最近、外国人労働者が合同労組(ユニオン)に駆け込み、会社側に団体交渉を申入れるケースが増えています。労組対応に関して会社が取るべき対応は、基本的に日本人従業員の場合と変わりませんが、外国人従業員については特別な配慮が求められる場合があります。
外国人教師が加入する労働組合が学校側に団体交渉を求めてきた事例において、組合側が英語での団体交渉を求めたのに対し、学校側が日本語での交渉と組合側が通訳者を手配することに固執し、譲歩をしなかったという事例において、正当な理由のない団体交渉拒否に該当すると判断された事例があります(都労委平成27年不第17号)。この事例は、必ずしも学校側に通訳者の手配をせよとされたものではなく、組合側との妥協点を模索する努力をする必要があると判断されたものですが、ここからもわかるように、外国人従業員の加入する労働組合に対しては、会社側が言語等を理由に頑なな態度を取ることは避けるべきです。
最近、一部の企業が技能実習生を劣悪な待遇や環境で酷使しているという事例が報道されており、技能実習生等の外国人従業員が合同労組に駆け込む自体は今後も増加すると考えられます。そのような事態を防止するには、何より外国人従業員に対して適法かつ適切な雇用を行うことが求められます。
それでもなお外国人従業員が合同労組を通じて団体交渉を求めてきた場合には、団体交渉のルールに則って交渉を行う必要がありますし、労組側の要求を受け入れがたいのであれば毅然とした対応をとらなければならない場合があります。
合同労組は労働法規を熟知しており、団体交渉の経験も豊富ですので、会社が十分な対策を取らないまま不用意な対応してしまうと、不当労働行為とされてしまったり、過剰な要求に応じざるを得ない場合もあり得ます。
合同労組からの団体交渉の申し入れがなされた場合は、迅速な対応が求められますし、遠慮なく弁護士へご相談ください。