会社が破産するとなった場合、大きな心配のひとつが従業員の処遇です。これまで共に働き会社を支えてきてくれた従業員。出来る限り、次の職場へ円滑に引継げるように、給与の未払いがないように、誠意ある対応を取ってあげたいものです。
従業員を解雇する時期とタイミング
会社がなくなりますから、従業員は会社を辞めてもらわざるをえません。労働基準法上、解雇する場合は、30日前までにその予告をするか、30日に足りない日数分の賃金を支払う(解雇予告手当)ことになります。
いずれにしても、会社が破産し解雇となれば、従業員は収入を失いますから、生活の基盤が揺らいでしまいます。破産手続きを行う場合は、できるだけ早く従業員に伝えられるように、準備しなくてはなりません。
整理解雇の4要件
破産をする場合に限らず、会社の経営が揺らぎ、人員整理しなくては経営継続が困難な場合に、整理解雇が認められます。
- 人員整理の必要性
- 整理解雇するには、削減をしなければ、会社の存続が危ないという程、人員削減が必要であると認められなければなりません。
- 人員整理以外の方法がないか
- 役員報酬の削減、新規採用の抑制など人員整理以外の方法・手段を検討し、できることはしなくてはなりません。人員整理でも問題ですが、そもそも破産するのに高額の役員報酬は問題となります。先日は、2000人規模の有料老人ホームが破たんしましたが、直前まで社長が役員報酬3億円とって、経費で豪遊していたと問題になっています。
- 被解雇者選定の合理性
- どの人に辞めてもらうのか、人選の基準が合理的でかつ公平であること。
- 人員整理手続きの妥当性
- 労使間で十分な協議をして、従業員の納得をえる努力をしていること。
未払い賃金はどうなる?
倒産するとなると、従業員への未払い賃金が残っていることが多いです。破産手続きに入るまでにできるだけ支払ってあげたいとおっしゃる方も多いのですが、なかなか難しいというのが現実。
そこで活用できるのが、「未払賃金立替払制度」です。「支払日が到来している定期賃金及び退職金」について、最大で80%が従業員の方に支払われます。従業員が手続きをすすめることになりますが、指導支援していくことが望ましいです。
退職金は支払う必要があるの?
そもそも退職金を支払う必要があるかいなかは、退職金の規定があるかです。退職金の定めがない、具体的な金額の定めがないとすると、退職金を支払う必要はありません。
なんとかせめて退職金は支払ってやりたい。と思っても、資金的に問題があるでしょうが、支払う必要がないことが通常で支払うことも難しいのが一般的です。