クレーム対策についての従業員教育の重要性
企業が不特定多数の顧客を相手に商売を行っている場合に、避けて通れないのが顧客からのクレーム対策です。顧客からのクレームへの対応は精神的な負担の大きな業務ですが、企業活動において、非常に重要な位置付けと意味合いを持っています。このクレーム対応次第で、企業の業績を大きく左右すると言っても過言ではありません。そのため、クレーム対応を行う従業員の能力や資質を上げることが求められます。ここでは、クレーム対応についての従業員教育の重要性についてお話ししたいと思います。
1. 初期対応を誤ると二次被害が発生するおそれがある
顧客からのクレーム対応において最も大切なのは、初期対応です。この初期対応を誤ってしまったために、企業に発生する被害を二次被害といいます。クレーム対応の誤りによって生じた二次被害は、企業自体のブランドイメージ等を大きく低下させてしまう結果、当初のクレームの原因(製品の不具合等)から発生する損害よりも大きな損害を企業に与えてしまう点に特徴があります。 特に、近年は、インターネット上やSNS上において個人が自分の意見を表明しやすくなったために、余計にその傾向は強くなったといえます。初期対応の状況を録音した音声や、初期対応時の企業からのメール等がWEB上に公開されてしまった結果、企業の存立に影響しかねない損害を発生させてしまったような事例は後を絶ちません。 企業にとって、クレーム対応のまずさによる二次被害の発生は何として避けなければなりませんが、そのためには、初期対応を行う従業員の資質の向上が求められることから、事前の従業員教育が重要になってくるのです。
2. クレームは顧客の貴重な意見と捉える
一件のクレームの陰には、同じような不満をかかえつつも、敢えてクレームとして企業にその不満をぶつけることなく、その企業の製品やサービスから離れていく、いわゆるサイレントカスタマーが数多く存在すると言われています。 企業にとって、製品やサービスに対する顧客の生の意見は、大切な資源であるといえますが、クレーム対応は、このような顧客の生の意見を収集する大切な場面であるという側面を有しています。そのため、クレーム対応を担当する従業員には、クレームは顧客の意見であるという意識をしっかりと持つことと、顧客のクレーム内容を的確に把握し、社内へフィードバックを行う能力が求められます。そのための従業員教育は企業にとってとても重要であるといえます。
3. 過大なクレーム、不当なクレームに応じてはいけない
クレームは顧客の意見であるという側面を有していますが、だからといって過大なクレームや不当なクレームに応じてはいけません。クレームの中には、脅迫まがいのものや、金銭や特別待遇を要求するようなものも存在します。しかし、このような要求に応じてしまうことは、一部の顧客に不当・不公平な利益を供与することになり、企業のコンプライアンス上、問題があると言わざるを得ません。また、そのような一時的な対応が、インターネットやSNS等を通じて他の顧客の知るところになってしまった場合のダメージも計り知れません。通話録音がワンタップで出来てしまいますから、不用意な対応が記録されてしまいます。 このような不当なクレームや過大なクレームに応じないためには、どこからが企業として応じてはならないラインなのかということを、クレーム対応を担当する従業員がしっかりと理解しておく必要があります。そのためには、従業員への事前の教育が必要となります。
4. まとめ
事業活動を行う企業にとって、顧客の信頼を失わないためにも、また、顧客の信頼を勝ち取るためにも、クレーム対応は重要な役割を担っているといえます。この重要なクレーム対応の場面において適切な対応を行うためにも、クレーム対応に関する従業員教育を積極的に行うことをおすすめします。