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隣家・隣室と騒音やペットの鳴き声などについてトラブルになっている。どのように対処すればよいか?
生活をしていると、どうしても近隣住民とトラブルが発生することがあります。
たとえば、隣家や隣室の住民が騒音を出すこともありますし、ペットの鳴き声や子どもの声、暴れる音などが問題になるケースなどが典型です。
こういった騒音トラブルが発生したら、どのようにして解決することができるのでしょうか?
今回は、隣家や隣室との騒音トラブルへの対処方法をご紹介します。
目次
1.騒音に対する規制について
生活空間に「騒音」があると、人間は非常に大きなストレスを感じます。
たとえば、近隣でカラオケハウスやライブハウスの営業が行われている場合などもありますし、隣家、隣室の人が大音量でステレオをかけていたり、子どもが階上で暴れたり、ペットや子どもの声がうるさかったり、ピアノの音が耳障りであったりすることがあります。
このような騒音被害が起こったとき、騒音を発している相手に対し、どのような請求ができるのでしょうか?
まず、工場や飛行機が出すような、「公害」レベルの騒音については、騒音規制法や振動規制法などの法律によって規制されます。この場合、デシベル単位で出して良い音の範囲が制限されているので、明確に基準があって差し止めなども容易です。
しかし、個人が出すレベルの「生活騒音」については、法律による一律の規制はありません。一部の自治体において、条例によって規制が行われている程度です(奈良県平群町や東京都国分寺市など)。
そこで、法律にもとづいて、騒音を発している隣家、隣室の人に対し、当然に何らかの主張ができるとは限りません。
2.騒音被害が違法となるケース
ただし、生活騒音であっても「受忍限度」を超える程度に達していると、不法行為が成立します。つまり、一般的な生活環境として受け入れるべき程度を越えて、激しい生活騒音を発生させている場合には、相手に対して法的請求ができるということです。
具体的には、騒音の差し止め請求や慰謝料請求を請求することができますし、騒音被害によって通院が必要になったケースなどでは、治療費などの実費を請求することも可能です。
3.騒音トラブルを解決する方法
近隣住民が騒音を発生させているとき、どのように対処すれば良いのでしょうか?
まずは話合いによる解決を試みましょう。近隣トラブルの場合、どちらかが引っ越しをしない限り、今後も長い付き合いが続くので、できれば関係が悪化しない方が良いからです。
マンションなどの場合には、管理会社や管理組合を通じて注意してもらうのも1つの方法です。
ただし、このような穏便な方法では解決できず、なおかつ酷い騒音が発生している事案では、法的手段も検討しなければなりません。
具体的には、内容証明郵便によって騒音の差し止め請求書を送りましょう。文面としては、騒音の発生を辞めてほしいということと、もし辞めないのであれば、裁判をする可能性もあることなどを記載します。
これにより、相手がプレッシャーを感じて騒音の発生を控えることもあります。
また、裁判所で調停を起こし、その手続き内で相手と話し合うことも可能です。
調停を利用すると、間に調停委員が入って話を進めることができるので、お互いに感情的にならずに解決を目指せますし、自分たちでは解決が難しい場合、調停委員から解決案を提示してもらえることもあります。
調停でも解決ができず、受忍限度を超える騒音被害が発生している場合には、相手に対して差し止め及び慰謝料請求訴訟を起こすことができます。
訴訟において、受忍限度を超えた騒音が発生していることを証明することができれば、裁判所が相手に対し、騒音の発生を辞めるように命令し、慰謝料支払い命令も出してもらえます。
また、裁判には時間がかかりますが、裁判の結果を待っていると、騒音によって体調が悪化するなどの緊急性がある場合には、仮処分により、騒音発生の差し止め請求をすることも可能です。
基本的には、当事者による話し合いによる解決が望ましいのですが、、、
以上のように、騒音被害に対処するには、騒音が受忍限度内かを検討した上で、隣家、隣室の人との関係にも配慮しながら、ケースに応じて最適な方法を選択する必要があります。
このような対応は、専門知識とノウハウを持った弁護士でないと難しくなります。