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契約更新のときに、納得できない条件を付け加えられた場合の対処方法
賃貸借契約を締結している場合、通常は契約期間を定めており、期間が終了したら契約を更新することになるでしょう。
ところが、更新の際に、大家から突然新たな条件を追加されてしまうケースがあります。もしも、更新時に納得できない条件をつけられてしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか?
今回は、契約更新時に大家から一方的に条件変更を申し入れられた場合の対処方法を、解説します。
目次
1.賃貸借契約の「合意更新」について
賃貸アパートなどの賃貸借契約では、通常、2年などの契約期間がもうけられており、期間が経過すると、当事者の合意によって更新することが多いです。このように、当事者の合意によって賃貸借契約を更新する方法を「合意更新」と言います。
合意更新する場合には、次の契約も以前と同様(たとえば2年)となり、以前と同じ条件にすることが一般的です。しかし、このときに、大家が一方的に条件変更を申し入れてきたら、その変更に応じなければならないのでしょうか?
この場合、賃借人が大家による条件変更を受け入れなければならない義務はありません。
合意更新は、あくまで契約当事者双方が納得した上で、契約を更新する方法だからです。
条件に同意できない場合には、賃借人が無理に譲歩してまで合意更新する必要はないのです。
2.合意更新ができない場合の「法定更新」
それでは、契約の更新時において、大家が条件変更を申し入れてきたときに、賃借人が変更に応じなかったら、契約はどうなるのでしょうか?
契約が終了して、立退きを請求されてしまったら困る、という賃借人の方が多いでしょう。
結論的に言うと、このような場合、大家は、当然には賃借人に対し、立退き請求することはできません。大家は、賃貸借契約の更新を拒絶することができないからです。
期間の終了時において、賃貸人が賃貸借契約を終了させるためには、契約の「更新拒絶」が認められる必要があります。
ただ、賃貸借契約は、当事者間の緊密な信頼関係にもとづく契約と考えられていますし、賃借人にとって不動産は、居住場所となる重要なものです。そこで、法律は、賃貸人は、簡単には契約を解除したり、契約更新を拒絶したりすることができないとしています。
賃貸人が、契約期間終了時に更新拒絶するためには「正当事由」が必要です。
正当事由が認められる要件は非常に厳しく、たとえば、賃貸人が是非ともその物件に居住する必要がある場合(他に住む場所がない場合)や、建物が老朽化していて建て替えをしないと、倒壊等生命の危険が生じる場合、賃借人が他にも利用できる物件を多数持っている場合などで、これに加えて、賃貸人が相応の立退料を支払うことなどが必要となる場合が多いです。
賃借人が「条件変更に応じない」ことは、更新拒絶の正当事由になりません。
そこで、契約更新時に大家が新たな条件を付け足してきたり、賃料の増額を求めてきたりしても、応じる必要はありませんし、応じなくても更新拒絶されて、立退きを求められることもありません。
3.適切な対処方法とは?
以上のように、賃貸借契約の更新時において、大家が条件変更を申し入れてきても、賃借人は基本的に応じる必要はないのですが、賃料が近隣の相場と比べて著しく低額になっている場合などには、賃料増額請求をされるケースもあります。そのような場合、提示された条件も検討しなければなりません。
また、大家が提示している条件が受け入れ可能なものであれば、検討してもよいケースがあります。無下に却下するよりも、話し合いによって合意更新した方が、その後の大家との関係もスムーズになります。
さらに、合意更新をするのであれば、反対に、賃借人の側から条件をつけることも可能です。たとえば、大家が「今後はペット不可の物件にしたい」と言ってきたときに、その条件をつける分、賃料を減額してほしい、と言うことなども可能です。もし、ペットを飼う予定がないのであれば、こうした交渉をした方が得になるでしょう。
大家が契約の条件変更を申し入れてきたときの望ましい対処方法は、ケースによっても異なります。キャストグローバルの弁護士にご相談いただけましたら、ご相談者様の状況に応じて、最適な対処方法をアドバイスいたしますし、代理人として大家と交渉することも可能です。
賃貸借契約に関わる交渉は、専門の弁護士に依頼いただくことで、よりスムーズかつ短期で解決できます。一月の賃料は、それほど高額ではないかもしれませんが、積もり積もると大きな金額になります。まずは、安心して、弁護士による無料相談をご利用ください。