不法就労助長の摘発の増加

不法就労助長罪の摘発が続いています。不法就労助長罪は、在留資格制度の根幹を揺るがす犯罪とされ、以前から摘発がなされてきました。

しかし、数年前から摘発の風向きが変わってきたように思います。

 

不法就労助長には、大きく分けて3つのパターンが存在します。

 

オーバーステイを含む不法滞在者等を雇用・派遣する場合

オーバーステイの外国人(在留期限を過ぎて滞在する外国人)や、もともと不法入国した外国人(偽造パスポートで入国する場合等)を雇用してしまう場合が典型例です。

 

(在留資格はあるが)就労の許可を得ない外国人を雇用・派遣する場合

短期滞在の外国人を雇用してしまう場合が典型例です。

 

就労資格がある外国人を、認められた範囲を超えて雇用・派遣する場合

技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)の外国人をいわゆる現業作業に従事させる場合(例外的に許される場合を除く)、

資格外活動許可を得てアルバイトとして就労する留学生につき制限時間を超過して働かせる場合が典型例です。

 

数年前まで、不法就労助長で摘発される事案といえば、密入国者(不法在留者)やオーバーステイの者(不法残留者)を雇用している事案、すなわち①や②の事案が大半でした。

①や②の事案は、違法であることが明らかですから摘発されて当然といえます。

ところが、最近はこのような場合に当てはまらない摘発事例が増えています。

 

近年の不法就労助長罪摘発の傾向

典型例としては、③の事案、すなわち、技人国の外国人を現業作業に従事させる場合や、制限時間を超過してアルバイトの留学生を働かせたような場合が増えています。

就労した外国人は在留資格を得ていますし、就労することも可能ですが、

時間制限や業務の制限を逸脱したという場合であって、①の事案よりも悪質性は低いと思えるかもしれません。

 

しかし、最近はこのような③の事案でも不法就労助長罪の摘発が続いていますし、有名な企業が摘発された事例も相次いで報道されています。

現在では、当局が①のみならず②や③も積極的に取り締まろうという方針であると考えられますから、

外国人を雇用している企業としては違反にならないよう十分に意識する必要があります。

 

不法就労助長状態を放置することのリスク

不法就労助長状態を放置することのリスクとして、以下のような点が挙げられます。

 

逮捕・勾留されて処罰をされる可能性

不法就労助長は犯罪であり、処罰をされる可能性が生じます。

全てではありませんが、組織的な犯行と疑われる場合や悪質性が高いと判断される場合等には、関係者が逮捕・勾留をされる場合もあります。

逮捕・勾留されることの悪影響はいうまでもありませんし、処罰をされることも関係者にとって重大なペナルティとなります。

また、逮捕にともなって報道をされるケースも増えており、これも大きなリスクです。

 

技能実習生や特定技能外国人の受入制限

不法就労助長を行ってしまうと、法律上5年間は技能実習生や特定技能外国人の受入れができなくなってしまいます。

また、現在受入れているこれらの外国人につき、雇用を継続できなくなる場合もあります。

技能実習生に関しては、受入企業が出入国管理に関する法令違反を行ったために、技能実習計画の認定を取り消され、雇用を継続できなくなるケースが相次いで発生しています。

 

職場環境の悪化

不法就労助長を行っている職場では、倫理観が欠如し、職場環境が悪化していきます。不法就労助長以外の違法・不法行為が生じる場合がありますし、

他の犯罪に巻き込まれるリスクも生じます。また、従業員全体の士気低下を招きかねません。

 

不法就労助長への対応は専門家にご相談ください

当事務所では、入管法や労働法等を横断した知識を持ち、更に検事として不法就労助長罪等の刑事事件に携わり、

弁護士としても各種不正調査事案に関与した経験を有する弁護士が、外国人を雇用する企業を全面的にサポートいたします。サポート内容は以下の通りです。

臨時外部監査・定期的な外部監査

自社で不法就労助長が発生していないか不安な方、緊急にチェックをしたい企業に向けて、不法就労助長を行っていないかの外部監査を行います。

臨時外部監査を行って、不法就労助長が発生していないかをチェックするのみならず、その後も定期的に外部監査を行うことも重要となります。

 

不法就労助長を防止するための体制構築のサポート

外国人を雇用している企業向けに、不法就労助長を発生させないための体制構築サポートを行います。

企業の業務内容を分析し、どのようなリスクがあるのか、そのリスクを回避するためにどのような体制を構築し、

どのような運用をしていくのが望ましいかなどの点についてアドバイスいたします。また、ご要望により、従業員様向けの研修等も行います。

 

発覚時の対応

自社において不法就労助長の事案が発覚してしまった場合、入管や捜査当局から指摘を受けた場合、刑事事件化してしまった場合の対応を行います。

企業のダメージを少しでも緩和できるよう、捜査機関を含む当局に対して適切に対応いたします。

また、不正調査として、事案の調査、原因解明、再発防止策の提言を行います。

 

外国人労務顧問業務

以上の業務は、スポット業務としても対応いたしますが、継続的かつ総合的なサポートが必要な場合は、外国人労務顧問業務も提供しております。

外国人労務顧問業務では、1から3の業務はもとより、外国人雇用・労務問題全般に対するサポートを行います。

必要に応じてグループの行政書士法人その他の専門家と協働し、外国人雇用・労務に関する総合的なサポートを提供いたします。

   
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