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道路拡張の立ち退き料はいくらもらえる?一軒家(持ち家)を中心に解説

自宅が都市計画道路用地となっていたところ、道路拡張を理由に、市の担当者から具体的に立ち退きの話が来た。
今後の対応、立ち退き料の相場や補償金、それらを多くもらう方法などを調べているのではないでしょうか。
道路拡張による一軒家(持ち家)の立ち退きの料は、一例として5,000万円程、賃貸(一軒家、マンション)の場合は150万円程とになります。
「補償金」と呼ばれる保証もつくため、通常の場合よりも立ち退き料は多くもらえます。
もっとも、これは一例・相場にすぎず、道路拡張で実際にあなたがもらえる立ち退き料は、個々の事情によって変わります。
そこで、本記事では、道路拡張による立ち退き料の相場から、実際にあなたがもらえる立ち退き料の金額、立ち退きの流れ、立ち退き料の増額方法などをわかりやすく解説します。

【この記事でわかること】

  • 道路拡張による一軒家(持ち家)の立ち退き料の相場は5,000万円程
  • 道路拡張による賃貸(一軒家、マンション)の立ち退き料の相場は150万円程
  • 道路拡張による立ち退き料には「補償金」が含まれるので通常の立ち退き料よりも高額になる
  • 道路拡張による立ち退きは公共事業であり拒否できない!拒否しても強制的に立ち退かされる。
  • 立ち退き料を増額させる3つの戦略は
    1. しっかりと立ち退きたくない思いを伝える
    2. スケジュールを把握する
    3. 土地の価格など各補償項目を増額してもらう
  • 立ち退き料に税金がかかるがほとんど払わなくていい
  • 弁護士に交渉を依頼すれれば立ち退き料を増額できるのでおすすめ

なお、道路拡張に限らず一軒家の立ち退き料の相場について知りたい方は「一軒家(持ち家・賃貸)の立ち退き料の相場は?5つのシーン毎に解説」もご覧ください。

目次

1.道路拡張に伴う立ち退き料の相場・いくらもらえるのか

道路拡張による立ち退き料
一軒家(持ち家) 5,000万円程度※1
賃貸(一軒家、マンション) 150万円程度※2

※1 80㎡の土地(千葉県市川市)、公示地価等を用いて概算にて計算
※2 月額賃料10万円として概算にて計算

一軒家(持ち家)の場合は、4,500万円、賃貸(一軒家、マンション)の場合は150万円が目安となります。
一般的な立ち退きのシーンでは正当事由が重要な点となります。
一方、道路拡張による立ち退きは、正当事由は不要ですが、法律により公共のために明け渡す必要があるという点で、迷惑料として補償金」が考慮され、立ち退き料が通常よりも高くなります。
補償金を払えと主張すると増額されるというようなゴネ得ということではありません。
その土地、その家に住むことが重要であることを客観的に示す必要があります。

2.道路拡張による立ち退きとは

都市計画によって交通機能、空間機能などを備えるため道路を整備します。
道路を作るための土地を明け渡すことを「道路拡張による立ち退き」といいます。
都市計画が決定されてから土地を明け渡すまで相当の時間を要するため、すぐに出て行って欲しいといわれることはありません。
行政からしっかりと説明を受けて立ち退き料を含めて納得して立ち退くことになります。
なお、都市計画道路となっていても、必ず立ち退かなくてはならないことはありません。
都市計画が見直されてその計画がなくなったりするからです。

3.道路拡張による立ち退き料の内訳│補償金をもらえる!

一口に「立ち退き料」といっても、道路拡張に伴う立ち退き料は次のとおりです。

道路拡張による立ち退き料=土地の価格+補償金(物件移転補償)
次に細かく見ていきましょう。

1)土地の価格

「土地の価格」は時価、その土地が取引される価格です。
取引される価格の基準となるのが公示地価です。
公示地価とは、毎年3月に国土交通省によって発表されるもので、1㎡あたりの土地の価格が示されます。
例えば、千葉県市川市において、1㎡あたり26万8300円となっていて、明け渡す土地が80㎡であれば、2,146万4,000円(268,300×80)となります。
ですが、これはあくまで一つの基準・相場にすぎません。

あなたの土地の価格を決める際には、公示地価を基準として、その土地の取引されるであろう価格から実際の「土地の価格」が決まることに注意してください。

2)補償金(物件移転補償)

「補償金(物件移転補償)」とは、家、造作などをほかの場所へ移転するための補償です。
具体的には以下のものがあります。
これらは、用対連基準などと呼ばれる公用地の取得に伴う損失基準があり、その基準をもとに算定されます。

  • 建物移転補償
    建物を他の土地へ移転する費用
  • 工作物移転補償
    門、塀、庭石などを他の土地へ移転する費用
  • 立木移転補償
    庭木などの立木を他の土地へ移転する費用
  • 動産移転補償
    家財道具、店頭商品などを他の土地へ移転する費用
  • 仮住居補償
    建物を移転する間住むための仮住居を借りる費用
  • 営業補償
    店舗、工場などを休業する必要がある期間中の収益減、固定費、従業員の給与手当てなど
  • 家賃減収補償
    建物を賃貸している場合に移転期間中の経費を除いた賃料相当額
  • 移転雑費補償
    不動産仲介手数など移転に関する手続き費用
  • 借家人に対する補償
    賃貸人が他の場所で同程度の建物を借りるために必要な費用

以上の合計額が、補償金(物件移転補償)になります。

4.一軒家・賃貸別:道路拡張に伴う立ち退き料の相場

道路拡張による立ち退き料
一軒家(持ち家) 5,000万円程度※1
賃貸(一軒家、マンション) 150万円程度※2

※1 80㎡の土地(千葉県市川市)、公示地価等を用いて概算にて計算
※2 月額賃料10万円として概算にて計算

それでは、具体例を見てみましょう。

1)一軒家(持ち家)

一軒家の持ち家が建っている敷地すべてを道路拡張のために明け渡す必要がある場合です。
道路拡張による立ち退き料は、土地の価格+補償金(物件移転補償)です。

①土地の価格

千葉県市川市、80㎡の敷地に木造2階建(110㎡)の家屋があり、家族4人で住んでいます。
千葉県市川市の令和6年の平均公示地価は、1㎡あたり26万8300円です。
公示地価を基準とした価格は、2,146万4,000円(268,300×80)です。
標準値といわれる土地に隣接しているためこの額です。

②補償金(物件移転補償)

物件移転補償として、次の4つがあります。

  1. 建物/工作物/立木移転補償
    建物、塀、庭木を別のところに移動する費用です。
    同等程度の建物を建てるのに、1㎡あたり20万円として、2,200万円(20×110)です。現在の建物を解体する費用は130万円です。
  2. 動産移転補償
    引越し業者に払う費用として、家族4人分20万円です。
  3. 仮住居補償
    建替えをしている間、家を借りる費用です。半年程度期間、月額18万円として、108万円です。
  4. 移転雑費補償
    新しい不動産を購入するための仲介手数料等です。土地1,341万5,000円として、売買の仲介手数料は3%+6万円ですから、46万2,450円です。

以上、合計は2,504万2,450円となります。
①+②の合計額は4,650万6,450円となります。
これに、慰謝料的な要素、各項目に対して一定の上乗せを期待でき、5,000万円となります。

なお、道路拡張だけでなく一軒家の立ち退き料の相場について広く知りたい方は「一軒家(持ち家・賃貸)の立ち退き料の相場は?5つのシーン毎に解説」もご覧ください。

2)賃貸(一軒家、マンション)

賃貸(一軒家、マンション)の場合は、補償金(物件移転補償)として、次の3つがあります。

  1. 動産移転補償
    引越し業者に払う費用として、家族4人分20万円です。
  2. 移転雑費補償
    不動産仲介手数として1ケ月分の賃料18万0円です。
  3. 借家人に対する補償
    賃貸人が他の場所で同程度の建物を借りるとすると家賃増額が見込まれ、その増額分の2年分です。月3万円上がるとして、2年分24ケ月分で72万円です。

以上、合計が110万円です。
これに、慰謝料的な要素、各項目に対して一定の上乗せを期待でき、150万円程となります。
さらに知られざるメリットがあります。
この賃貸不動産は取り壊しとなるため、原状回復工事、清掃が一切不要ですから、敷金がまるっと返ってきます。
なんかとっても得した気分ですよね!

3)店舗などを経営していた場合

店舗などここで営業していた場合は、営業補償」という名目のお金がもらえます。
店舗を移転に伴い休業する必要がある期間がある場合の収入減の補償です。
その間に得られたであろう収益から経費を引いた利益、営業していなくても支払う必要がある固定費や従業員の給与手当てなども補償してもらえます。

5.道路拡張による立退料をもらうまでの流れ

立ち退き料の相場は以上のとおりですが、道路拡張による立ち退き料はいつ、どのようにもらえるのでしょうか。
結論、立ち退き料は立ち退きに関する契約を完了すると、すみやかに支払われます。場合によっては、8割程度の大半がすぐに払われ、残りが数か月後ということもあります。
一般的な立ち退きの場合は、立ち退きをした後に払われますが、道路拡張による立ち退きの場合は立ち退く前にもらえるのです。
都市計画が定められた後、地権者などに計画に関する説明会が行われます。
その後、詳細を確認するための測量などが行われます。
動き出すのはこの後、行政から具体的な立ち退きについてのお話が来て、交渉開始です。
交渉が合意に至れば、立ち退きに関する契約を締結します。
契約後は立ち退き料を受け取って立ち退きます。

6.立ち退きを拒否できるか?

これまで立ち退き料をもらう前提でのお話でしたが、そもそも立ち退きたくないという方もいるでしょう。
ですが結論、立ち退きを拒否することはできません
都市の発展・整備のためのものですから、誰かが拒否したらできないなんてことになると、何もできなくなってしまいます。
最後まで立ち退きを拒否し居座った場合は、強制的に立ち退かされてしまうのです。
※都市計画法69条、土地収用法、行政代執行法
強制的に立ち退かされてしまう上にさらなるデメリットがあります。
それは立ち退き料がかなり少なくなることです。
話し合いであれば各項目に迷惑料的な上乗せをしてもらえるのですが、土地収用法における裁決で決まる立ち退き料には迷惑料は考慮されないからです。

7.立ち退き料の増額交渉を成功させる3つの戦略

立ち退き拒否をしてはいけないとわかった。
そうなると多くの立ち退き料をもらって立ち退くのが得策となります。
どうやって立ち退き料を増額できるのでしょうか。

1)しっかりと立ち退きたくない思いは伝える

行政の担当者との交渉では、立ち退かなくてはならないのは理解しているが、立ち退きたくはないということを伝えましょう。
単に感情的に立ち退きたくないというのではなく、具体的な理由をしっかり伝えましょう。
例えば、子どもが生まれ育った家で、子どもの身長を記録した壁などがあり、小さいころからの思い出が詰まっているなどです。

2)スケジュールを把握する

行政から説明会がありスケジュールも示されます。
当初のスケジュールが全く変わらず進むということはあまりありません。
変更後のスケジュールも把握しましょう。
スケジュールを確認しエンドを把握して交渉に臨みましょう。

3)土地の価格など各補償項目を増額してもらう

立ち退くために明け渡す土地、建物、その他費用について、高く評価できる事実をしっかりと伝えましょう。
行政は不動産鑑定士などの専門家の評価に依拠していますが、個々の担当者が詳細の内容までは把握しきれません。
このような状況があるからもう少し高く評価できないかと具体的な事実を伝えましょう。

8.道路拡張による立ち退き料にかかる税金

立ち退き料をもらう際に見逃せないのは税金です。
せっかく立ち退き料をもらえたのに税金をたくさん払いたくはないですよね。
結論、道路拡張に伴う立ち退き料には、ほとんど税金はかかりません
一般的な大家都合での立ち退きの場合は税金はかかることが多いです。
入ってきたお金よりも出て行ったお金が少ない時は税金がかかるのが基本です。
ですが、道路などの公共事業のために土地建物を売った場合は、次の2つの特例のいずれかを受けることができます。

  • 【特例1】譲渡がなかったとしてみなして、次の処分まで課税を繰り越す。
  • 【特例2】譲渡所得から最高5,000万円まで控除する。

これらのお得な特例によって税金はほとんどかからなくなります
立ち退き料の税金は、その所得類型に分けて計算します。
不動産の売買に対しては譲渡所得、その他は一時所得として計算します。
店舗等営業をされている場合には、立ち退き料が多額になる上に、事業所得ですから特例でカバーできないので注意が必要です。

9.交渉は弁護士に相談するのがおすすめ

道路拡張による立ち退きは、何度も経験することはないもの。
流れ、契約、立ち退き料と不安な点も多いと思います。

特に、自分で強気な交渉をして立ち退き料を増額させるのは難しいと感じていることでしょう。
そんな時は「不動産トラブルに強い弁護士」に相談するのがおすすめです。

1)メリット

①立ち退き料が増額できる

土地の価格、補償は一定の基準を用いて算定されます。
立ち退きに強い弁護士に依頼すると、各項目の中身を検討し、その基準を上げるための事実を主張して増額交渉します。
例えば、移転補償が上げられると思えれば、必要な建築費増の事実を主張して増額を求めます。
どうせ立ち退くなら少しでもすこしでも多く立ち退き料を受け取りたいですよね。
できる限り増額に向けて交渉します。
ですが、不利益な点もしっかりお伝えすると、公共事業は公平性が重要ですから、他の地権者との関係を考慮され、劇的な増額が見込めません。

②適切なアドレス、サポートが受けられる

都市計画の流れを把握しどのように進めるのがいいのかいつでも相談でき、適切なサポートが受けられます。
立ち退き交渉から新天地への移転まで、様々な手続きがあり、不安を点も多いと思います。
それらを解消しながら納得し進められます。

2)デメリット

デメリットは弁護士費用がかかることです。
ですが、弁護士に依頼することで、様々な手続きを任せられ、不安を解消しながら進められますし、立ち退き料の増額も見込めます。
弁護士費用以上の立ち退き料の増額が見込めるため、経済的な損失はなく、ストレスフリーで進められます。
まずは、不動産に強い弁護士に相談してみましょう。

まとめ

道路拡張による立ち退き料
一軒家(持ち家) 4,500万円程度※1
賃貸(一軒家、マンション) 150万円程度※2

※1 50㎡の土地(千葉県市川市)、公示地価等を用いて概算にて計算
※2 月額賃料10万円として概算にて計算

道路拡張の立ち退き料の目安は、一軒家の持ち家で4,500万円、賃貸で150万円です。
ですが、地域によって、土地の価格や賃料が違いますので、金額は大きく異なります。
道路拡張による立ち退きは公共事業で拒否することができません。
拒否すると強制的に立ち退かされてしまい、立ち退き料も少なくなります。
立ち退き料を適切にもらい、税金の特例を受けて、手取り額を最大化しましょう。
あれ?と迷うことがあれば、不動産に強い弁護士に相談してみましょう。

監修者

飛渡 貴之

資格:弁護士/司法書士、土地家屋調査士有資格
所属:弁護士法人キャストグローバル

〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目4-10 虎ノ門35森ビル1階
相談受付:03-6273-7758
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