- 外国人と日本人では刑事事件になった場合は何が違うのか?
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従業員が刑事事件を起こした場合、会社としてはその従業員に懲戒処分を行うかどうか、懲戒するとしてどのような処分を行うかという問題に直面することとなります。このことは日本人従業員の場合も外国人従業員の場合も同じですが、外国人従業員の場合、刑事処分によって退去強制処分を受ける場合や、在留資格の更新に影響が生じる場合があることに更に注意する必要があります。
退去強制となる場合は入管法24条に規定されています。この規程は非常に複雑で、罪名や刑罰の内容等によって退去強制事由に該当するのかどうかを個別に判断する必要があります。もっとも、一般的に退去強制事由に該当する場合は、懲役刑など重い刑事処罰を受ける場合が多いと思われますので、会社としては懲戒解雇かそれに近い重い懲戒処分を行うことになるでしょう。この場合、就業規則に従って適切に処分を行う必要があります。
退去強制事由に該当しない場合でも、在留資格の更新に悪影響を及ぼす可能性があります。法務省の公表資料によれば、例えば「技能」の在留資格で在留していた外国人調理師が、公然わいせつ罪により罰金10万円に処せられた場合に、在留状況に問題があるとして、在留期間更新許可がなされなかった事例があったということです。このように、比較的軽微な刑罰を受けた場合で退去強制事由に該当しない場合であっても、在留資格の更新が認められないなどの影響が生じる可能性がありますので、会社として注意する必要があります。
なお、外国人従業員が刑事事件を起こした場合、捜査の過程で外国人の身分詐称が発覚する場合があります。実は在留資格がなかったということや、パスポートが偽造だったことが発覚する場合があるのです。そのような場合、雇用をしていた会社が不法就労助長罪に問われる可能性が生じます。不法就労助長罪には過失犯処罰規定がありますので、在留資格がないことやパスポートが偽造であることを会社が知らなくても、パスポートや在留カードの確認をしなかった場合や、確認がずさんだった場合などには、不法就労助長罪が成立する可能性があります。
これを防ぐためには、外国人の身分や在留資格をパスポートや在留カード等でしっかりと確認しておくことが必要不可欠です。