポートをしっかりやってくれない、監査をどうもしっかりやっていないなど、監理団体の監理業務の内容に不満を抱く場合があります。いろいろと相談をしているのにしっかり対応してくれないとか、質問をしたときの担当者の反応が悪く、どうも十分な知識を持っていないと疑われる場合もあるかもしれません。

監理業務をしっかりと行わない、あるいは行えないのであれば、監理団体として不適格であり、変更する必要が高いと言えます。こちらから指摘しても改善の傾向がない場合は、監理団体の変更を検討したほうがよいかもしれません。

 

人材に疑問がある場合

技能実習生は監理団体から派遣されますが、この技能実習生の資質、素行に疑問を感じる場合があります。技能実習生は、現地で基礎的な訓練を受けて送り出されているはずですが、基礎的な技能を全く欠いていると感じられる場合もあるかもしれません。

そもそも、監理団体は現地の送出機関と契約を締結し、送出機関から技能実習生を受入れています。この送出機関に問題がある場合があります。送出機関は、現地の各国で登録を受けてはいるものの、悪質な業者も紛れ込んでおり、技能実習生から高額な保証金を徴収したり、高額な借金を背負わせている業者、まともな訓練を行わない業者があるといわれています。このような送出機関から派遣されてきた技能実習生は、やむを得ず短期で高額な報酬を得る目的で失踪するなどのリスクがあります。外国人技能実習機構もこれを問題視しており、2021年6月、失踪者が多発している送出機関について、新規の技能実習生の受け入れを停止する措置を発表しました。

悪質なブローカーまがいの送出機関に食いものにされる技能実習生を生じさせないためにも、このような悪質な送出機関から技能実習生を受けて入れてはなりませんし、悪質な送出機関から技能実習生を受入れている監理団体との関係は絶つべきでしょう。

 

2 監理団体の変更の方法について

外国人技能実習機構は、「よくある質問」の中で、監理団体の変更手続につき「実習監理を行う監理団体を変更したいのですが、どのような手続 きが必要ですか。」の問いに対し、「対象となる実習実施者、実習生、変更前後の監理団体及び取次送出機関の5者の間で、監理団体の変更について同意を得ることが望まれます。」という回答を掲載しています(2021年8月5日現在)。

したがって、実施実習者(受入れ企業)が監理団体の変更を行おうとする場合、技能実習生、変更前の監理団体、変更後の監理団体、取次送出機関の同意を取り付ける必要があります。

もっとも、これらのうち、変更前の監理団体については、強く反発してくる場合があります。いかに交渉を行って説得するかが課題となります。外国人技能実習機構も、同意が絶対条件であるとはしていないと解されますので、同意を得ないで監理団体の変更ができないか、外国人技能実習機構と協議して手段を模索する場合もあり得るかもしれません。

このように監理団体の変更には難易度の高い手続を経る場合がありますが、実績のある当事務所の弁護士にご相談ください。

   
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