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労働局のあっせん手続き

労働局のあっせん手続の期日通知が来た場合の対処法

企業と労働者が様々な問題で対立した場合、労働者側が選択することが多いのが労働局のあっせん手続による解決です。そこで今回は、労働者が労働局のあっせんによる解説を望んだ場合に行うべきことを解説します。また労働問題が発生しないための対策についても解説します。

労働局のあっせん手続とは

企業と労働者が様々な問題で対立した場合、労働者側が選択することが多いのが労働局のあっせん手続による解決です。そこで今回は、労働者が労働局のあっせんによる解説を望んだ場合に行うべきことを解説します。また労働問題が発生しないための対策についても解説します。

労働局のあっせんは無料

労働局のあっせん手続とは、「個別労働紛争解決制度」に基づく手続です。労働者、もしくは企業側が都道府県労働局や総合労働相談コーナーに申し込み可能で、無料で利用できます。

申し込みを受けると、労働局長が紛争調整委員会にあっせんを委任して、双方にあっせん開始通知が送付されます。ただし、すべての案件が無条件であっせん手続になるわけではなく、事情を確認した上で必要と判断された場合のみ労働局長があっせんを委任することになります。一方が不参加の意思表示を行うとあっせんは開催されません。

紛争調停委員会によるあっせん

あっせんでは、紛争調停委員会が選定した労働の専門家であるあっせん委員が間に入って双方の主張を確認して、話し合いを促進します。あっせん委員は弁護士や社会保険労務士や大学教授などの労働問題の専門家が務めます。通常、あっせんは1回のみの解決で数時間程度で終了します。

あっせん委員が提示したあっせん案やそれ以外の方法で双方が合意すれば、問題は解決します。合意しなければ打ち切りとなりほかの方法での解決を検討することになります。

労働局のあっせんの対象になるトラブル

労働局のあっせんの対象になるのは以下のようなトラブルです。

  • ●解雇、雇い止め
  • ●労働条件の不利益変更
  • ●いじめ、嫌がらせなどの職場環境の問題
  • ●退職や事故などでの損害賠償請求
  • ●会社分割による労働契約の継承
  • ●同業他社への就業禁止などの問題

あっせんでの合意の効力

あっせんで合意した内容については、和解契約と同じ効力があります。あっせんの合意内容を会社側が守らなかった場合に、ただちに強制執行を申し立てることはできません。

あっせん期日の通知がきたときの対処法

次に労働局からあっせん期日の連絡が来た場合にやるべきことを解説します。

参加の意思の表示

従業員が労働局にあっせんを申し込むと、企業側には労働局からあっせん期日が通知されます。あっせん期日の通知を受けた企業側の選択肢は以下の3つです。

  • ●あっせんに参加する旨を労働局に連絡
  • ●あっせんに参加しない旨を労働局に連絡
  • ●無視する

あっせんへの参加は義務ではありませんので、応じなくても問題はありません。あっせん期日の通知を無視した場合は、労働局から電話がかかってきますので、どちらにせよ参加するかどうかの意思表示は必要です。

あっせんに参加するかどうかはどう判断すれば?

あっせんの参加は義務ではありませんが、参加しないことは合理的とは言えません。あっせんに参加しなかった場合、労働者側は労働審判や訴訟などの手続を検討するからです。あっせんであれば1日で手続が終わることがほとんどですが、労働審判は申し立ててから3か月ほどかかります。訴訟であれば半年から1年は覚悟しなければなりません。そのためにかかる費用と、かける労力を考えると、あっせんで解決した方が合理的であると言えます。

あっせん代理人への委任を検討

労働局のあっせん手続は、弁護士があっせん代理人として参加することができます。弁護士があっせん代理人になるメリットがこちらです。

  • ●不利な条件での合意が回避できる
  • ●あっせんに貴重なリソースを割く必要がない

あっせんでは、専門家が間に入るため、一方的な内容での解決が提案されることは少ないといえますが、弁護士が間に入ることで、そのリスクをさらに軽減可能です。また、あっせんの準備などの対応に時間をとられることもありません。労働局からあっせん期日の通知が届いたら、一度企業法務を専門とする弁護士に相談してみましょう。

弁護士にあっせん代理人を依頼するほどではない事案についても、適切な解決方法や解決金の金額などを弁護士がアドバイス可能です。

労働局のあっせん手続に発展させないためにできること

労働局のあっせんに限らず労働者とのトラブルは、経営者にとっては頭の痛い問題です。解決のために時間をかけても、利益が増えるわけではありません。したがって、労働問題が発生しないための仕組み作りが重要です。

残業代未払いの根絶

残業代未払い問題は、社会問題化しています。従業員が残業をしているにも関わらず残業代を支払わなければ、あっせん手続や労働審判などで残業代を請求され、労働者側が適切な証拠を確保していたら、残業代を支払わなければなりません。
訴訟で、残業代未払いに悪質性が認められた場合は、付加金といって未払い残業代と同額の制裁金のような性質のお金を支払わなければならないおそれもあります。
残業代の未払いは、それが事実であれば圧倒的に企業側が不利ですし、紛争となった場合は解決までに時間がかかりますので、日頃から未払い残業代を発生させないように努めることや、残業をさせない体制作りが重要です。

就業規則の整備

労働問題の中には、就業規則を整備しておくことで予防できるものもあります。例えば、パワハラやセクハラなどのハラスメントは、就業規則で禁じる旨を規定した上で、行った従業員に対して懲戒処分も設定しておくことで、抑止力になります。
また、フレックス制度や裁量労働制、在宅勤務などの働き方を導入している場合は、それぞれの働き方についての所定労働時間や報酬、残業代について、などをきちんと規定しておくことで、労働問題の発生リスクを軽減可能です。

従業員の相談窓口を確保しておく

従業員が、社外機関や弁護士ではなく、社内で相談できる体制を整えておくことも大切です。厚生労働省が発表した平成30年のあっせん手続の申請内容で最も多かったのが「いじめ・嫌がらせ」でした。申請総数5476件に対して、いじめ・嫌がらせは1808件と全体の3分の1に相当します。これらの問題は、社員の相談窓口を設置しておくことで、早期に解決可能です。
しかし、いじめや嫌がらせなどの問題は、社員や上司には相談しにくいと感じる方が多いため、第三者である弁護士に相談窓口を依頼することをお勧めします。弁護士であれば、社内に相談内容が漏洩するおそれがなく、従業員は気軽に相談できます。

従業員を解雇する場合は事前に弁護士に相談を

問題社員を解雇する場合、どんなにその行為が悪質であっても弁護士に解雇できるかどうかをご相談ください。経営者の方が思っている以上に、解雇のハードルは高く、少額であれば1度の横領での解雇は無効と判断されるほどです。
また、就業規則に解雇の規定を設けていない場合は解雇ができないおそれもあります。解雇の可否は難しい判断が求められますので、弁護士に事前に相談しておくことを強くお勧めします。

労働局のあっせん手続きのまとめ

労働局のあっせん手続は無料で利用できること、期日が1日で終わることが多いことなどから、労働者側が利用することが多い手続です。あっせんの手続は拒否することもできますが、拒否すると労働審判や訴訟などを申し立てられるおそれがありますので、期日までに対策を講じた上で参加するのが得策です。
あっせん手続には弁護士が代理人として参加することができますし、参加するまでもない場合も、対処法のアドバイスが可能です。労働局からあっせん手続の期日が通知された場合は、放置せずに企業法務を専門とする弁護士にお任せください。

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