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購入した物件に水漏れ等のトラブルがあった場合の対処方法
不動産を購入したとき、購入後に「水漏れ」が発生していることが判明することがあります。
このような場合、買主は、どのように対応すれば良いのでしょうか?売主に対し、水漏れの修理を依頼したり、損害賠償請求したりできるのかが問題となります。
今回は、購入した物件に水漏れなどのトラブルがあった場合の対処方法を、ご紹介します。
目次
1.瑕疵担保責任とは
購入した物件に水漏れが発生している場合、売主に対し、瑕疵担保責任を追及できる可能性が高いです。
瑕疵担保責任とは、売買の対象物件に「隠れた瑕疵(傷)」がある場合に、買主が売主に対して追及できる責任のことです。
「隠れた」ということですから、買主が瑕疵について、知らなかったことが必要です。
一方で、仮に売主がその瑕疵について知らなかったとしても、瑕疵担保責任は発生します。
2.瑕疵担保責任で追及できること
瑕疵担保責任として追及できるのは、基本的に、「解除」と「損害賠償請求」です。
2-1.損害賠償請求について
まず、瑕疵担保責任が発生する場合、損害賠償請求は、どのようなケースでも認められます。
水漏れ被害が発生する場合には、買主に対し、水漏れがないと信頼したことによって発生した損害額を支払ってもらうことができます。つまり、修理費用などを請求できるということです。
2-2.契約の解除について
これに対し、契約解除については、必ずしも認められるものではありません。
売買の瑕疵担保責任で解除ができるのは「瑕疵によって、物件の利用目的を達成できないケース」のみだからです。
水漏れ被害の場合、程度にもよりますが、比較的定額の修理費でトラブルが解決されて物件の利用を継続できる、という場合には、売買契約の解除が認められない可能性が高いでしょう。
2-3.瑕疵修補請求について
水漏れ被害のケースで問題になりやすいのは、「瑕疵修補請求」です。瑕疵修補請求とは、買主に瑕疵部分を修理させる請求のことです。
売買契約の瑕疵担保請求では、基本的に「瑕疵修補請求」は認められていません。そこで、売主に対し、直接水漏れを直すように求めることはできません。
ただし、新築住宅を不動産会社から購入する場合には、売買においても請負契約の規定が準用されており、売主の瑕疵修補責任が認められています(住宅の品質確保の促進等に関する法律95条)。
そこで、購入した物件が新築住宅であれば、水漏れ被害が発生したときに、売主である不動産業者に対して水漏れの修理を求めることができます。
3.瑕疵担保請求の期間について
売主に対する瑕疵担保責任が発生するとしても、その期間には注意が必要です。
3-1.瑕疵担保責任の基本的な期間
瑕疵担保責任の発生期間は、基本的には「瑕疵を知ってから1年」とされています。そこで、水漏れ被害が発生していることに気づいたら、なるべく早く、買主に連絡をして損害賠償請求すべきです。
また、不動産売買契約において、特約により、瑕疵担保責任の期間が制限されている場合や、瑕疵担保責任が免除されているケースもあります。ここはとても大切な決め事です。売買契約の際には、瑕疵担保責任に関する内容をきっちり確認しておきましょう。
3-2.不動産業者が売主のケース
売主が不動産業者の場合には、異なる規制が及びます。
不動産業者から住宅を購入する場合、基本的に瑕疵担保責任の期間が最低2年になります。
また、新築住宅を購入する場合には、瑕疵担保責任の期間が10年となります。
このように、瑕疵担保責任の存続期間は、ケースによって大きく異なるので、水漏れ被害が起こったときには、法的にどのような取扱いになるのか、正確に把握する必要があります。
4.仲介業者の責任
購入した物件に水漏れが発生する場合、不動産仲介業者にも責任が発生する可能性があります。不動産仲介業者は、物件の問題点を把握して、依頼者に説明すべき義務を負っているからです。
物件に水漏れ被害がある場合、仲介業者は当然調査して売主に説明しなければなりませんので、明らかに水漏れが起こっていて、それを見過ごしたということであれば、仲介業者に対しても、損害賠償請求ができます。
以上のように、購入した物件に水漏れが発生している場合、売主に対する瑕疵担保責任や仲介業者に対する損害賠償請求の追及を検討しなければなりません。請求できる内容は、ケースによっても異なり、法的な判断が必要となります。
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