- 労働組合
弊所で受任した休業の取扱いに関する団体交渉事件について
第1 事案の内容
弊所で受任した休業の取扱いに関する団体交渉事件についてご紹介します。
会社代表者から弊所に電話があり、「当社の従業員が自己都合の欠勤を休業扱いするよう求めており、当社がこれを拒否したら、従業員が外部の労働組合に加入し、その労働組合が当社に対して団体交渉を求めてきた。当社が団体交渉を拒否したところ、労働組合から抗議文が届いた。大変困っているので、対応して欲しい。」とのご相談がありました。
労働組合は団体交渉を拒否されたことを理由に、労働委員会にあっせん手続を申し立てていました。弊所としても、早期解決を実現すべき事案と考え、速やかに本件を受任することになりました。
第2 解決までの道筋
はじめに
会社代表者からヒアリングした結果、労働者の休業の取扱いに関する主張には法的理由がないと判断しました。しかし、会社が団体交渉を拒否したことには労働組合法上の問題があると判断しました。
そこで、労働者の主張については法的根拠がない旨を主張し、団体交渉を拒否したことについては一定の解決金を支払うという解決スキームをご提案したところ、会社代表者からご理解をいただけました。そこで、この解決スキームに沿って本件を進めていくことになりました。
あっせん手続
労働組合は既に労働委員会にあっせん手続を申し立てていたため、早急にあっせん手続の対応を検討しました。
労働委員会のあっせん手続とは、労働委員が労働者と会社との間に入り、双方の意見を聴取のうえ、妥当な解決方法を模索する手続です。そのため、あっせん手続では、労働委員に会社側の主張をいかに理解してもらうかが重要になってきます。
期日には弁護士と会社担当者の2人で出席し、労働委員に対して、労働者の休業の取扱いに関する主張に法的根拠がないことを客観的資料を用いて説明しました。労働委員は会社側の主張を十分理解してくれました。しかし、組合側に会社側の主張が十分に伝わらず、あっせん手続は打切りになりました。
団体交渉①
あっせん手続が打切りになったため、労働組合から本件に関する団体交渉を求められました。
団体交渉期日には弁護士と会社担当者の2人で臨みました。
開始早々、組合側から本件に関する会社の対応が不適切である旨を主張がなされました。また、組合側から、休業の取扱い以外にも、賃上げ要求、慰謝料請求等の様々な要求がなされました。
その場で回答できる内容ではなかったので、いったん持ち帰って検討する旨を伝え、1回目の団体交渉は終了となりました。
団体交渉②
2回目の団体交渉では、組合側の上記要求事項について回答しました。
そして、本件の解決スキームに従い、労働者の休業の取扱いに関する主張には法的根拠がないことを主張しました。他方で、会社が団体交渉を拒否したことには法的問題があり、これに対して一定の解決金を支払うという内容の和解案を提示しました。
労働組合はこの和解案に理解を示しましたが、労働者が自己の主張が認められないことに強い不満を抱いていました。そこで、組合側から、2回目の団体交渉はこれで終了とし、次回の団体交渉を開催するかどうかは会社側に追って連絡するということになりました。
任意交渉
2回目の団体交渉終了から2週間後、労働組合から連絡がありました。内容としては、労働者の要求事項に一定程度会社が応じるのであれば、団体交渉を終了してもよいというものでした。労働者からの要求は当初の要求から大幅に譲歩した内容であったため、会社代表者と相談のうえ、その要求を受け入れて団体交渉を終了させることにしました。
第3 解決のポイント
組合対応には法的知識が不可欠
組合対応には法的知識、特に労働組合法の知識が必要不可欠です。労働組合法はかなり昔に制定された法律ですので、現在の感覚とかけ離れている部分があります。今日では労働組合の組織率も低下しており、労働組合法に対する法的知識を有している会社は決して多くありません。
組合対応は弁護士にすぐ相談!
そこで、組合対応は労働組合法に精通した弁護士に相談するのが得策といえます。組合対応は初動が非常に重要であり、本件も労働組合から団体交渉を要求された段階で弁護士にご相談をいただければより早期に解決できた事案といえます。
「組合対応は弁護士にすぐ相談!」ということを知っていただけたら幸いです。