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立ち退き交渉の代行はどこに依頼する?弁護士に相談するメリットとは

はじめに
立ち退き交渉を自分でやってみたが、思った以上に大変で辛い状況ではないでしょうか。
立ち退き交渉は「自分でやる」だけが選択肢ではありません。
どこに依頼するのがいいのか、その理由・メリット・デメリットを解説します。
プロに依頼することで、自分への負荷を減らし、スムーズに解決できる可能性が上がります。
【この記事でわかること】
- 立ち退き交渉での事前準備
- 立ち退き交渉を頼むのは弁護士
- 弁護士に依頼する6つのメリット
- 法的不備をなくし、交渉の確度を高める
- 交渉を有利に進め、適正な立ち退き料での解決が期待できる
- 手間と時間を大幅に減らし、本業に集中できる
- 直接対決を避け、ストレスを軽減できる
- 事業計画を守れる
- 交渉から訴訟にスムーズに移行できる
- 弁護士に依頼するには50万円程度は必要
- 交渉代行をお勧めする4つのケース
- 借主との人間関係がすでに悪化している
- 借主が立ち退きを明確に拒否している
- 建て替えや売却の期限が迫っている
- 立ち退き料の金額で揉めることが予想される
- 弁護士は、実績、処理方針、依頼者ファーストをポイントとして、相談して決める
目次
1.立ち退き交渉でやること
立ち退き交渉の事前準備から、交渉としてやらなければならないことは、次の通りです。
- 【交渉準備】
- 立ち退いてもらう目的を明確にする
- その根拠となる資料を準備する
- 入居者との契約条件を確認する
- 入居者の居住実態など状況を確認する
- 【実際の交渉】
- 通知をして、入居者に立ち退きを求める
- 入居者ごとの言い分を聞き、交渉をする
立ち退いて当然というケースはほとんどありませんから、ある意味お願いベースで立ち退いてもらう必要があります。
こちらが強い立場ではないため、簡単な交渉とはいきません。
立ち退き交渉について詳しく知りたい方は、「強制退去・立ち退き強制執行の方法と流れ!条件や期間も弁護士が解説」をご覧ください。
こうした交渉をオーナー自身で行おうとすると、準備や対応に多くの時間と労力がかかるだけでなく、すんなり応じてくれる入居者ばかりではありません。
対応を誤ると、関係がこじれてトラブルに発展することもあります。
そのため、立ち退き交渉に不安がある場合や、スムーズに進めたい場合は、交渉の代行を依頼するのがおすすめです。
2.立ち退き交渉の代行は誰に頼むべきか?【結論:弁護士が唯一の選択肢】
結論として、立ち退き交渉の代行を頼む場合は、弁護士に依頼してください。
法律上、大家さんに代わって代理人として交渉できるのは弁護士のみです。
行政書士さんなど弁護士以外が交渉を代理した場合は、「非弁行為」として違法(2年以下の拘禁刑または罰金となります。)となりますのでご注意ください。
また、違法という問題だけでなく、違法な行為をされるような方が大家さん(依頼者)の利益や権利を守ってくれるのかという根本的な問題があります。
ですので、立ち退き交渉など不動産を専門的に扱う弁護士に依頼してください。
3.立ち退き交渉を弁護士に依頼する6つのメリット
立ち退き交渉を弁護士に依頼する6つのメリットを解説します。
1)法的な不備をなくし、交渉失敗のリスクを減らす
1番のメリットは、不備をなくし失敗のリスクを減らせることです。
交渉において、目的は立ち退きの合意をすることです。
交渉で重要となるのが相手と一定の信頼関係を築くことです。
信用できない人と契約することはできません。
信用してもらうためには、誠実丁寧は対応はもとより、こちらの主張に対して適切な法的根拠を示すことです。
なんとなくこう思う、俺の意見はこうだという方を信用することはできませんから、信頼関係は築けません。
弁護士に依頼いただくと、目的を見据えて、必要な準備を怠りません。
勝負は準備段階で決まっている、段取り八部などと言われる所以です。
2)交渉を有利に進め、適正な立ち退き料での解決が期待できる
弁護士による交渉であれば、立ち退き料を最小限に抑えることもできます。
また、すこしでも多額の立ち退き料をとろうとしてくる入居者も多く、そのような入居者と交渉をしなければなりません。
弁護士に依頼することで、必要な準備をしてますし、第三者の専門家弁護士が交渉します。
また、必要な準備において、どれくらいの費用をかけられるのか、どれくらい入居者に立ち退き料を払えるのかを確認します。
そして、裁判例、実務上の相場をも検討し、できる限り立ち退き料を抑えられるように交渉をします。
3)時間と手間を大幅に削減し、本来の業務に集中できる
ご自身で対応するという場合は、すべてのことを自分でやらなくてはなりません。
交渉の純段階での資料集め、情報分析、戦略立案、直接交渉、文章の作成などとても大変です。
弁護士に依頼することで、これらを弁護士に任せてチェックするということだけで足りるようになります。
その分の時間をご自身の本業など有効な利用ができます。
4)借主との直接対決を避け、精神的ストレスから解放される
1番のメリットはもちろん結果なんですが、実はこのストレスからの解放が喜んでもらえており、大きなメリットになります。
自分ごとの交渉というのは、自分が決められるがゆえにものすごいストレスがかかります。
入居者からこうしてほしいああしてほしいなどと言われ、「なぜできないのか」「退去してやるのはこちらなんだぞ」などと言われることも多いです。
高圧的な態度、その場での判断を迫られる、頻繁で執拗な連絡など大変な思いをして交渉することになります。
弁護士に依頼することで、弁護士がすべてのやり取りの間に入りますから、直接入居者と連絡する必要がなくなります。
大変な思い、大きなストレスから解放されます。
5)事業計画の遅延を防ぎ、立ち退き後の未来をより確実にする
立ち退きにとって重要なことはスケジュールです。
立ち退きが遅れれば遅れるほど、新規による適正賃料を得られるのが遅くなります。
また、開発案件ですと、周辺のスケジュールまで遅れかねず、その影響は甚大です。
立ち退きが遅れることで、工期が伸びたり、建築資材が高騰し、結果、総工事費が上昇する可能性も高いです。
自分でやりすぎることで、一つ一つが遅くなってしまい、総期間が伸びてしまいます。
弁護士に依頼することで、立ち退きを後のスケジュールがより確実になります。
6)交渉決裂時、そのまま訴訟(法的手続き)へスムーズに移行できる
交渉が決裂したときは、裁判手続きによって、強制退去を求める選択肢があります。
自分で訴訟手続きをするとなると、訴状を書いて、必要な添付書類をそろえて、自己の主張立証をし、その証拠をそろえなくてはなりません。
立ち退き交渉よりも、さらに手間も時間もかかる作業になります。
また、訴訟手続きには、独特のお作法もあり、民事訴訟法及びその規則を熟読したらできるかというとそうではありません。
弁護士に交渉から依頼していれば、そのまま経過を知る弁護士が訴訟手続きを行います。
訴訟手続きへのスムーズな移行は、解決を速めるよりよい結果に近づきます。
4.立ち退き交渉を弁護士に依頼する場合の費用
弁護士に依頼する費用の内訳と相場は次の通りです。
相談費用 | 5500円/30分 |
着手金 | 20万円(税込22万円)~ |
報酬金 | 33万円(税込33万)~ |
弁護士に相談する費用は、5,500円/30分という事務所が多いですが、初回相談を無料にしている弁護士事務所もございます。
弊所も初回相談無料にしていますので、安心してご相談ください。
いざ依頼するとなったら、「着手金」と「報酬金」の2種類に分けて支払います。
着手金とはその案件の着手時点で払う費用で、報酬金とは案件が解決した時点で払う費用です。
交渉代行がはじまる時と、完了した後の、2回のタイミングに分けて支払うとお考えください。
あくまでも相場で個別に異なりますから、各弁護士事務所にご確認お願い致します。
1)弁護士費用がかかっても損にはならないケースがほとんど
以上のように、弁護士に立ち退き交渉を依頼すれば、それだけの費用がかかります。
しかし、弁護士の交渉によって早期に解決ができれば、金銭的にもむしろ大家さんにとっては得になるケースが多いです。
というのも、解決が遅れて、問題が長期化した場合は、得られるはずの賃料などが得られないといった損失があります。
早く立ち退きをさせて、その後すぐに新しい入居者を入れて賃料を得る、または早く取り壊しや建て替えの工事に着工できる方が、長期的にはプラスになるでしょう。
代行を頼む1番のデメリットは「費用」ですが、その費用すらも、長期的に見れば大きくないということです。
これらを考慮頂き依頼するかを検討ください。
まずはそれほど費用がかからない相談をされることをお勧めします。
弊所では、初回相談無料ですので、まずは相談のみでも頂ければと思います。
5.弁護士の交渉代行を強くおすすめする4つのケース
次のようなケースでは、弁護士に依頼しておく方が望ましいでしょう。
- ケース1:借主との人間関係がすでに悪化している
- ケース2:借主が立ち退きを明確に拒否している
- ケース3:建て替えや売却の期限が迫っている
- ケース4:立ち退き料の金額で揉めることが予想される
ケース1、2と4は、借主との交渉が難航する可能性が高いものです。
関係がより悪化することで、解決への道のりが遠くなってしまいます。
ケース3、建て替えや売却を前提としているケースでは、期限がありますし、立ち退き交渉しなければならない人数が多くなります。
期限がある中、多くの人と交渉するとなると、それだけでも大変になりますし、もめる要素も増えていきます。
また、借主間で情報が出回る可能性があり、交渉を慎重に進める必要があります。
6.立ち退き交渉に強い弁護士の選び方3つのポイント
どのような弁護士に依頼するのがいいのか、選び方3つのポイントをお伝えします。
- 立ち退き交渉の実績
- 処理方針が一致する
- 依頼者ファースト
この3つを参考にしながら、弁護士を選んでください。
まず、ホームページである程度の情報を得て、弁護士をチェックしてください。
その上で、その弁護士と実際に面談しましょう。
上記3つのポイントは、その弁護士としっかり意思疎通をしなければわかりません。
ご自身の状況や希望を弁護士に伝え、どのような方針でどう進めれば良いのかを尋ねてください。
あなたの実情に応じた個別具体的な対応方針を示し、あなたにとってベストな提案をしてくれる弁護士に依頼してください。
なお、裁判例、実務的に不可能に近いことでも、私なら出来るといって受任を促すような方もおられるようなので注意してください。
まとめ
交渉の代行についてまとめます。
賃貸物件で入居者に立ち退きを求める際、オーナー自身での交渉は時間と労力がかかり、トラブルに発展するリスクもあります。
スムーズかつ法的に適正な解決を目指すには、弁護士への依頼が唯一の選択肢となります。弁護士以外の者が代理交渉することは「非弁行為」として違法です。
立ち退き交渉でまずやるべきことは、立ち退き目的の明確化、根拠資料の準備、入居者との契約条件や状況確認です。
その上で、通知を行い、入居者の言い分を聞きながら交渉を進めます。しかし、オーナーが常に強い立場とは限らないため、交渉は簡単ではありません。
弁護士に依頼するメリットは以下です。
- 法的リスクの軽減: 不備なく交渉を進め、トラブルを未然に防ぎます。
- 有利な交渉: 適正な立ち退き料での合意形成を期待でき、不当な要求からオーナーを守ります。
- 時間と手間の削減: オーナーは本業に集中でき、精神的ストレスからも解放されます。
- 事業計画の確実化: 交渉をスムーズに進め、次の入居者確保や開発計画の遅延を防ぎます。
- 訴訟へのスムーズな移行: 交渉決裂時も、経過を知る弁護士がそのまま訴訟手続きを代行できます。
弁護士費用はかかりますが、長期的な視点で見れば、問題の早期解決による賃料収入の確保や工事着工の迅速化で、経済的なメリットが大きいケースがほとんどです。特に、入居者との関係が悪化している、立ち退きを明確に拒否している、建て替えや売却の期限が迫っている、立ち退き料で揉める可能性が高いといった場合は、弁護士への依頼を強くおすすめします。
実績があり、依頼者ファーストで、オーナーの意向に沿った方針で進めてくれる弁護士を選び、まずは初回無料相談などを活用して話を聞いてみましょう。