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労働組合の街宣活動

労働組合による街宣活動への対応について

労働組合による違法な街宣活動は企業だけでなく、所属している労働者にも悪影響を及ぼす行為です。したがって、速やかに中断させなければいけませんが、どのようにして対処すべきなのでしょうか。ここでは、労働組合による街宣活動への対応について解説します。

労働組合による違法な街宣活動。企業側の適切な対応とは

労働組合は、労働者の権利や利益を守るために組織された団体です。最近では企業単位で組織された「企業内労働組合」以外に、ユニオンと呼ばれる合同労働組合も増えてきました。合同労働組合は、企業内に労働組合が存在しない労働者の駆け込み寺的存在となり、個別の労働紛争の解決手段の一つになっています。

しかしながら、なかには過激な行動を起こすユニオンも存在しており、企業の経営活動に大きな支障をきたすような街宣活動が行われることも珍しくありません。街宣活動は表現の自由の行使として、日本国憲法で保障されている行為ではあるものの、常軌を逸した行動は企業として見過ごすことができない問題です。そこで今回は、労働組合による違法な街宣活動への対応と対策について弁護士が解説します。

労働組合による街宣活動とは

労働組合は団体交渉が平行線を辿ったり、要求が通らなかったりすると、企業へ圧力をかけるために「街宣活動」を行うことがあります。具体的には、オフィスや店舗に街宣車を止めてシュプレヒコールを繰り返すなどの行為が挙げられます。

上記のような労働組合による街宣活動は、労働三権の一つである「団体行動権」によって保障されている正当な活動であり、違法性はありません。本来なら業務妨害罪や名誉毀損罪になりえる行為ではあるものの、よほど酷い場合でなければ違法性が阻却され、不法行為には該当しないと判断されます。

しかし、度を過ぎた街宣活動は企業の名誉を不当に傷つける、顧客からの信頼を失墜させる、虚偽の事実を拡散されて売上が減少するなど、企業に大きな損害をもたらすことがあります。また、所属している労働者のモチベーション低下にも繋がりかねないため、違法とも取れるような街宣活動には、できる限り素早く対処することが大切です。

ユニオンによる街宣活動には注意

合同労働組合、通称「ユニオン」は企業内に労働組合がない、または加入できない労働者が集まって組織されている団体です。中小企業で働く労働者を中心に、フリーランスや労働組合に加入できない管理職などの労働者が集まっています。ユニオンは企業内労働組合に比べると、好戦的な姿勢で望んでくることが多く、団体交渉や街宣活動などの行動が過激になることも珍しくありません。したがって、ユニオンによる街宣活動には注意を払う必要があります。

違法とみなされる街宣活動

記事冒頭でも述べた通り、労働組合による街宣活動は法的権利として保障されており、違法な行為ではありません。しかし、以下のような街宣活動は不法行為に該当する可能性があります。

取引先への街宣活動

取引先のオフィスや店舗にて街宣活動を行い、明らかに虚偽の事実が記載されたビラなどを配る行為は、企業の名誉を毀損するとして違法だとみなされることがあります。また、取引先に対する街宣活動は、企業に著しい不利益をもたらすことがあるため、正当な労働組合活動ではないといえるでしょう。

社長の自宅前での街宣活動

労働組合の社長や取締役などの自宅の前で街宣活動を行うことも、正当な労働組合の活動ではないと判断される可能性が高いです。会社の社長であっても、プライベートまで労働組合に糾弾されるべきではありません。

行き過ぎた街宣活動に対する企業の対応

弁護士名義で警告文を送付する

行き過ぎた街宣活動を行う労働組合に対して裁判を起こすことも可能ですが、対応には時間やコストがかかってしまいます。そのため、まずは弁護士名義で警告文を送付しましょう。警告文に法的強制力はないものの、相手方にプレッシャーをかけることができ、一定の抑止力となる可能性があります。なお、書面作成は必ず弁護士へ依頼してください。企業内で作成した場合、内容が不当労働行為にあたると指摘され、企業側が責任を追求される可能性があります。

裁判所に仮処分を申立てる

上記項目でも述べた通り、警告文には法的強制力がないため、労働組合によっては一切効果がないこともあります。そうした場合には、裁判所に街宣活動等の行為の差し止めの仮処分の申立てを行うことが有効です。仮処分が言い渡されれば、労働組合の街宣活動を停止させることができます。

損害賠償を請求する

労働組合の街宣活動が不法行為に該当すると認められた場合、慰謝料や実際に被った損害を請求できる可能性があります。また、街宣活動が原因で企業の売上が減少した場合、客観的に立証できる証拠があれば、その損害を請求することも可能です。

刑事告訴する

度を越えた街宣活動に対しては、名誉毀損罪や業務妨害罪などの罪で刑事告訴することも検討しましょう。また、労働組合による街宣活動が原因で自社の労働者が負傷した、社内の備品が破壊されたなどのケースも罪に問える可能性があります。

労働組合による違法な街宣活動を回避するためには

労働組合による街宣活動は「団体交渉が円滑に進まない」「企業側が要求をのまない」といった理由がきっかけで行われることがあります。つまり、団体交渉の時点で企業側が適切な対応を取ることができれば、街宣活動を回避できる可能性が高まるのです。

しかしながら、労働組合には労働問題や団体交渉に精通した猛者が集まっており、少しでも誤った対応を取れば、一方的に非難されて責任を問われる、労働組合の行動がエスカレートするなどの危険性があります。

こうしたリスクを避けるためにも、団体交渉に弁護士を同席させることが大切です。弁護士に依頼することで法的に正しく立ち回ることができ、過激な街宣活動の防止に繋がります。

労働組合の街宣活動のまとめ

労働組合による街宣活動は、法で認められた正当な行為です。しかしながら、企業の経営活動を妨害する、経営陣のプライベートにまで踏み込むなど、常軌を逸した街宣活動が行われることもあります。こうした違法な街宣活動への対応は弁護士に依頼し、企業に著しい悪影響を及ぼす前に活動を中断させることが大切です。

弁護士法人キャストグローバルでは、街宣活動をはじめ、団体交渉への立ち合いや不当労働行為救済申立てへの対応など、労働組合にまつわるトラブルを承っています。なにかお困りのことがございましたら、当事務所までご相談ください。

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