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迷惑入居者を追い出したい!5つの事例別に退去のさせ方と条件を解説

騒音・家賃滞納・トラブルメーカーの入居者にお困りの大家さんへ。
迷惑な入居者を追い出せる条件と迷惑な入居者を退去させる具体的な方法を解説します。
【この記事でわかること】

  • 退去させることができる迷惑行為は、家賃滞納、騒音、無断転貸など
  • 退去させることができる条件は、契約違反と信頼関係の破壊
  • 退去させる流れ
  • 5つの事例別追い出すポイント
    • 家賃滞納
    • 騒音トラブル
    • ゴミ屋敷
    • 無断転貸など
    • 迷惑クレーマー
  • 迷惑な入居者を放置すると苦情が増大する
  • 迷惑な入居者を追い出す交渉術は論破ではない
  • 過度な追い出し行為はこちらが逆に違法となる
  • 迷惑な入居者を退去させる手続きと費用
  • 迷惑な入居者を退去させる心理的負担は大きく軽減すべし
  • 弁護士に相談するタイミングとメリット

なお、強制退去の進め方について知りたい方は、「強制退去・立ち退き強制執行の方法と流れ!条件や期間も弁護士が解説」をご覧ください。

目次

1.「迷惑な入居者」を追い出すための基本ルール

大家や他の入居者に対して迷惑をかける入居者はすみやかに出て行ってもらいたいものです。
どういう場合に追い出すことができるのでしょうか。

1)退去させられる迷惑行為とは具体的にどんなもの?

入居者を追い出せる『迷惑行為』と認められる具体的なものは、以下のようなものです。

  1. 家賃滞納
  2. 騒音
  3. ゴミ屋敷化・これに伴う悪臭
  4. 共用部や道路などにゴミを捨てる
  5. 隣人への執拗なクレームなど
  6. 覗き
  7. 無断での増改築
  8. 無断での転貸
  9. 無断で人を住まわせる(単身物件での同棲)
  10. ペット禁止物件でのペット飼育

ただし、これらの行為があれば直ちに追い出すことができるわけではありません。
これらの迷惑行為が、「退去に相当するほどひどい」場合のみ、退去させられる可能性があります。
ではどのような条件が必要であるのか、次の項目で解説します。

2)迷惑な入居者を退去させられる条件

上で示したような『迷惑行為』があり、このような入居者をもはや信頼することはできないという場合に追い出すことができます。
条件は以下の2つです。

  1. 賃貸借契約などに定めた義務またはその他法令に反したこと
  2. その違反が信頼関係が破壊される程度であること

(1.)入居者が賃貸借契約などに定めた義務に反した場合は、債務不履行となりますから賃貸借契約を解除し退去させられるというのが基本です(民法541条)。
先の項目で挙げた”単身物件での同棲”の例でいえば、契約内容として「単身で住むこと」と定められていますから、誰かと同棲していたら立派な「契約違反」です。

(2.)ただし、その契約違反も軽度であれば退去まではさせられません。
その契約違反が、「信頼関係が破壊される程度」に至ることが必要です。
なぜなら、債務不履行を理由に契約を解除できるのは、「相手が約束を守らなかったために、もう契約の目的を果たせない」と言えるような場合に限られるからです。
賃貸借契約では、ちょっとした違反があっただけでは、「もうこの契約を続ける意味がない」とまではいえないことが多いため、契約解除の理由としては不十分になるのです。
先に挙げた迷惑行為についていうと、この「信頼関係が破壊される程度」に相当する具体的なケースは以下のようにまとめられます。

迷惑行為 信頼関係が破壊される程度
家賃滞納 3ヶ月以上の滞納

催促の通知を送っても支払いがない

騒音 早朝、夜間に60デシベル程度の音

同じ部屋で掃除機をかける程度の音

共用部や道路などにゴミを捨てる 居宅部分以外にゴミを捨て、5度6度注意しても改善されない場合
ゴミ屋敷化・これに伴う悪臭 周囲に悪臭が漂ったり、木が腐食するなど構造に影響を与える、火災の原因になる
隣人への執拗なクレームなど 正当な理由のないクレームを隣人に対して続けて、5度6度注意しても改善されない
覗き 隣室に立ち入っての覗き見、お風呂場を覗く、など
無断での増改築 大家に許可を得ることなく壁を壊して2つの部屋を一つに変更する、など

・原状回復不能、または修繕費が高額になる場合

無断での転貸 大家に許可を得ることなく、親族以外の人に貸す
無断で人を住まわせる 空いている部屋を民泊のように利用する
ペット禁止物件でのペット飼育 大型ペットを飼育する

鳴き声・臭い・抜け毛等で近隣に被害が出ている

2.入居者を退去させるまでの一般的な流れ

あなたが手を焼いている入居者が「追い出せる条件に当てはまっている」ことがわかれば、次にどうやって退去させるのか、その具体的な方法が知りたいところでしょう。
どのようにして迷惑な入居者を退去させるのかを解説します。手順は以下の通りです。

  1. 注意・警告
  2. 退去勧告
  3. 裁判
  4. 強制執行

なおこれらの対応は、他の住民の不満が募らないよう、速やかに行うことが大切です。
また、多くのケースでは退去勧告までのところで話をつけ、退去させられますし、大家様にとっても退去者にとってもそれが望ましいです。
ですから、裁判はあくまで最終手段のような位置付けで考えておくと良いでしょう。
では、各項目について説明します。
なお、立ち退きの通知から裁判の進め方について、より詳しく知りたい方は、「立ち退き通知〜裁判までの流れ・進め方と期間!裁判費用も併せて解説」をご覧ください。

1)注意・警告

入居者が迷惑な行為をしていることがわかったら、その入居者に対して注意をし、やめるように促します。
入居者か特定できない場合は、全員に注意文を送付し、掲示板などに張り出しましょう。
改善が見られない場合は、再度、注意文を送付します。
迷惑な行為の程度が小さければ小さいほど、注意を何度も繰り返します。
管理者を通じて注意文を手渡すというのもより効果を発揮します。
該当する問題行為によって注意文の内容は変わってきますが、例として騒音トラブルの場合の注意文は以下のようなものです。

騒音の場合の注意文例

【騒音に関するお願い】

ご入居者様

平素より当物件の管理にご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。

さて、最近、入居様より騒音に関するご相談をいただいております。 生活音などは日常生活において避けられない面もございますが、特に夜間や早朝の時間帯につきましては、音量等に十分ご配慮いただき、皆さまが快適に生活できる環境づくりにご協力をお願いいたします。

なお、本書面は、入居者様全員に送付させていただいております。
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

今後とも、良好な住環境の維持にご理解とご協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

令和〇年〇月〇日

2)退去勧告

何度も注意したにもかかわらず、改善が見られない場合は、注意文よりも強い退去勧告を送付します。

いつまでに改善が見られない場合は、賃貸借契約を解除しますので退去してくださいという旨の文章です。

騒音の場合の警告文例

【騒音に伴う契約解除の警告】

○○号室 ご入居者様

平素より当物件の管理にご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。

再三の騒音改善要請にもかかわらず、状況に改善が見られず、依然として騒音に関する苦情が多数寄せられております。

これ以上の改善が見られない場合、貴室との賃貸借契約を解除することを検討せざるを得ません。

つきましては、本書を最終警告とし、直ちに騒音を停止いただくとともに、居住者の皆様が快適に過ごせる環境を守るため、即刻対応いただきますよう強く要請いたします。

なお、本件に関する対応が見られない場合、法的措置を含む契約解除手続きを開始させていただくこととなりますので、あらかじめご承知おきください。

令和〇年〇月〇日

3)裁判

改善が見られないし、退去もしてくれそうもないとなると裁判を検討します。
以下でも記載しますが、裁判をするには時間とお金がかかります。
したがって、入居者自ら出ていってもらうことを優先してください。
引っ越し代くらい出してあげるくらいの気持ちをもってください。
迷惑な入居者の対応、いることによる様々な損失を考えると、引っ越し代くらい安いものです。

4)強制執行

裁判をして勝ったにもかかわらず入居者が出ていってくれない場合、裁判所の力を借りて強制的に退去させます。
強制的な退去とは、執行官が現地に行って入居者を排除する手続きです。
立ち退き通知から強制執行までの流れ、費用についてもっと詳しく知りたい方は、「立ち退き通知〜裁判までの流れ・進め方と期間!裁判費用も併せて解説」をご覧ください。

3.【5つの迷惑事例別】追い出すための方法とポイント

具体的な迷惑行為別に追い出すためのポイントをご紹介します。

1)家賃滞納者を退去させる場合

①家賃滞納で退去させられるケース・条件

家賃滞納は契約違反ですが、1度遅れただけで追い出すことはできません。
信頼関係が破壊される程度といえるには、目安として3ケ月以上の家賃滞納です。
電気、水道、ガス、家賃は食事の次に優先して払うものですが、それが払えないということは今後の家賃支払いも見込めないといえます。
家賃が払えないということは引っ越し費用もままならないということです。

②家賃滞納者を退去させる具体的な方法

投資利回りを下げないためにも、3ケ月の家賃滞納で速やかに出ていってもらうことが大切です。
ですから、2ケ月遅れに入ったころには強制的に追い出す検討が必要です。

  1. 家賃滞納
  2. 督促
  3. 2ケ月家賃滞納
  4. 退去勧告と訴訟の準備
  5. 退去するよう交渉
  6. 3ケ月家賃滞納
  7. 訴訟

督促をしっかりすることは大切なので定期的な督促を怠らないでください。
訴訟の費用と時間を考えると、引っ越し費用を払ってあげてでも出ていってもらうことを検討ください。
なお、家賃滞納者を立ち退きさせる方法を詳しく知りたい方は、「家賃滞納者を立ち退きさせる4つの手順とは?内容証明〜強制執行まで」をご覧ください。

2)騒音トラブルの入居者を追い出す場合

①騒音トラブルで退去させられるケース・条件

騒音トラブルは契約違反ですが、騒音の程度によって信頼関係が破壊される程度といえるまでが異なります。
家賃滞納と異なり、騒音トラブルは性質の問題になりますから、言い方によってはさらなる問題に発展しかねません。
丁寧に対応しつつ、訴訟も見据えるため、以下の証拠を準備して下さい。

  • 具体的な騒音(いつ、どこで、どんな騒音出したのか)
  • 具体的な注意(いつ、どんな注意をしたのか)

②騒音入居者を退去させる具体的な方法

騒音の程度と注意しても改善しないこととのバランスが求められます。
ですから、こまめな注意とその注意によっても改善がないということ繰り返す必要があります。

  1. 騒音発生
  2. 注意
  3. 騒音発生(改善がない)
  4. これを数度繰り返す
  5. 退去勧告
  6. 退去するよう交渉
  7. 訴訟

家賃滞納と異なり一定のお金は払えるので引っ越し先は見つかるはずです。
他の入居者の退去、訴訟の費用と時間を考えると、引っ越し費用を払ってあげてでも出ていってもらうことを検討ください。
騒音トラブルで強制退去させる手順と警告文例などについて知りたい方は、「賃貸の騒音トラブルで強制退去させる6つの手順!条件と警告文も紹介」をご覧ください。

3)ゴミ屋敷(それに伴う悪臭)主を退去させる場合

①ゴミ屋敷(それに伴う悪臭)で退去させられるケース・条件

ゴミを室内に放置することは程度がありますが誰でもすることです。
したがって、ただちに契約違反とはなりませんが、その程度によっては室内の管理義務に違反します。
信頼関係が破壊される程度といえるには、

  • 相当長期間是正されない
  • 悪臭によって近隣に迷惑をかけている
  • 腐食などによって建物に影響を与えかねない
  • 火災発生などのリスクがある

など相当の社会常識をはるかに超える程度であることが必要です。
そして、そのような方がまともに話ができるとは思えないため、腹をくくって強制執行で追い出す覚悟が必要です。

②ゴミ屋敷(それに伴う悪臭)主を退去させる具体的な方法

常軌を逸するゴミを出す人に片付けてといても無駄なことがおおい。
なんならこれはゴミではないと言い出す始末です。
速やかに強制退去させる訴訟手続きが適切です。

  1. 退去させられる条件を満たす
  2. 退去勧告と交渉
  3. 訴訟

臭いは24時間でますし、ネズミなどの害虫が増えます。
速やかな対応が必要です。

4)契約違反者(単身者用アパートでの同棲、無断転貸、ペット禁止違反)を退去させる場合

①契約違反(単身者用アパートでの同棲、無断転貸、ペット禁止違反)で退去させられるケース・条件

これらの行為は違反行為と言えます。
信頼関係が破壊される程度といえるには、無断転貸はただちに信頼関係が破壊されたといえます。
単身用アパートの同棲は、何度も注意したにもかかわらず解消されない場合です。
ペット禁止違反については、入居前に十分な説明をして禁止であることを認識させたこと、相当の期間是正がされない場合です。
大型のペットで建物や周辺住民に影響を与えるとなると、短い期間で是正されないことで大丈夫です。
なお、親戚のペットを一時的に預かったのみである場合は、信頼関係が破壊されたとは認められないでしょう。

②契約違反者(単身者用アパートでの同棲、無断転貸、ペット禁止違反)を退去させる具体的な方法

退去させない対応も検討できるのではないでしょうか。
単身用アパートの同棲であれば、これ以外に理由がなければ追い出す必要まではないと思いますので、同棲を認めるが共益費を増額するなどの対応が適切ではないかと思います。

  1. 退去勧告
  2. 退去交渉
  3. 訴訟

5)迷惑クレーマーを退去させる方法

①迷惑クレーマーを退去させられるケース・条件

迷惑クレーマーは、どこからが迷惑であるか、どこからが義務違反かがまず問題です。
賃貸借契約には次のような行為を禁止する定めが一般的にあります。
「本物件又は本物件の周辺において、著しく粗野若しくは乱暴な言動を行い、又は威勢を示すことにより、付近の住民又は通行人に不安を覚えさせること。」(参考:国土交通省標準契約書
信頼関係が破壊される程度といえるには、これらの迷惑行為を再三注意したにもかかわらず是正されないことが必要です。

②迷惑クレーマーを退去させる具体的な方法

一般的にこのような人は何が何でも出ていってもらうことが必要です。

  1. 退去勧告
  2. 退去交渉
  3. 訴訟

債務不履行による解除で退去が難しい場合は、賃貸借契約の終了時に更新をしないという手段も検討しましょう。

  1. 退去勧告
  2. 退去交渉
  3. 契約終了に更新しない旨の通知

4.迷惑な入居者を放置する5つのデメリット

迷惑な入居者を放置すると次のようなデメリットがあります。

1)対応が遅いことにより苦情が大きくなる

迷惑な入居者がいることがその他の入居者から申告があり、速やかに対応しないと、申告した入居者からの正当なクレームが大きくなります。
クレームがクレームをよびさらに多くの人が申告することになります。
正当なクレームであったのに、対応が遅いことで悪質なクレームに変わってしまいかねません。

2)入居者間でトラブルが大きくなり手に負えなくなる

被害を受けている入居者が直接迷惑な入居者へクレームをいうことがあります。
どちらも当事者なので、自分事として感情的になってしまうことも多い。
そこから、喧嘩みたいなことになり、さらに周囲を巻き込んでの問題になるなど、傷害事件になってしまうということもあります。

3)周りの入居者が引っ越してしまう

まっとうな長い間借りてほしい入居者が迷惑な入居者に関わりたくないと引っ越してしまいます。
退去率があがると原状回復費用、リーシング費用が増額することになり、利回りが下がってしまいます。
まともな入居者に出来る限り長くいていただきたいので、真摯に素早く対応しましょう。

4)SNS、口コミなどでのネット上での評判低下

口コミ、SNSで悪いうわさが流れてしまうと、リーシングに甚大な影響を与えます。
借りるようとする人が口コミを見るのが当たり前の時代です。
悪い口コミがあると、真偽を確かめることも難しく、昔の話で今は違っても確かめられないので、候補から真っ先に外れてしまいます。

5)空室が増えて家賃収入が減る

リーシングが困難になり、入居者が引っ越してしまうことになると、入居率が下がり賃料収入が減少します。
投資利回りが下がることはもっとも避けたいことですね。

5.迷惑入居者をスムーズに追い出す交渉術

迷惑な入居者を速やかに追い出すためにはどうすればいいのかを解説します。
まず「迷惑な入居者なんだから出ていって当然」だとおもわないことです。
具体的には、以下の3点を意識しましょう。

  • 丁寧に対応する(少し下手に出るくらいで)
  • 直接交渉しない(管理会社を介する)
  • 引っ越し費用を払ってあげる

その姿勢で対応すると雑に対応したり上から話しているようになり、迷惑な入居者がすんなり出ていってくれません。
目的は、迷惑な入居者が自分からスムーズに出て行ってもらうことです。
この目的をブレることなく冷静に対応しきってください。

6.【注意】『追い出し行為』として損害賠償請求されないように

出ていってほしいからと嫌がらせをしてはいけません。
民法上の「不法行為」(民法第709条)や、「契約上の信義則違反(民法第1条2項)」に該当する可能性が高く、反対に貸主側が損害賠償責任を負うリスクがあります
特に以下のような行為は、裁判例でも違法と判断されたことのある具体的な「追い出し行為」です

  • 張り紙、ビラ(注意喚起の度を超えたもの)
  • 勝手に鍵の交換
  • タイヤをパンクさせる
  • 室内に入って物を出す
  • 大声で督促する
  • 鍵をロックする

これらの行為は「賃借人の権利」を不当に侵害し、たとえ家賃滞納など正当な理由があったとしても、裁判所の正式な手続を経ることなく強制的に退去させることは許されません。
実際に過去の判例では、「違法な追い出し行為」に対して数十万円〜数百万円の損害賠償が命じられたケースも存在します。
また、こんなことされたら「出ていってやるものか」と逆効果になる可能性もあります。

7.【重要】迷惑入居者を強制退去させる場合の手続きと費用

迷惑な入居者が出ていってくれない場合に、訴訟をして強制執行をするという強制退去の手続きを検討します。

  1. 占有移転禁止の仮処分
  2. 訴訟を提起
  3. 強制執行申立て
  4. 明け渡しの断行

という流れになります。
占有移転禁止の仮処分は必ずしなければならないわけではありません。
また、費用と期間は次の通りです。

費用相場 弁護士費用相場 目安期間
占有移転禁止の仮処分 印紙代数千円

切手代数千円程度

担保金

予納金

40万円 1ケ月
裁判 印紙代数万円程度

切手代6,000円程度

100万円 半年~2年
強制執行 執行文付与300円

送達証明書150円

予納金6万円

執行補助者30万円

鍵の交換3万円

20万円 2ケ月

裁判手続きは費用と時間がかかります。
出来る限り裁判手続きを使わないで終わる方が経済合理性があります。
なお、立ち退きの通知から裁判の進め方、費用について知りたい方は、「立ち退き通知〜裁判までの流れ・進め方と期間!裁判費用も併せて解説」をご覧ください。

8.迷惑入居者の退去後にやるべきこと

迷惑入居者が退去した場合には、その他の入居者に対してフォローをしておくことが望ましいです。

1)再発防止

次の迷惑な入居者が出てこないようにしてください。
賃貸借契約書の禁止事項に本件事案を具体例として追加してください。
次の入居者には、そのことを含めて禁止事項を十分に説明して、サインをもらいましょう。

2)他の入居者フォロー

迷惑な入居者が他の入居者にも被害があった場合は、その迷惑な入居者が退去したことと謝罪を伝えておきましょう。
どうなったのだろうと心配している方も多いですから顛末を報告することで、丁寧な大家さんだなと思ってもらえて、大家さんへの信頼がアップします。

9.迷惑な入居者を追い出す際の『心理的負担』への対処法

迷惑な入居者といえども、大半の方が普通に話ができて解決できることが多いです。
しかしながら、ちょっとしたボタンの掛け違いで、話が通じない困った人になってしまうことがあります。
また、そもそもが話が通じない困った人である場合もあります。
ただでさえ交渉はとても大変でストレスのかかるものですが、この手の問題はさらにストレスがかかります。
不動産管理会社に手伝ってもらうことが理想です。
不動産管理会社を入れてない場合は、これを機に入れるのも検討です。
また、次に説明する弁護士に依頼するのも良いでしょう。

10.迷惑な入居者問題を弁護士に相談するタイミングとメリット

迷惑な入居者対応は間違えればより大きな問題となったり、時間がかかりすぎると投資効率を大きく落としてしまいます。
弁護士に相談するタイミングは、問題発覚後すぐ、不動産管理会社がある場合は不動産会社が速やかに解決できないと思った時です。
弁護士に依頼するメリットは、訴訟も踏まえて速やかな解決が望めることです。
一方で弁護士費用がかかるというデメリットがあります。
問題が大きくなる前に依頼することで交渉による解決の可能性が高まり、弁護士費用も安く済みますし、早く出ていってくれることで次の入居者も募集しやすいです。

11.【Q&A形式】迷惑入居者を追い出す際のよくある質問

良く受ける質問をご紹介いたします。

  • 「強制退去の際、入居者に費用の負担をさせられますか?」

法律上は強制退去の裁判手続き費用は負担させられます。
ですが、実際に費用を改修することはできず、大家さんが負担しなければならないと思ってください。

  • 「退去交渉で入居者から損害賠償を求められるリスクは?」

求めるのは自由なため求められるリスクはあります。
ですが、上記で説明したような行為でない限り、一般的に請求されても払う必要がないものであることが多いです。
過度な心配はなさらないでください。

まとめ

迷惑な入居者を退去させるためには、まず以下のような迷惑行為があり、それが「信頼関係を破壊するレベル」に達する必要がある。

  • 家賃滞納(3ヶ月以上)
  • 騒音(早朝・夜間の生活に支障をきたす騒音)
  • ゴミ屋敷化(悪臭・衛生問題)
  • 共用部へのゴミ放置(複数回の注意を無視)
  • 執拗なクレーム、覗き行為、無断の増改築・転貸・同棲、ペット飼育

退去までの流れは「注意・警告 → 退去勧告 → 裁判 → 強制執行」となり、通常は勧告までで自主退去を促すのが望ましい。
裁判や強制執行は費用・時間がかかるため最終手段とする。
また、迷惑入居者への対応時のポイントは、「丁寧な姿勢・管理会社経由の交渉・引越費用の提供」でスムーズな退去を促すことである。
逆に鍵交換などの追い出し行為は違法で損害賠償の対象となる。
迷惑入居者を放置すると、他の入居者の不満が高まり退去者が増える、口コミによる評判低下、空室率増加など経営への深刻な影響があるため早期の対応が重要となる。
弁護士への相談は問題が拡大する前の早期段階が効果的であり、費用はかかるが迅速な解決やトラブル防止に役立つ。退去後は再発防止策の策定や他の入居者へのフォローが必要である。
迷惑な入居者を速やかに退去させられるヒントになれば幸いです。

監修者

飛渡 貴之

資格:弁護士/司法書士、土地家屋調査士有資格
所属:弁護士法人キャストグローバル

〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目4-10 虎ノ門35森ビル1階
相談受付:03-6273-7758
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