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配置転換

配置転換の実施は企業にいくつかのメリットをもたらすものの、1つ間違えば従業員との労働問題に発展しかねません。リスクを抑えながら配置転換を行うためにも、適切な手順やトラブル予防策について把握しておきましょう。

配置転換とは?人事異動との違いやメリットについて

配置転換は企業側に認められている正当な権利ですが、従業員側の受け取り方や配置転換の方法によっては労働問題の引き金になることもあります。そこで今回は、配置転換の概要や実施手順、従業員に拒否された場合の対処法等を解説します。

配置転換とは

配置転換とは、同一の組織もしくは企業内にて勤務地や職種、職務内容等を相当の長期間にわたって変更することをいいます。労働協約や就業規則には「配置転換を命ずることができる」といった配転命令権について明記されている場合が通常ですが、配転命令権があったとしても、必ずしも配置転換が認められるわけではありません。

労働者が配置転換に不服がある場合や、勤務地や職種を限定する黙示の合意があるか否かによって、労使間トラブルに発展するケースもあります。配置転換を行う際は、配転命令の有効性について適正な基準で判断するとともに、労働者の就労環境に配慮しながら円滑に交渉を進める必要があります。

人事異動・転勤・出向との違いについて

配置転換と人事異動・転勤・出向は「従業員が異動する」という共通点をもっており、これらは人事異動としてまとめた意味合いで使われることが一般的です。しかしながら、これらは完全に同一のものではないため、それぞれの違いについて把握しておきましょう。

人事異動

人事異動とは、企業が従業員の勤務状態を変更することをいいます。人事に関わる変更は全て「人事異動」に括られるため、配置転換や転勤、出向も人事異動に含まれています。

転勤

同一の組織内および企業内で、事業所や勤務地を異動することを転勤といいます。

出向

所属企業における勤務状態はそのままに、出向先と呼ばれる別企業で働くことを出向といいます。

企業が配置転換を実施するメリット

配置転換を実施するメリットとしては、主に以下のようなものが挙げられます。

従業員の適材適所

配置転換における最大の利点は、従業員の能力や特性等を考慮して、それぞれに適したポジションに配置できることでしょう。厚生労働省の調査によれば、配置転換を行う企業の70.1%は「従業員の処遇・適材適所」を目的としています。従業員がもつポテンシャルや能力を発揮できる部署や業務に配置することで、業務効率が向上するほか、離職率低下にも繋がります。

企業の活性化

長年同じ部署で同じような業務内容だと、従業員同士での馴れ合いが発生する、業務を雑にこなす等の問題が起こりやすくなります。しかし、配置転換で定期的に職場環境を変化させることによって、従業員はもちろん、企業全体の活性化を促すことが可能です。さらに、複数の部署の人たちと接することで社内の人的ネットワークが発達し、協働を促進できます。

人材育成

配置転換を実施することで、従業員はさまざまな業務に携わることができます。言い換えれば、総合的なスキルを持った人材を育成しやすい環境といえます。また、配置転換によって従業員の新たな才能を開花させることも可能です。

モチベーション維持および向上

日本においては、多くの企業が終身雇用制度を採用していますが、長く同じ職種に就くことで、業務がルーチン化して新鮮さがなくなったり、モチベーションが低下する可能性もあります。しかし、それぞれの従業員に適した部署に配置できれば、業務に対するモチベーションも向上しやすくなります。

配置転換の流れ

企業は、原則として従業員に配置転換を命ずることが可能です。しかしながら、配置転換について就業規則等で内容共有や事前告知をしなかったり、労働者に著しい不利益を与えると判断される場合には「権利の濫用」とされ、配置転換が無効になるおそれがあります。

労働者の合意なく実施してしまうと、「パワハラ・マタハラだ」「嫌がらせをされている」などと主張され、損害賠償請求を請求されたり、ときには労働裁判や訴訟を提起されるケースもあります。円滑に配置転換を実施するためには、以下のように段階的に実施するのが望ましいです。

従業員への内示

辞令が交付される前に、本人または直属の上司に配置転換の実施を伝えましょう。内示はまだ準備段階に過ぎないため、周囲に内容が漏れないよう限定した人物にのみ伝達してください。一般的には辞令交付の1週間~1ヶ月前までに内示を行いますが、家族を含めた転居が必要になる等、従業員の家庭事情によっては3~6ヶ月前に伝えておくことが好ましいです。

配置転換の辞令交付

配置転換の正式な通知は、書面でなくても構いません。辞令の発令権限を持った人が発令する場合においては、口頭でも効力を発揮します。しかし、無用なトラブルを防止するためにも発令日や配置転換後の勤務地、勤務内容等を記載した文書を作成しておいた方がよいでしょう。作成時の注意点として、「現部署の任務を解く日」と「新部署への異動日」の日付を別日に設定しないということが挙げられます。別日にしてしまうと社歴に空白が生まれるため、必ず同一日にする必要があります。

効果検証の実施

配置転換を実施した後は効果検証を行い、「従業員にとって配置先は適切であったか」「当初掲げていた目的を達成できそうか」等を確認しましょう。また、異動した従業員とも密にコミュニケーションをとり、将来のキャリアプランについて検討することが大切です。

配置転換が無効とされるケースとは

企業側は、従業員の同意なしに配置転換を命じることができます。しかし、以下に該当する場合は配置転換が無効とされる可能性があります。

就業規則等に配置転換に関する記載がない

配置転換を従業員に命じるためには、就業規則や労働協定等にその旨を記載して根拠を提示することが必要です。記載がない場合は、配置転換が認められない可能性があります。したがって、配置転換を実施する場合は、必ず就業規則や労働協定等に「企業は従業員に対して配転命令をすることができる」との旨を記載する必要があります。

権利濫用に該当する

「業務上配置転換を行う必要がない」「不当な動機や目的等が認められる」「労働者に対して著しい不利益を負わせる」等の場合は、権利の濫用にあたるとして無効とされることがあります。労働者に対する著しい不利益の例としては、給与の減給や大幅な通勤時間の増加、労働条件の変更によって子どもの養育が困難になる等が挙げられます。

専門職として雇ったのに、他の職種に異動させる

一定の専門職や特定職として採用している人材を、その従業員の意に反して他職種に配置転換した場合も配置転換が無効になる可能性があります。特殊な技術や技能、資格を有する者などには「職種を限定する」旨の合意があるのが通常です。しかし、職種を限定しているか否かが曖昧なケースではトラブルに発展しやすいといえます。

配置転換でトラブルを起こさないための対策

従業員は企業における財産ともいえるため、トラブルを極力起こさないように配慮することが大切です。そのため、配置転換を行う前に以下の対策を講じておきましょう。

就業規則を整理しておく

まずは既存の就業規則を見直し、配置転換における規定内容を整理しましょう。実施の有無に加え、配置転換を拒否した場合の懲戒処分について明記しておくことも重要です。仮に従業員から不当だと主張されたときに対抗しやすくなります。就業規則の作成や整理については弁護士や社会保険労務士などに依頼すると、法的に有効でトラブルを未然に防止できますので、一度相談しておくとよいでしょう。

配置転換を実施する前に従業員と話し合う

就業規則に記載がある場合であっても、実際に命じられる従業員が不満をもっている、納得していないといった状態は好ましくありません。「不当な異動」「パワハラ」だとして労働トラブルに発展する恐れがあるためです。したがって、配置転換を実施する前には従業員と話し合いの場を設け、双方が納得したうえで実施を決定しましょう。話し合いが平行線を辿る場合は、手当面を考慮する、サポート体制を整える等を行うほか、場合によっては配置転換を中止する等、企業側が歩み寄ることも大切です。

従業員の家庭事情等に配慮する

配置転換を実施する場合、従業員の生活に負担がかからないかどうかを考え、なおかつ家庭事情に合わせた柔軟な対応をとりましょう。特に介護や育児を行っている従業員には配慮せねばなりません。事情を把握せず、地方異動や通勤時間を大幅に増加させるような配置転換を命じると、従業員のモチベーションが著しく低下する可能性があるほか、労働者に著しい不利益を負わせるとして効力が無効とされる可能性があります。

また、妊娠や育児、介護を理由にした配置転換でないと当該従業員に伝えることが大切です。正当な理由を提示したうえで理解してもらわなければ、労働トラブルに発展して慰謝料を請求される恐れがあります。

入社時等に配置転換がある旨を説明しておく

配置転換の実施を予定している、既に実施しているという場合は、従業員の入社時にその旨を説明しておきましょう。実施が不当でないこと、そして命じられた場合は従わなければならないことを認知してもらうことにより、のちのトラブルを予防できます。もし定期的に配置転換を実施するのであれば、求人を出す段階で周知しておくと良いでしょう。

従業員から配置転換を拒否された場合の対応

配置転換が有効であるにも関わらず従業員が拒否した場合は、業務命令に反するとして懲戒処分を下すという方法があります。懲戒処分には、以下の種類が存在します。

  1. 戒告…口頭による注意で反省を促す
  2. 譴責…当該従業員へ始末書を提出させる
  3. 減給…労働基準法第91条の基準に則って、本来の支給額から一部賃金を差し引く
  4. 出勤停止…一定期間の出勤を禁じる
  5. 降格…役職や職位を引き下げる
  6. 諭旨解雇…企業と従業員が話し合ったうえで解雇処分を下す
  7. 懲戒解雇…企業側が一方的に従業員との労働契約を解消する

どのような懲戒処分を下すかは企業の判断に委ねられますが、処分があまりに重すぎれば当該処分が無効であるとして、訴訟を提起されるなどの問題に発展しかねません。どのような懲戒処分を下すのが適切かについても、企業法務を専門とする弁護士への相談を強くおすすめします。

配置転換に関するご相談は「キャストグローバル」まで

企業側が配置転換を命じることは、法的にも認められています。しかし、就業規則に明記していない場合や、権利の濫用に該当する場合等は配置転換が無効とされてしまいます。また、場合によっては不当な配置転換を命じられたとして「パワハラ」を主張され、慰謝料を請求されることも考えられます。従業員とのトラブルを防止するためにも、就業規則の整理や従業員への周知徹底等の対策をとりましょう。

もし配置転換に関することでお困りでしたら、労働問題に強い「キャストグローバル」までご相談ください。当事務所では配置転換に関わる対応のほか、就業規則の作成やハラスメントセミナー等も実施しております。企業側の弁護士として、法的観点から労働問題の防止・対応に努めます。

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