製作物供給契約書

準拠する法律
民法、下請法、製造物責任法等
手続きに必要な書類・もの
仕様書、設計図、図面等
  • 契約書の内容によってはその他必要書類があります。

製作物供給契約書について

「物の制作」を依頼して供給を受けるという契約のひとつに「製作物供給契約」があります。請負契約や売買契約と似た性質を持つ契約であるために、民法の規定をどのように適用するか曖昧な点が多く、契約書の重要性が非常に高くなります。企業間のトラブルを回避するためには、契約内容や報酬の支払などを明確に規定しておかなければなりません。こちらでは、制作物供給契約の性質や契約書の書き方、ひな形などをお伝えします。

アライアンス・提携・OEMに関する契約のための製作物供給の契約書のポイント
  1. 受託者が自ら調達した材料で製品の製造を受託する契約
  2. 製造を受託するという点で請負契約の側面と製造した物を供給するという点で売買契約の側面を持ち合わせている
  3. 製造を委託する製品の仕様については、仕様書等を添付する等して明確に定めることがポイント
アライアンス・提携・OEMに関する契約のための製作物供給の契約書の注意点
  1. 納入時の検査の方法・不合格だった場合の取扱い等についても規定しておくことが必要
  2. 納期に間に合わなかった場合の損害賠償の予定を定めておくことも一案となります。
  3. 契約不適合責任の起算点と期間も重要です

製作物供給契約書とは

製作物供給契約とは、当事者の一方が(制作者)が相手方(注文者)の注文に対して、自社の材料で制作した物を供給し、相手方(注文者)がこれに対して報酬を支払う契約のことをいいます。その契約の締結に用いられるのが「製作物供給契約書」です。

メーカーが企業の発注に応じて製品を制作し、発注企業に供給するという契約がその例のひとつとして挙げられます。制作する「物」については、機械類や家具、洋服などの有体物に限らず、ホームページやソフトウェア制作を発注・供給する場合にも制作物供給契約に該当することがあります。

この契約では、発注企業の注文に対して制作を請け負う点では「請負契約」に該当しますが、制作物と報酬を引き換えに所有権が移転するという点では「売買契約」の要素を含んでいることから、「混合契約」と考えられています。

それぞれの契約は民法で異なる規定が設けられている点があるため、トラブルが起きたときに「請負契約と売買契約のどちらの規定が適用されるか」といった判断が難しくなるケースがあります。

利害関係があると問題解決が難航するリスクもあるため、請負契約と売買契約の要件を考慮したうえで、さらに詳細な事項を契約書に明記しておくことが望ましいといえるでしょう。

製作物供給契約書の書き方

制作物供給契約書を作成する際は、請負契約と売買契約の両方の側面を考慮しながら、制作物の内容や、当事者の関係性に応じて必要な条項を記載する必要があります。

一般的に、注文者が物の制作を発注し、制作者(請負人)が注文に応じて制作・供給するといったケースでは、注文者が「甲」、制作者(請負人)が「乙」となり、甲が乙に対して代金の支払を、乙は甲に対して製品の制作と納入を請け負う契約を締結します。

製作物供給契約書の基本的な記載事項は、以下が挙げられます。

製作物供給契約書の基本的な記載事項

  • 契約の目的
  • 業務内容
  • 納期
  • 納入手続き
  • 検査
  • 所有権および危険負担の移転
  • 報酬の支払い
  • 瑕疵担保責任
  • 解除
  • 協議

上記のなかでも、成果物がどのような検査基準をもって「完成」となるのか、合格・不合格の水準を明記することは非常に重要です。「製品を完成したのに報酬を支払ってもらえない」「制作を依頼したが、思っていた内容と異なる」といったトラブルを予防するためには、制作物の仕様を当事者で明確に規定しておくことが大切です。

また、製作物供給契約では、一般的に、「制作者が自社または自社が調達した材料を用いて制作する」ため、制作物の所有権は原始的に「制作者(請負人)」に帰属します。一般的な請負契約とでは所有権の帰属が異なるため、所有権の移転タイミングをよく協議して決める必要があります。さらに、「完成した制作物を引き渡す前に滅失してしまった」「依頼していた制作物に不完全な点があった」という場合に、どのように負担するのかといった「責任割合」を明確に定めておかなければなりません。

なお、注文者から請け負った制作を下請企業に依頼する場合には、「下請け」の可否等ついても事前に取決めておく必要があります。

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