契約を有利に進めることを目的とした業務委託契約 業務委託契約(準委任契約書) 後から紛争とならないように適切な内容で契約を締結したい経営者の方へ

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業種別活用法アドバイス

IT・ソフトウェア業界 / ベンチャー・スタートアップ業界 / 運送・運輸業界 / 建設・建築業界

  • 契約書の内容によってはその他必要書類があります。

業務委託契約における契約書のビジネス上の活用法について弁護士が解説 (雛形有り)

雇用関係に関わらず、自社の業務やサービス提供を他社へ依頼するときに締結する契約を「業務委託契約」といいます。当契約におけるお互いの合意や契約内容を証明するため、契約締結時には「業務委託契約書」を取り交わすことが一般的です。

業務委託では、受託者が契約で定められた業務を行わなかったり、解約に伴って損害賠償を請求されたり等、当事者間でトラブルが発生しやすい契約です。こうしたトラブルを回避しつつ、委託した業務の質を確保するためにも、業務委託契約書の作成が必須です。既にテンプレートがあるという場合でも、取引内容や法改正に応じて項目を変更したり、更新したりする必要があります。

ここでは、業務委託契約書を作成する際に確認すべき点や、企業における業務委託契約のメリット・デメリット等を解説します。

業務委託契約(準委任契約書)のポイント

  1. 請負型・委任型のどちらが適切かを事前に検討する
  2. 再委託の有無を事前に確定させておくことが重要
  3. 損害賠償の範囲について、委託者・受託者双方で事前に合意を得るとこもポイント
業務委託契約(準委任契約書)の注意点

  1. 請負型・委任型でそれぞれ成果物や実行されるべき業務を定義することが重要
  2. 委託する業務の範囲を明確にしておくことが重要
  3. 再委託の可否について、契約締結前に注意する必要がある

業務委託契約書作成の注意点

業務委託契約書は、ビジネスにおいて頻繁にやり取りされる契約書とあって、現在インターネット上には無料でダウンロードできるひな形が多く公開されています。ひな形をたたき台として利用するのであれば問題ありませんが、流用するのは好ましくありません。契約に伴って起こりえるトラブルや裁判沙汰を回避するためにも、以下のような点に留意し、自社の実情に合わせた業務委託契約書を作成しましょう。

請負型か委任型か

業務委託には「請負型」と「委任型(準委任)」の2種類があります。両者の違いについては、また後ほど詳しくご説明しますが、契約内容や仕事の目的から見て「どちらが適切であるか」を慎重に検討する必要があります。

請負型は当事者の一方が仕事を完了させ、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約であるため、記事制作やソフトウェア製品の開発業務等を委託する際に用いられます。一方、委任型は業務の“実行”を目的とした契約であるため、アプリの保守運営や受付業務、法律事務所への弁護相談や依頼等を行う際に締結されることがあります。

偽装請負の対象にならないか

書面上、形式的には請負(委託)契約ですが、実際には労働者派遣であるものを「偽装請負」といいます。請負型の業務委託契約は民法上、労働の結果としての仕事の完成を目的とするものであり、労働者派遣と違って、委託者と受託者側の従業員との間に直接的な指揮命令関係は生じません。

仮に請負・委託契約を締結したうえで、委託者が受託者側の従業員に対して業務に関連する詳細な指示を出したり、出退勤の時間を管理したりすると、偽装請負に該当するとして処罰を受けるおそれがあります。偽装請負にならないよう、契約書内には「委託者側に指揮命令権がないこと」「受託者側の従業員は、自己判断で業務を行うこと」等の項目を追加しておきましょう。

再委託を禁止するか否か

委託者から請けた案件の一部もしくは全てを、受託者が第三者へ委託することを「再委託」といいます。委任型の業務委託契約においては、委託者からの許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ再委任ができません。一方、請負型の業務委託契約は仕事の完成が目的であり、受託者側が手を加えずとも契約で定められた業務を完遂できれば問題ないため、再委託が可能となります。

しかしながら、業務に関わる人間が増えるほど、情報漏えいや業務クオリティの低下といったトラブル発生のリスクが高まるため、業務委託契約書には「本業務の全部もしくは一部を第三者へ委託してはならない」と記載し、再委託の禁止を明確にしておくのが無難です。もし再委託を許可するのであれば、事前に委託者からの許諾を得ること、再委託先に対しても契約内容を遵守させること、受託者が再委託の責任を負うこと等の条件を定めることが大切です。

業務委託契約の企業側にとってのメリット・デメリット

業務委託契約の締結は、企業にどのようなメリット・デメリットをもたらすのでしょうか。

企業における業務委託契約のメリット

業務委託契約における大きなメリットとしては、自社内の人材を有効活用できることが挙げられます。定型化できるノンコア業務を外部へ委託することにより、自社内の人材をコア業務にしっかりと集中させられ、企業全体の生産性向上に繋がります。

また、専門性の高い業務をノウハウやスキルをもった第三者に委託することで、自社の従業員に対する教育や新たな人材採用が不要となります。その結果、コスト・時間を抑えながらの品質維持または向上が実現するのです。

さらに、受託者は従業員に該当しないため、委託者側は各種保険料を負担する必要がありません。なおかつ労働法が適用されないため、法定労働時間や最低賃金法等に縛られず、自社のスケジュールや採算を優先しながら業務を進めることが可能です。

企業における業務委託契約のデメリット

受託者は自社に所属する従業員ではないため、専門性の高い業務を外部に任せてしまうと、自社内にスキルやノウハウが蓄積していきません。企業全体の成長性が見込めない点は、企業にとって大きなデメリットといえるでしょう。また、高度な技術やスキルを要する業務は報酬金額が高額になりやすく、自社で新たに従業員を雇うよりもコストがかかる可能性があります。

業務委託契約と委任契約、請負契約の違い

業務委託契約と呼ばれるものの多くは「委任契約」もしくは「請負契約」に分類されます。

委任契約は法律行為をすることを相手に委託する契約のことをいい、法律行為でない事務を委託する場合は純委任契約と呼ばれます。いずれも業務の“実行”を目的とした契約であり、仕事の完成に関わらず報酬が発生します。これらの成果実現の危険については、委託者が負担すると定められています。

一方、請負契約は仕事の完成に対して対価を支払う契約のことをいいます。委任契約とは違って仕事の完成が目的となるため、業務を遂行させなれば報酬は発生しません。なお、ここでいう仕事とは労務の結果によって発生するものを指しており、有形・無形は問いません。例えば、建設工事やソフトウェアの制作といった目に見えるものもあれば、警備や清掃といった無形的なものも含まれます。成果実現の危険については、受託者が負担しなければなりません。

また、請負契約書は印紙税がかかる課税文書であるのに対し、委任契約書(7号文書を除く)は非課税文書となります。印紙税額は書面にかかれた報酬額によって変動し、100万円以上200万円以下であれば400円、50億円以上であれば60万円の印紙税を支払う必要があります。

 

業務委託契約締結の手続きの進め方

  • 業務委託を考えている企業経営者様 業務委託を受託する側の企業経営者様
  • (弁)キャストグローバルがお手伝いできること
  • 専門家への相談・意志決定

    業務委託契約の検討

    委託したい業務内容、あるいは、受託する業務内容については、専門家への相談の前に決定していることが多いでしょう。委託側も受託側も、業務実態に即し、よりビジネスを加速させリスクの少ない業務委託を実現できる契約内容を吟味することが重要です。
    同時に、従来からの業務委託契約についても、長年の間に業務実態との乖離が生じていることもあるでしょう。また法律の改正というのが頻繁にありますので、その点を考慮した業務委託契約へとアップデートが必要です。
    経営者・業務責任者は上記のような経営上の観点を押さえつつ、自社にとってベストな業務委託契約を締結することが望ましいです。

    法的観点における注意点

    業務委託契約の締結は、厳密には業務委託契約書だけで完結せず、基本契約に個別契約を伴う形で整備される必要があったり、また、内容によっては、業務委託契約というタイトルの契約書でありながら、請負契約の内容であったり、その実態的な内容に応じて、適切な契約の座組を整える事が重要となる契約です。
    キャストグローバルは、これまで100社以上の企業様に多数の業務委託契約の締結をサポートしてきました。業務内容や事業の将来性に応じた、適切な業務委託契約が事業を成功に導きます。

  • 協議

    業務委託契約締結に向けた契約書作成・協議

    業務委託契約を締結を持ちかけられている側か、締結を持ちかける側かで、契約書作成時点や交渉の際に注意すべき事柄が変わってきます。業務委託契約は、様々なシーンで出てくる契約であり、比較的身近な契約であるからこそ、内容について十分精査せず締結していることも多いことが想定されます。気付かないうちに持ちかけている側からすると不利益な内容になっていることも十分に考えられます。

    業務委託契約の締結に向けた専門家とのすり合わせ

    適切な業務委託契約を締結するためには、下記についてクリアにしておくと良いでしょう。

    • ・契約種類と委託業務の内容
    • ・再委託の可否
    • ・報酬の支払いタイミング
    • ・納品及び検収に関する規定
    • ・契約不適合責任
    • ・契約の有効期限
    • ・契約の解除条件
    • ・秘密保持条項
    • ・成果物の知的財産権の帰属
    • ・損害賠償
    • ・その他一般条項

    委託する業務の内容を明確にしておくことにより、トラブルを少なくすることができます。また、その他の必要な契約条項についても協議段階において、できるだけ専門家とすり合わせをしておくことが、リスク軽減の見地からは重要です。

  • 業務委託契約締結
  • 契約後対応

    契約後に必要な対応

    業務委託契約では通常委託期間について定められています。どのくらいの期間生じる業務なのか、業務内容は変更されない前提なのか、それらに応じて、契約更新の仕方についても変わってきます。

    クロージング

    業務委託契約書には自動更新条項を含むことがしばしばあります。
    同条項によって手間が省ける反面、思わぬ契約内容をよく理解しておかないと、思わぬトラブルが生じることもあります。
    契約書は、最初に契約締結した後も定期的に確認・更新が必要です。

  • その他トラブル

    業務委託契約締結後のトラブル

    業務委託契約締結後に残念ながらトラブルや想定外の事柄が生じることは多々あります。
    実際に業務を始めてみたところ業務内容が契約書の記載内容とズレが多く見直しが必要となったり、委託先のパフォーマンスが想定外に悪く途中解約したい、あるいは支払いにおいてトラブルが生じたなど枚挙に暇がありません。

    継続的なトラブル対応

    契約書の締結時点で詳細な検討ができていれば防ぎうるトラブルもあれば、実際の業務が始まらないと契約書の穴に気が付かない場合もあります。生じてしまったトラブルへの対応、並びに契約書自体の見直しについても専門家が即座に対応します。

この記事に関するお客様からのご質問

納品物の品質が悪かった場合、後から契約を解除できますか?

検査が完了し、納入物の引き渡しが終わった後については、契約不適合責任に基づく解除が認められる可能性があります。契約書の当該条項がどのように定められているかを契約締結前に確認しておくことが重要です。

発注した業務が納期までに完了しなかったのですが、どのような請求をすることができますか?

一般的には債務不履行に基づく損害賠償や契約解除が認められることになります。ただ、損害賠償の場合、損害の内容を立証することが困難な場合もあり、また、契約解除までするのは双方にとって不利益が多い場合もあります。そのような場合は、予め、納期から1日遅れるごとに報酬の何パーセントといった損害賠償の予定を定めておくことも一案となります。

同じ相手に何度も同じような業務を委託するような場合であっても、毎回契約書を締結しないといけませんか?

同じ相手と何度も同じような契約を締結するような場合には、予め契約の基本事項を定めた基本契約を締結し、個別の発注については、注文書・注文請書により個別契約を締結するといったやり方が一般的です。

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