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離職票の離職理由

問題のある社員を退職してもらいたいとき、話し合いによって自主的な退職を促す「退職勧奨」という手段があります。しかし、元従業員から不当解雇として損賠賠償請求がなされたり、企業側が退職を強要した場合は違法行為と見なされるおそれがあります。円満な退職を実現するには、退職勧奨を行う前に「その手段が最適かどうか」を弁護士に相談しておきましょう。本記事では、退職勧奨の注意点や弁護士に依頼するメリットを解説します。

離職理由をめぐるトラブルとは?

従業員が退職する場合、解雇した場合は、本人が請求すれば「離職票」を発行しなければなりません。その際に問題となるのが離職票に記載される「離職理由」です。離職理由によって、受け取れる失業給付の基本手当の給付日数や支給開始までの期間が異なりますので、従業員にとっては重大な関心事項です。

しかし、企業の一方的な理由で解雇した場合は、企業側は助成金を受け取れないなどの不利益が生じます。従業員側は「会社の都合で退職した」としてもらいたいし、企業側は「自己都合で退職した」としておきたいと考えてしまいます。そこで今回は離職理由による失業給付の違い、離職理由を巡るトラブルの事例や、離職理由によるトラブルの対処法を解説します。

そもそもどうして離職事由が問題になる?

なぜ労働者は離職票の離職事由にこだわるのでしょうか。具体的に離職理由の違いがどのように従業員に影響を与えるのかを、確認してみましょう。

離職票とは

離職票(雇用保険被保険者離職票)とは、退職者に対して発行する書類です。失職した方が、失業給付金をハローワークに申請するために離職票が必要となります。離職票の発行の流れを簡単に説明します。

1. 離職票が必要かどうかを確認する

従業員に対して、離職票が必要かどうかを確認します。転職先が決まっている場合は失業給付の申請は不要ですので、離職票は必要ありません。

2. 離職証明書を従業員に書いてもらう

従業員に離職証明書に必要な事項を記載してもらいます。

3. ハローワークに提出する

従業員の署名捺印が完了したら、ハローワークに提出します。書類に不備がなければ離職票が発行されます。

4. 従業員に離職証明書と離職票を送付する

ハローワークから発行された、離職証明書と離職票を従業員に送付します。原則として退職日から10日以内に離職票を従業員に送付しなければなりません。

5. ハローワークに離職の手続を行う

離職票とは直接関係ありませんが、「雇用保険被保険者資格喪失届」等の雇用保険関連の手続も、退職から10日以内に行う必要があります。

離職票の離職理由の違いによる失業給付の差とは

失業者は、ハローワークに申請することで失業給付を受け取ることができます。失業給付は失業理由によって受け取ることができる日数や受け取り開始時期が異なります。失業給付の給付日数が優遇される「特定受給資格者」や「特定理由離職者」と判断されるために重要な指標となるのが、離職票に記載される「離職理由」です。

失業給付が手厚い「特定受給資格者」や「特定理由離職者」とは

特定受給資格者とは、会社の倒産や解雇、給与の支払い遅延、大幅な賃金の低下、大幅な長時間労働などによる理由で職を失った方です。
特定理由離職者は、有期雇用契約者が、契約の更新されないことによって失職した方や、病気や怪我、妊娠、出産、介護などにより離職した方などが該当します。
特定受給資格者や特定理由離職者に該当するかどうかを判断するのは、ハローワークです。その際に重要な指標となるのが離職票に記載されている、離職理由となります。ただし、離職票が自己都合退職であっても、特定受給資格者や特定理由離職者と判断される場合もあります。例えば配偶者の転勤による転居や、結婚に伴う住所の変更などです。

「特定受給資格者」は給付日数が長い

失業給付の受け取り期間は、年齢、雇用保険の被保険者であった期間の長さと、離職理由によって異なります。例えば、雇用保険の被保険者期間が3年間で30歳、解雇による失職である場合、失業給付の給付日数は120日です。しかし、自己都合の退職であれば90日となります。30日の違いは、金額にすると10万円以上の差となりますので、退職者にとっては離職理由が非常に重要なのです。失業給付が手厚くなるのは特定受給資格者や特定理由離職者に該当する失職者となります。

支給開始時期の違い

特定受給資格者や特定理由資格者は、失業給付の支給開始は、ハローワークに求職の申し込みをしてから7日間経過した後です。自己都合退職の場合は3か月と7日間経過した後となります。すぐに給付を受けたいと考える方にとっては、非常に大きな差となります。

国民健康保険の保険料

退職理由によって、国民健康保険の保険料の軽減措置を受けられることがあります。原則として、会社都合退職の場合や正当理由による自己都合退職の場合は、保険料が軽減されますが、それ以外の場合は通常の保険料を納付しなければなりません。

離職理由を巡るトラブルとは

以上の様に、失業給付を申請する際に失業給付の給付日数や開始時期を左右するのが離職票に記載する離職理由です。具体的にどのようなトラブルが発生するのでしょうか。

自己都合退職扱いか会社都合退職扱いか

原則として、自己都合退職よりも会社都合退職のほうが失業給付が手厚いです。したがって、元従業員は会社都合退職にするようにと求めます。本当の退職理由が、自己都合であっても、「セクハラがあった」、「パワハラがあった」などと主張することもあります。

離職理由によっては会社が制裁を受ける

離職理由によっては会社側が制裁を受けることがあります。企業によっては、助成金を受け取ることができなくなることがありますので、制裁を回避するために、会社都合の退職であると認めないことも少なくありません。しかし、企業側の都合によって離職理由を変える行為は、後々トラブルに発展しますので、企業側の都合を強要しないようにしましょう。また、自己都合の退職であるにも関わらず、従業員の求めに応じる等の理由により、会社都合の退職とした場合、失業手当の不正受給の共犯として罰を科される可能性もありますので、事実と異なる記載はしないようにしましょう。

退職理由の相違トラブルの対処方法

離職理由の相違によるトラブルを回避するために重要なのは、離職時の従業員との話し合いです。特に、退職勧奨によって退職する場合は、従業員と離職の理由をすりあわせ、事前に了承してもらうことが大切です。

また、自己都合の都合にも関わらず会社都合の退職であると主張する従業員に対しては、会社都合退職の不利な点も十分に説明しましょう。例えば、転職活動の際に「会社都合の退職」という事実は不利に働く可能性があります。倒産などの理由なら問題ありませんが、成績不良による懲戒解雇などによる会社都合の退職は、転職には不利です。退職の理由が「会社都合」とされていれば、「この人には問題があるのか」と勘ぐられてしまいます。そのような事情を従業員にしっかりと説明した上で、納得してもらいましょう。

従業員の理解が得られない場合や、納得してもらえない場合、不合理な主張が続くような場合は、弁護士に相談して対処法を助言してもらいましょう。

離職票の離職理由のまとめ

失業給付の給付を受けるために必要な離職票には、離職理由を掲載する必要があります。離職理由によって、失業給付の開始時期や支給日数が異なります。労働者側にとっては、「会社都合による退職」とされていると失業給付が手厚いため、有利です。会社にとっては、会社都合の退職が増えると、助成金の支給が受けられないなどのデメリットがあります。このように双方の利益が相反することが多いため、離職票の離職理由に関するトラブルは多く発生します。元従業員とのトラブルは、生産性がなく貴重なリソースを割くことになってしまいますので、問題が発生しないように、退職時にしっかりと話し合っておきましょう。従業員が、納得しない場合や、事前に対処法を検討したいという方は、企業法務弁護士にご相談ください。離職票トラブルを発生させないための対処法や解決法をアドバイスいたします。

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