弁護士法人キャストグローバル 会社の破産・精算

解決事例

法人破産(代表者に免責不許可事由があった事例)

  • 【依頼者業種】建設業
  • 【所在地】滋賀県
  • 【従業員数】1名

相談内容

依頼者は、滋賀県内で建設業を営む会社(その代表者と代表者の父親)で、徐々に経営を縮小してきたが折からの不況に耐えきれず、事業継続を断念して、弊所にご相談に来られました。ご相談に来られた時点では従業員は1名のみで、売り上げはゼロ、動いている現場もゼロという状態でした。
状況的には破産をするより他はなく、代表者とその父親も保証人になっていたので、一緒に破産申し立てをすることになります。典型的な法人破産事案と言えます。既に事業が事実上停止していたので、取引先への配慮もほとんど不要と思われ、かつ残された従業員についても受け入れ先を確保していた関係で問題にならなさそうであったため、当初の想定では、そこまで大変そうには思われず、粛々と申立てまで準備しようと予測していました。

法人破産の問題点

法人が破産申立てをする場合、申立代理人として配慮すべき点がいくつかあります。やはり、相手のあること、すなわち従業員や債権者を含む取引先との関係では気を遣うことが多いです。
従業員との関係でいえば、それまで働いていた会社がなくなるという事態であり、生活に直結する話です。お金のことだけでなく、長年勤めて愛着のある場所がなくなるということですので、精神的にもつらい話です。実際に涙を流す方もおられます。
取引先との関係でいえば、お金が返せなくなったり仕事ができなくなったりと、一方的に迷惑をかけるわけですので、どうしても被害者感情が強いところです。金融機関などは比較的ドライに対応されることが多いですが、個人の方はそうはいきません。当事者ではない代理人弁護士とはわかっていながらも怒りをぶつける方もおられます。小売店のように取引先から仕入れた商品を扱う事業の場合には、取引先としては他の債権者に先駆けて少しでも回収してしまおうと、破産者のところに乗り込んできて商品その他を持って帰ってしまうことがあります。これは場合によっては窃盗罪に該当して法的にアウトになる行為である一方で、そのような騒ぎを起こすこと自体が周囲への迷惑となりますので、申立代理人としても神経を遣うところです。
申立代理人が職責を怠ると、破産者や債権者に迷惑をかけることはもちろんのこと、後々裁判所や破産管財人から申立代理人としての責任を追及されることもあります。

本件の問題点

さて本件に戻ります。先程も書いたとおり、本件についてはあまり問題らしい問題が当初は見当たりませんでした。しかし、資料を精査していくと色々と問題が出てきました。会社自体にも後々問題が発生したのですが、最後までネックになったのは、代表者及びその父親の方でした。
事件として受任した場合、まず分かっている債権者に対して受任通知を送ります。弁護士が債務整理を受任したことを伝えて、各債権者から現時点の債権額等を申告してもらうためで、それにより今後の見通しを立てることができます。本件でも受任通知を送ったのですが、その中の一つのカード会社からの申告で、カジノで利用された形跡があることがわかったのです。しかも相当多額なものでした。
個人の破産において、免責(簡単に言えば借金が法的にチャラになること)を認めない理由として破産法にいくつかの事情が列挙されています。これを免責不許可事由と言うのですが、そのうちの一つに、ギャンブルなどでの浪費というものがあります。本件では、これに該当する可能性が高く、金額的にも、後々目を付けられることが確実と言えるものでした。
依頼者にきくと、どうやら海外のカジノでキャッシング利用し、そのお金を全額ではないかもしれないけれどもカジノで使ったほか、旅先での飲食に利用したのは間違いない様子でした。明らかに免責不許可事由に該当しそうです。申立代理人としては、そのまま放置することがためらわれましたので、何とかリカバーできる事情はないかと、より詳細に事情を聴いたところ、カジノを利用したのと同時期に、会社に対して個人として貸し付けをしたり立替えをしたりしていたことがわかり、カジノでキャッシングしたお金も貸し付けや立替えに充てたかもしれないとのことでした。そこで、カジノで一定の金員を利用したことは認めつつ、若干時期がずれるところもありましたが、決算報告書や現金出納帳から数字をピックアップして、合理的な説明を尽くして、なんとか傷口を小さくしようと試みました。
その後、管財人や裁判所とやりとりをし、紆余曲折を経て、最終的には無事に免責が許可されましたが、一定程度の積み立てを検討させられる(本人の収入が少ないことや病気を抱えていることなどを疎明して積み立てはできないという主張をし、結果的にはそれが受け入れられました。)など、やはり一筋縄ではいかない事例であったと言えます。調べると、実際に免責が不許可になる事例は少なく、複数の免責不許可事由に該当するケースがほとんどのようですが、それでも本件は最後まで楽観視することはできず、個人的にも多くの教訓が得られた事案でした。

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