不法就労とは

不法就労とは、外国人が法律上認められない就労を行うことを意味します。

正式には「不法就労活動」といい、出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」といいます。)第24条第3号の4イに定義規定が設けられています。

不法就労活動とは、①資格外活動と、②不法残留者等の外国人が行う報酬または収入を伴う活動に分けられます。なお、令和5年の入管法の改正により③仮滞在許可を得た者が行う収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(許可を得た場合を除く)も不法就労活動に含まれることとなりました。

①の資格外活動は、入管法第19条第1項に違反する活動です。主体となるのは、入管法別表第1の在留資格(いわゆる就労系在留資格)を保有する外国人です。

これらの外国人が、各自の在留資格で認められた活動の範囲外の活動であって、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を伴う活動を行った場合に資格外活動となります(業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の報酬など入管法施行規則第19条の3に規定されるものは除きます)。

ただし、資格外活動許可(入管法第19条第2項の許可)を得た外国人が、その許可の範囲内で行う活動は除外されます。

 

②の活動について、その主体となるのは、入管法第70条1項1号、第2号、第3~3号の3、第5号、第7~7号の3、第8号の2~4のいずれかに該当する外国人です。いわゆるオーバーステイ(不法残留)など、日本に滞在していること自体が犯罪となり得る外国人です。

このような外国人が報酬または収入を伴う活動を行った場合は、全て不法就労となります。ただし、令和5年の入管法改正により、監理措置に付され、かつ、報酬を受ける活動の許可を受けた外国人がその範囲内で行う活動は除外されます。

不法就労助長

不法就労は、就労をした外国人のみならず、雇用等によって就労をさせた者も処罰される可能性があります。不法就労をさせた雇用主等には「不法就労助長」という犯罪が成立する可能性があります(出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項第1号)。入管法の条文は以下の通りです。

出入国管理及び難民認定法・第73条の2第1項

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者

三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

この不法就労助長は、外国人の就労が不法就労に該当することを知ってわざと(故意に)就労させた場合だけでなく、不法就労に該当することを知らなかった場合であっても、そのことに過失が認められる場合にも成立し得ます。

不法就労助長罪は、令和6年6月に成立した改正入管法により厳罰化されました。法定刑の範囲が3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科から、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はその併科、に引き上げられました。

 

不法就労かどうか確認するには

第1段階は、②の外国人に該当するかどうかの確認を行うことです。これはすなわち、有効な在留資格を保有しており、かつ、その在留期間内にあることを確認することと同じです。

そして、この点は在留カードで確認することができます(在留カードを所持していない外国人でも有効な在留資格を保有している方もいますが、その大半は原則就労不可の「短期滞在」の外国人です。在留カードを保有していない外国人を雇用できるのは極めて例外的な場合に限ります)。

 

在留カードの「在留期間(満了日)」欄を確認し、現時点がその在留期間内であれば、これを保有する外国人は不法残留等に該当しないと言ってよいでしょう。

もっとも、偽造在留カードが広く流通しており、多くの不法残留らが偽造在留カードを用いて就労している実態があります。したがって、在留カードが真正なものか否かを確認する必要があります。その点は別途こちらを参照してください。

 

第2段階は、①の資格外活動に該当しないかどうかの確認です。こちらは、判断が容易ではない場合があり、注意が必要です。

 

まず行うべきことは、その外国人が就労可能な在留資格を保有しているか否かの確認です。

この点も在留カードで確認できます。

在留カード表面の「就労制限の有無」欄には、「就労不可」、「在留資格に基づく就労活動のみ可」、「指定書により指定された就労活動のみ可」、「就労制限なし」と記載されています。

 

このうち「就労制限なし」と記載されている場合は、就労活動の内容にかかわらず、就労が可能です。

 

「在留資格に基づく就労活動のみ可」と書かれている場合は、次にその在留カードの「在留資格」欄に記載されている在留資格を確認する必要があります。ここに記載された在留資格を保有している外国人が行い得る活動は、入管法別表の各在留資格の下欄に記載されています。

その判断が容易ではない場合が多々あります。

 

「指定書により指定された就労活動のみ可」と記載されている場合については、パスポートに貼付されている指定書を確認する必要があります。

 

「就労不可」と記載されている場合、原則としてその外国人は就労ができません。ただし、主に「留学」や「家族滞在」の在留資格で在留している外国人の場合に、資格外活動の許可を受けている可能性があります。これは裏面の「資格外活動許可」欄で確認できます。

この資格外活動の許可を得ている外国人の場合は、「就労制限の有無」欄の記載が「就労不可」であっても、就労をすることができます。

ただし、就労可能な時間や業務内容について制限があります。

 

以上のとおり、外国人を雇用するにあたり、不法就労助長にならないようにするためには、まずはその外国人に在留カードを見せてもらい、その記載内容を確認することが重要です。

そして、在留カードの「就労制限の有無」欄の記載内容によっては、更なる確認事項が生じます。その際の判断が容易ではない場合もあります。

 

前述の通り、不法就労助長罪においては、過失があっても成立する場合があるところ、雇用にあたって在留カードの確認を怠ったような場合は、過失があると認められ、ひいては犯罪が成立すると認定される場合が多いと考えられます。

弁護士に依頼いただければ、不法就労のチェックなどが可能ですので、ご相談ください。

 

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