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 貸主様向け 不動産トラブルお役立ちコラム
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保証人に請求する場合のタイミングについて

アパートやマンションなどの部屋を賃貸する場合には、必ずといっても良いほど、保証人を要求する場合が多いかと存じます。保証人がいるにもかかわらず、何か月も家賃を滞納されて、どのように対応すべきか悩む場合や、保証人への請求のタイミングを迷うことがあるでしょう。このほか、お金を貸す場合の保証人へ請求もどうすればよいのか不明な場合があるかもしれません。この記事では、そうした場合の請求のタイミングについてご説明いたします。

目次

家(部屋)やお金を貸す場合の保証人とは

法的に保証人というと、保証人と連帯保証人とが在ります。しかしながら、一般的には、保証人とは、「連帯保証人」を指します。一般に、保証人が法的な「保証人」ではないのは、債権者にとって不利な条項が民法にあるためです。なお、この記事で「保証人」とは、とくに断りがない限り「連帯保証人」を指します。

原則として、連帯保証人へは、借主に催告しない場合でも、いきなりその保証に係る金額を請求することができます。また、仮に、連帯保証人から、「先に借主に請求するべきではないか」(催告の抗弁)や、「借主には返済の余力がある」などと主張された場合でも(検索の抗弁)、法的には、貸主は連帯保証人に保証債務を履行するように請求をすることができます(民法454条参照)。

ただし、連帯保証の場合であっても、保証人は借主がお金を支払わない場合に、その支払い義務が発生するため、貸主は請求の順序としては、先に借主に請求をする必要があります(民法446条1項)。

どのタイミングで保証人に請求すべきか

前項で説明をしたとおり、法的には、借主に請求をしても支払いがされない場合は、すぐさま、保証人に保証債務を履行するように迫ることができます。

しかし、一般的な慣習としては、借主が弁済をしないからといって、即座に保証人へ請求が行われる場合は少ないように思われます。理由として考えられるのは、そもそも、家賃や貸金の弁済は、借主に請求すべきだといった条理的な側面があるものと考えられます。

したがいまして、どのタイミングでと問われた場合、その期間や期日を明確に表示することは適切ではありません。その契約の形態によって、状況がことなり、一概に捉えることができないためです。

とは言え、一般的には2か月を超過するような滞納がある場合には、保証人へ請求がされるケースが多いようです。

このタイミングで保証人から弁済があれば、貸主として問題は大きくはならないでしょう。他方で、保証人によっても債務が満足されない場合には、次の段階へと進むことになります。

いきなり多額の請求を保証人にすることはできるのか

例えば、家賃の場合、1年間の滞納があったとして、保証人にその1年分の家賃を請求することはできるのでしょうか。

原則的に考えると、法的には、上記の場合であっても、保証人にその全額を請求することが可能です(つまり、保証人になるということは、そのような危険をはらむものでございます。)。

しかしながら、常識的に考えて、1年間の滞納があったにも関わらず、また、その期間の途中での、1か月や2か月の滞納の段階で請求しないといったことに対して、保証人から文句を言われることがあるでしょう。

法的に考えた場合であっても、厳密にその請求態様を争われた場合には、貸主側の信義則違反(信頼利益に対する故意または重過失)が主張され、過失相殺される可能性はあります。

このようなことから、前項で説明したとおり、いきなり多額を請求すると、問題が生じやすくなることから、ある程度早期の段階であるか、少額の段階で保証人へ滞納の情報提供といった意味を含めて、請求を行うことが穏当でしょう。

貸主は保証人への滞納情報の提供義務を負うか

2017年5月26日に成立した改正民法の条項によると、委託を受けた保証人は、貸主に対して、借主の弁済状況等の情報提供について請求することができます(改正民法458条の2)。近時は、民法の規定の改正が相次ぎ、例えば、親族法に関しては、すでに一部施行されているものもあります。他方で、この記事で触れている箇所としての債権関係については、2020年4月1日の施行となっております。

このことから、一般論としては、貸主の情報提供義務に関する事項は、現在のところは法的な義務といったことはないでしょう。しかしながら、現行民法の規定であっても、「権利の行使および義務の履行は、審議に従い誠実に行わなければならない。」(民法1条2項)との記載のとおり、契約当事者には信義則を守る一般的な義務があります。

したがって、保証人への請求のタイミングの説明と内容は重複しますが、貸主の信義則上の義務として、一定程度の滞納のあった段階で、保証人に情報提供を行い、支払いや弁済を促すといったことを行うことが穏当な進め方であるでしょう。

まとめ

一般的に考えて、また法的には、保証人に請求するタイミングは、借主に請求した後であればどのタイミングでもできます。しかし、何度か触れたとおり、信義則の問題や、条理、慣習などの、民法の条文に記載されている以外の法的な要素を考慮すると必ずしも杓子定規のように考えることはできません。

また、実際問題として、一定程度の段階で保証人に請求を行うといった態度のほうが、結果的に問題を小さく制御でき、互いに損失を最小限にすることができる場合があります。

このような判断は難しい法的な判断となるため、弁護士に相談するなどするのが良いでしょう。

監修者

飛渡 貴之

資格:弁護士/司法書士、土地家屋調査士有資格
所属:弁護士法人キャストグローバル

〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目4-10 虎ノ門35森ビル1階
相談受付:03-6273-7758
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