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 借主様向け 不動産トラブルお役立ちコラム
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一軒家(持ち家・賃貸)の立ち退き料の相場は?5つのシーン毎に解説

突然、お住まいの一軒家の立ち退きを求められている方。
提示された立ち退き料の金額が妥当なのか、気になっているのではないでしょうか。
結論、借地上の持ち家・一軒家の立ち退き料の相場は、400万円~1,000万円です。
ですが、一軒家を賃貸しているといったこちらの事情、道路拡張・再開発など相手が立ち退いて欲しい理由など、シーンによって相場は大きく違ってきます。
そこで今回は、持ち家の立ち退き料を中心に、シーンごとに実際にもらえる立ち退き料の相場はいくらなのかについて解説していきます。
なお、一軒家に限らず立ち退き料の相場全体について知りたい方は、「立ち退き料の相場は?7つのケース毎にいくらもらえるか・内訳を解説」をご覧ください。

【この記事でわかること】

  • 「一軒家の立ち退き料の相場」は5つのケースごとに異なる。
    1. 道路拡張による一軒家の立ち退き料→立ち退き料=土地の価格+移転補償
    2. 区画整理による一軒家の立ち退き料→立ち退き料=土地の価格+移転補償
    3. 再開発による一軒家の立ち退き料→土地の価格(+建物の価格)+移転費用+α
    4. 借地上の持ち家による一軒家の立ち退き料→立ち退き料=400万円~1,000万円
    5. 戸建て賃貸による一軒家の立ち退き料→立ち退き料=60万円~100万円
  • 「立ち退き料」とは、立ち退く代わりにもらうものであり、ほとんどの場合に支払ってもらえる
  • 立ち退き料をアップする3つのコツ!
    1. 借地権価格を引き上げる
    2. 正当事由を分析する
    3. 建物価値を引き上げる
  • 立ち退き料の額の10%ほど税金でもっていかれることに注意
  • 立ち退き料の交渉を弁護士に依頼する3つのメリットと1つのデメリット
    1. 【メリット①】:立ち退き料を増額できる
    2. 【メリット②】:正当事由が弱いと反論できること
    3. 【メリット③】:面倒な交渉・手続き・税金まですべて依頼できること
    4. 【デメリット①】:弁護士費用がかかること

目次

1.一軒家の立ち退き料の相場

まず、立ち退き料の相場について、「持ち家」の立ち退きが求められている状況ごとに見ていきましょう。

1)持ち家の場合

立ち退きのシーン 立ち退き料の相場・計算方法
道路拡張 土地の価格+移転補償
土地区画整理 土地の価格+移転補償
再開発 土地の価格(+建物の価格)+移転費用+α
借地上の持ち家 400万円~1,000万円

2)賃貸の場合

他方で、お住まいの一軒屋が賃貸の場合の立ち退き料の相場についても確認しておきます。

大家都合

60万円~100万円

家賃の6ケ月分~10ケ月分

立ち退きのシーン 立ち退き料の相場・金額
建物の立替え

2.立ち退き料とは

一軒家の立ち退き料がいくらもらえるのか?を理解するためには、そもそも立ち退き料とは何かを知っておく必要があります。
「立ち退き料」とは、立ち退くかわりに受け取る金銭をいいます。
その根拠は、個人の家主から立ち退きを求められている場合には「借地借家法」、国や自治体側の都合で立ち退きを求められている場合には「都市計画法」などの法律に基づき支払われます。
いずれにせよ立ち退きは、あなたからすれば急な事情で多くの損失を受けるので、立ち退き料という形でその損失を補填してもらえるのです。
その金額・相場については、立ち退きを求められるシーンごとに異なります。
そこで以下では、立ち退きを求められるシーンごとに一軒家の立ち退き料の相場をみていきましょう。

3.道路拡張による立ち退き料

シーン 計算方法
道路拡張 立ち退き料=土地の価格+移転補償

都市計画道路などによる「道路拡張」が必要だということで立ち退きを求められるシーンです。
都市計画道路は、「都市計画法」という法律に基づいて国や自治体の事業として作られる道路です。
あちらの都合で一軒家を取り壊して立ち退く以上は、立ち退き料をもらうことができます

1)道路拡張における一軒家の立ち退き料の相場

道路拡張で一軒家(持ち家)を立ち退く場合の相場は「立ち退き料=土地の価格+移転補償」できまります。

①土地の価格

「土地の価格」は時価を意味します。その「時価」の基準となるのが公示地価といわれるものです。
公示地価とは、毎年3月に国土交通省によって公示されるもので、公共事業用地の取得価格算定の基準になります。

②移転補償

物件移転に関するあらゆる損失に対する補償です。
建物などを移転するのに必要な費用、移転の間に得られない利益など移転に関する様々な補償をしてもらえます。
例えば、建物を移転する費用と引越し費用などです。

2)具体例で見る道路拡張における一軒家の立ち退き料

道路拡張で一軒家(持ち家)を立ち退く場合の相場は「立ち退き料=土地の価格+移転補償」です。
例えば、以下の道路拡張のケースでは、一軒家の立ち退き料は52,873,000円になります。
土地面積90㎡に木造2階建(120㎡)の一軒家(持ち家)が立っている想定です。
詳しくみていきましょう。

①土地の価格

本件の土地の価格は、27,000,000円です
1㎡当たりの価格×明け渡す土地の面積で計算します。
公示時価は1㎡あたりの価格が定められており、本件土地の1㎡当たりの価格は300,000円で、道路のために立ち退く土地の面積が90㎡です。
計算式は300,000×90(=27,000,000円)となります。

②移転補償

建物を解体する費用として、1,089,000円、建物を再建築する費用として、24,684,000円です。
建物の移動は、曳家(ひきや:現在の建物をそのまま移動させる)が困難である場合は、解体して再築となります。
木造建物の解体は、1坪あたり30,000円の費用がかかりますので、建物面積120㎡であれば36.3坪ですから、計算式は30,000×36.3となります。
木造2階建の建物の建築費用は、1坪あたり680,000円で、36.3坪ですから、計算式は680,000×36.3となります。
引越し費用として、アップル引越しセンターなど業者にかかる費用で、家族4人分として15万円です。

4.土地区画整理による立ち退き料

シーン 計算方法
土地区画整理事業 立ち退き料=土地の価格+移転補償

周囲一帯の道路が狭かったり、入り組んだりしているため、整備する必要があるとして立ち退きを求められるシーンです。
土地区画整理事業」は、入り組んだ区画を整理し、道路、公園、河川等の公共設備を整備・改善して、整えた区画の市街地に作り変える事業です。

土地区画整理は、「都市計画法」という法律に基づいて国や自治体の事業として整理されます。
この際、立ち退き料をもらえる場合と、もらえない場合の2パターンあるのが特徴です。
一つは、持っている土地を立ち退き、整えた区画に代わりの土地をもらうパターンです。
新しい土地をもらえるので、立ち退き料はもらえません。
これに対して、整えた区画に土地をもらわないで、立ち退くこともできます。
この場合、あちらの都合で一軒家を取り壊して立ち退く以上は、立ち退き料をもらうことができます
それぞれについて詳しくみていきましょう。

1)土地区画整理における立ち退き料(換地処分)

整えた区画に代わりの土地を受け取る場合は、同じ価値の不動産と交換したのであり、立ち退き料はありません
ですが、計画どおりにいかなかったり、同じ価値の土地の交換とならなかった場合に、清算金を受け取ります(支払う場合もあります)。
従前の宅地価格と換地価格を比べつつ、他の方との公正さなどを検討して、清算されます。
なお、一般的に、代わりにもらえる土地の面積は狭くなりますが、この点の補償はありません。
区画が整えられたことで土地の価格が上がるとされるため、面積が減らされても、持っていた土地と価値は同じだからです。

2)土地区画整理における立ち退き料(換地不交付の清算金)

整えた区画に代わりの土地をもらわないで、立ち退き料(清算金)をもらえます。
土地区画整理事業で一軒家を立ち退く場合は「立ち退き料=土地の価格+移転補償」です。
土地の価格とは土地の時価であり、公示地価を基準にします。
移転補償とは、建物を移転するための解体費用、再建築費用、引越し費用です。
例えば、先ほどと同じ土地面積90㎡に木造2階建(120㎡)の事例では、立ち退き料は52,873,000円になります。

5.再開発による立ち退き料

市街地再開発事業など法律に定められた再開発、民間企業が行う再開発によって立ち退きを求められるシーンです。
再開発」とは、国、自治体や民間企業が都市の機能更新や環境を改善するために行われます。
再開発となった場合、立ち退く代わりに再開発後の不動産の権利(権利床)を受け取るか立ち退くかを選ぶことができます。
新たな不動産を受け取る場合は、立ち退いた後、再開発後の建物が完成するまでの数年間他の場所で待たないといけないため、それに必要な費用は受け取れます。
例えば、土地と建物を所有していた人が、再開発後の高層ビルのワンフロアの権利を受け取る場合です。
立ち退いた後、更地にして高層ビルが完成するまで、数年間かかってしまいます。
その数年間、別のところで生活しなければならず、家の賃料、引越し費用が余計にかかってしまうので受け取ることができます。
立ち退くことを選んだ場合は「立ち退き料=土地の価格+移転補償」を受け取れます。
土地の価格とは土地の時価であり、公示地価を基準にします。
移転補償とは、建物を移転するための解体費用、再建築費用、引越し費用です。
例えば、先ほどと同じ土地面積90㎡に木造2階建(120㎡)の事例では、立ち退き料は52,873,000円になります。

1)民間再開発における立ち退き料

シーン 計算方法
民間再開発 土地の価格(+建物の価格)+移転費用+α

再開発の中には、通常の再開発である「法定再開発」のほか、法律に基づかない「民間再開発」というものがあります。
再開発後の権利をもらう場合と単に立ち退く場合があるのは、同じです。
再開発後の権利をもらう場合は、明け渡す土地と同価格の区分所有権などを受け取り、その他これらに必要な費用が受け取れます。
ここまでは同じですが、民間再開発には特殊な点があります。
民間再開発は、法律による強制的な立ち退きではないので、借地借家法の保護があり、立ち退きが認められるには正当事由が必要です。
「借地借家法」という法律で、借主を貸主から守るために「正当な事由(やむを得ない理由)」がない限り立ち退きは認めないとしています。
「正当事由」とは、裁判所が、大家さん側の事情、こちらの事情を考慮して、立ち退くことが必要だと判断することです。
ですが、民間再開発の場合は、民間企業の利益を中心としているため、十分な正当事由がありません。
この場合は、立ち退き料を払って、足りない正当事由の穴埋めをします。
正当事由が足りなければ足りないほど、借主がもらえる穴埋めするための立ち退き料がより多額になります
再開発による利益が目的である場合は正当事由が全くないといえます。
ですから、交渉次第では、+αとして相当高額の立ち退き料を受け取れる場合があります。

2)再開発によって受け取る権利(権利床)に不満がある

再開発による権利変換で受け取る予定の権利(権利床)は、従前の土地の価値とおおむね同価値になります。
ですが、ものの価値は誰が見ても明らかというものではありません。
同価値とは思えないとか他の地権者との関係で納得できないなどがあれば、納得する説明を求めましょう。
場合によっては、受け取る権利を大きくしてもらうか立ち退き料を増やしてもらうことができます。

6.借地上の持ち家・一軒家

用途 立ち退き料の相場・計算方法
住宅 戸建て 400万円~1,000万円

立ち退き料=借地権価格×(1-正当事由)+引越し費用(+建物価格)

借地上の持ち家・一軒家の立ち退き料の相場は、400万円~1,000万円です。
立ち退き料の内訳は、「借地権の価格+引越し費用+建物価格」になります。
(ⅰ)「借地権の価格」とは、土地を使う権利の価格です。
借地権(土地を使う権利)は、更新を繰り返すことができ、半永久的な権利です。
半永久的に使える権利ですから、価値が高く、更地価格の7割~8割です。
正当事由の強さに応じて減らされることになり、借地権の価格が6,000万円もあるにもかかわらず、正当事由が強かったため、立ち退き料が600万円になった事例があります。
(ⅱ)「引越し費用」は、実際に引越しするためにかかる実費で、アップル引越しセンターなどの引っ越し業者に支払う費用です。
(ⅲ)「建物価格」とは、所有する借地上に建っている建物を放棄して立ち退くことになりますから、その建物の価格になります。
契約の期間終了時に立ち退くことになれば、建物の買い取るように請求することができます。
よくみられる立ち退きを求められるシーンとして、大家都合の場合、建物の建替えの場合を見ていきましょう。

1)大家都合での立ち退き

大家さんの都合の正当事由がどれくらい強いかがあなたがもらえる立ち退き料の金額に大きく影響します。
正当事由が強いと、立ち退き料の金額は少なくなります
大家都合の立ち退きとして、よくある理由は以下のような事例です。

  1. 駐車場にしたい。
  2. 自らの事業拡大のため、店舗を建設したい。
  3. 老後の自らの生活費をねん出するために、アパート経営をしたい。
  4. デベロッパーと連携して開発したい
  5. 自分が住むところがなくなり、そこに住む必要がある。

正当事由の強さとは、大家さんがこの土地を使わなければならない理由の強さであり、もっとも強いものは、大家さん自らが住む必要がある場合です。
AからEの順にだんだんと正当事由が強くなっていきます。
具体的に見てみましょう。
老後の自らの生活費をねん出するために、アパート経営をしたいから立ち退いて欲しいという事案で、立ち退き料が3,000万円でした。
どれくらい正当事由が強いかですが、大家さんの収入はもう間もなく定年を迎えるためになくなる可能性がありますが、その他の資産状況を考えると、本件不動産から得られる地代がないと生活に困るとまでいえない。
一方で、こちらは借りている土地に家を建てて家族で住んでいます。
正当事由が弱く、立ち退きを拒否できる事案です。
ですが、納得した立ち退き料を受け取って自主的に立ち退きました。
土地の時価は2,000万円で借地権価格はその8割の1,600万円です。
これに加えて、本来立ち退く必要がないのに立ち退く代わりに、+1,400万円となりました。

2)建物の立替えによる立ち退き

老朽化のためまたは耐震性が足りないために建替えするので立ち退いて欲しいというシーンです。
正当事由がどれほどになるかということですが、結論、正当事由はめちゃくちゃ弱いです。
そのため、そもそも立ち退く必要すらないことも多く、仮に立ち退くなら立ち退き料が高額になる傾向があります。
土地の時価が2,000万円とすると、借地権価格はその8割の1,600万円が立ち退き料になる、といった具合です。
さらに交渉によっては、これに上乗せで+1,500万円、3,500万円もの立ち退き料をもらえることもあるでしょう。
古いし、建替える必要がありそうだなとか例えば旧耐震基準の建物だからで建替えないといけないといった理由はもっともらしく聞こえるかもしれません。た方がよさそうだなと思うかもしれません。
※旧耐震基準=1981年5月31日までの基準で震度5強程度で倒壊しない。
ですが、当時適法に建てられた建物であり、現在においても違法性はありません。
老朽化、耐震基準に満たないということで正当事由が認められることはほぼないため、立ち退き料は高額になる傾向にあるのです。
立ち退かなくてもいいですが、納得する立ち退き料を交渉で引き出して、立ち退くというのもありです!
土地の時価が2,000万円とすると、借地権価格はその8割の1,600万円です。
これに上乗せで+1,500万円、3,500万円の立ち退き料をもらって立ち退くというのもアリです。

7.戸建て賃貸物件

用途 立ち退き料の相場・計算方法
住宅 戸建て 60万円~100万円程度:家賃の6ケ月分

立ち退き料=借家権価格+引越し費用+新物件の仲介手数料+家賃増加分等の補償

賃貸戸建て住宅の立ち退き料は、60万円~100万円程度、月額賃料の6ヶ月〜10ヶ月が相場です。
あくまでも相場(目安)なので、家賃の3ヶ月分を提示されたり、家賃の15ケ月を受け取った事案もあります。
新物件の仲介手数料は新家賃の0.5ヶ月~1ヶ月分となります。
家賃増加分等の補償とは、新規賃貸契約時に支払う礼金と新規家賃が増額する場合に2年程度の増額分の補填をいいます。
同程度の物件を借りたとしても家賃が今よりも上がることが多いため、その一定期間分を補填してもらうことになります。

家賃増額分の補償=(新賃料-現賃料)×24(2年分程度)

1)大家都合での立ち退き

大家さんの都合の正当事由がどれくらい強いかが立ち退き料に大きく影響します。
大家都合の立ち退きとして、よくある理由は、建替えて利回りを上げたい、自分の家族を住まわせたいなどが多いと思います。
正当事由がもっとも強いのは、大家さん自らが住む必要がある場合です。
具体的に見てみましょう。
築60年木造平屋建の建物を家賃月5万円で借りていたところ、息子が結婚して帰ってくるので息子夫婦の新居を建てたいから出て行って欲しいという事案です。
この事案において、立ち退き料が50万円でした。
借主は、住居として使用せず物置として使っていました。
こちらが住居として利用しているかしていないかというのは正当事由の判断要素として大きいです。
生活の本拠として住居を構えている方が大きく有利に働きます。
なぜなら、住んでいるとなると、子どもの通学、通勤、ご近所付き合いなど、単に別のところへ引っ越す費用を出してもらったらいいじゃないかということではなくなるからです。

2)新大家からの立ち退き請求

いつのまにか大家さんが代わって、新しい大家さんから立ち退きを求められるシーンです。
例えば、マンション・アパート用地にするため、自宅を建てるためなどで土地を探している人が、立ち退きをしてもらうことを前提に、土地を購入するシーンです。
正当事由がどれだけあるかですが、一般的に、正当事由はめちゃくちゃ弱い、むしろマイナスです
ポイントは、賃貸人がいることを知って購入しておいて立ち退けとは虫が良すぎるということです。
立ち退かなくてもいいですが、納得する立ち退き料を交渉で引き出して、立ち退くというのもありです!
例えば、土地の時価が2,000万円とすると、借地権価格はその8割の1,600万円です。
これに交渉による上乗せで+2,000万円をしてもらって、4,000万円の立ち退き料をもらって立ち退くというのもアリです。

8.立ち退き料は増額できる!交渉における3つのコツ

一軒家の立ち退き料を増額させるにはコツがあります。

1)【増額のコツ①】借地権価格を引き上げる。

借家権価格は、更地価格が基準になりますから、更地価格をいかに引き上げるかがポイントです。
特に不動産価格が上昇している昨今では、近隣の取引事例が重要です。
ですが、日本ではアメリカのように不動産取引が表に出ませんから、容易に手に入らない情報です。
多くの専門家の力を借りて、周辺相場、特に直近の高い取引価格を基準にしましょう。

2)【増額のコツ②】正当事由を分析する。

正当事由が弱いと立ち退き料が高くなります。
そのために、相手の主張する不動産を利用する理由を弱く評価することとこちらの不動産を利用しなければならない理由を強くすることです。
強い事情はそう多くはないでしょうが、小さい事情はたくさんあるかもしれません。
諦めずに事情を見つけ出して、相手に主張しましょう。

3)【増額のコツ③】建物価値を引き上げる。

建物を明け渡すことになるのであれば、建物買取請求権を行使するなど建物の価格も受け取りましょう。
明け渡すのですから建物を譲渡するのと同じです。
土地と同様にまったく同じものがありません。
近隣の取引事例を参考に築年数、構造、造作物、備品などをしっかり評価して建物が高いことを主張しましょう。

4)立ち退き交渉でやってはいけないこと

立ち退き交渉中だからといって、家賃、地代の支払いを止めることは絶対にしないでください。
増額交渉では不利になるからです。これ以外にも、契約書を確認し、他にもどういった義務や禁止事項があるかを確認しましょう。
義務に反して信頼関係を破壊したと認められる契約を解除されてしまいます。
立ち退き料を受け取れないばかりか、建物の代金も受け取れずに立ち退かなければならなくなります。

9.一軒家の立ち退き料にかかる税金

立ち退き料にも10%程度の税金がかかります
収入があり経費を差し引いて利益(所得)があれば税金がかかるのが原則です。
引越し費用、仲介手数料などの実費は、そのまま業者に支払うことになりますから、差し引き利益は残らず、税金はかかりません。
ですが、借地権価格、建物価格、土地の価格などに対応する立ち退き料については、かかった経費の方が収入より低い場合が多く、利益が発生し、税金がかかる可能性があります。
利益があったら必ず税金が発生するかというと、そうではありません。
様々な優遇措置などによって税金を払わなくていいという場合もあります。
税率は法人であれば30%程度、個人であればその所得に応じて増えていきます。

10.「一軒家の立ち退きに強い弁護士」へ依頼するのもアリ

ここまで読んでいただいて参考になったとするとうれしいです。
自身でなんとかするというのも一案ですが、交渉、契約書、税金など不安な点も多いと思います。
そこで、一軒家の立ち退きに強い弁護士に依頼するのもありです。
そのメリット・デメリットをご案内します。

1)3つのメリット

①立ち退き料が増額できる。

もっとも大切な立ち退き料を増額させることができます。
立ち退き料は相場はあるものの、個別要因の影響が大変大きく、立ち退き料が数倍になることもあります。
一軒家の立ち退きの場合、借地権、借家権、建物の価格、営業補償、慰謝料的なものまで様々な名目の立ち退き料があります。
いずれも交渉・検討の余地が大きく、多額になる可能性があります。
少しでも多くの立ち退き料を受け取りましょう。

②「正当事由」が弱いと反論ができる。

立ち退いてほしい側は、強い正当事由があり立ち退いてほしいと主張してきます。
正当事由が強いということは、立ち退き料が安くできるからです。
ですが、不動産に強い弁護士に依頼することで、その正当事由は弱いですよと適切な反論をします。
一軒家の立ち退き料は、借地権の価格、建物の価格など金額が大きくなりますから、正当事への反論はとても大切です。
不動産の立ち退きに強い弁護士なら、この点を安心して任せることができます。

③面倒な交渉・手続き・税金まですべて依頼できる。

一軒家の立ち退きの場合は、家族全員で他の場所へ移動しなければならず、移動にかかる手続きの負担はとても大きいです。
交渉で立ち退き料の額も大きくなりますから、交渉の重要性はとても大きいです。
受け取った立ち退き料が大きくなれば、税金の計算も複雑になりがちで、納税額も大きくなります。
弁護士に依頼する場合、立ち退き料の交渉だけでなく、立ち退くまで一連の面倒なやりとりをすべて専門家に依頼できます。
例えば、立ち退きに関する合意書の作成一つとっても、内容の適性を判断するのは素人には難しいです。
あらゆることを弁護士に頼れるため、とても楽で安心です。

2)デメリット

他方で、弁護士に依頼した場合、弁護士費用がかかるというデメリットがあります。
弁護士費用は、立ち退き料の6%~20%ほどになります。
ですが、手元に残るお金は増えます。
弁護士が入ることで立ち退き料が増え、その増えた額の一部が弁護士費用になります。
増えた分の立ち退き料>弁護士費用
デメリットではないかもしれません。

まとめ

一軒家の立ち退き料をシーン別に示します。

シーン 立ち退き料の相場・計算方法
道路拡張 土地の価格+移転補償
土地区画整理 土地の価格+移転補償
再開発 土地の価格(+建物の価格)+移転費用+α
借地上の持ち家 400万円~1,000万円
戸建て賃貸 60万円~100万円
家賃の6ケ月分~10ケ月分

借地上の持ち家、一軒家の立ち退き料は、400万円~1,000万円です。
ですが、これまで説明したとおり、立ち退きの相場は目途であり、置かれている状況や再開発など立ち退きの目的によって大きく異なります。
法律上強制される立ち退きなのか、正当事由が必要な立ち退きなのかなどご自身の状況に応じて立ち退き料を最大限上げてください。
弁護士にまるっと依頼するというのも一つの手段です。
最後にお金を受け取ると税金がかかるということにも注意してください。

監修者

飛渡 貴之

資格:弁護士/司法書士、土地家屋調査士有資格
所属:弁護士法人キャストグローバル

〒101-0054 東京都千代田神田錦町2-11-7小川ビル6階
相談受付:03-6273-7758
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