2019年4月の改正入管法施行により、「特定技能」の在留資格が創設されて単純労働的な業務において外国人の就労の間口が広がりました。
もっとも、これは単なる規制緩和ではなく、規制強化を伴っています。「特定技能」の在留資格を得るには、対象となる外国人の技能や日本語能力が問われるのみならず、受入れ先の企業や雇用契約の内容に様々な要件が課されており、また、支援計画の策定と実施が求められます。たとえば、受入れ先企業は労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していることが求められるほか、法人又は役員が一定の処罰を受けていた場合には受入れが認められない場合があります。
在留資格を取得して特定技能の外国人が就労を開始した後も、出入国在留管理庁等に対して定期的な届出や雇用契約変更・終了時等の届出を励行しなければなりません。
特定技能外国人の受入れ企業において、これらの法令に違反した場合は、行政処分が課せられ、企業名を含めた違反の公表がなされる場合や、受入れの停止がなされる可能性があります。
また、特定技能以外の在留資格に関しても当局の管理が厳格化されており、行政処分や在留資格の取消しが活発になされるようになっています。技能実習生の受入れ先企業に対しては、技能実習計画の取消しや業務改善命令がなされています。技能実習計画の取消しがなされれば、技能実習生の受入れが直ちに停止される上、技能実習生のみならず特定技能外国人に付いても今後5年間の受入れが法律上不可能となります。
業務改善命令にとどまる場合であっても、企業名も含めて違反が公表され、企業のレピュテーション上の大きなダメージとなります。大企業でも処分されるケースが相次いでおり、十分に注意する必要があります。
在留資格の取消しの件数も倍増しており、特に留学や技能実習が取り消されるケースが増えています。当局は悪質な業者の摘発を進めており、就労資格がない外国人を雇用する場合や、就労資格の制限を超えて雇用する場合には不法就労助長罪で処罰される可能性があります。
外国人を雇用する企業は、入管法だけでなく、労働関係法令や社会保険法令、租税法令など複数の法令を遵守する必要があり、コンプライアンス体制の確立が求められます。
入管法に精通した弁護士であれば、外国人労働者の受入れ可否の判断から、コンプライアンス体制の確立、法令遵守や各種届出のサポート、労務監査に至るまで経営者とともに進めていくことができますので、まずはお気軽にご相談ください。