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相談事例

元従業員からの残業代請求事件

  • 労働問題

弊所で受任した元従業員からの残業代請求事件についてご紹介します。

事案の内容としては、会社の元従業員が弁護士を通じて、未払残業代を請求してきたというものです。元従業員は会社とたびたびトラブルを起こしており、会社はその対応に苦慮されていたとのことです。

解決までの道筋

本件の方針

代表者と面談を実施し、本件の方針について協議しました。
代表者の話によれば、会社では従業員に対して固定残業代を支給しており、未払残業代は存在しないとのことでした。

しかし、世間一般でよく誤解されているのですが、「固定」残業代は「定額」残業代ではありません。すなわち、固定残業代の有効要件を満たしたとしても、労基法上計算した残業代がその固定残業代の範囲を超える場合には会社に残業代支払義務が生じるということです。

そして、会社が保有する本件に関する資料を精査したところ、固定残業代の範囲を超える未払残業代の存在が確認できました。ただ、残業代請求の一部については、実際は労働していないにもかかわらず労働時間に計上されていました。

そこで、弊所は、代表者に対して、①固定残業代を支払っているから未払残業代は存在しないという主張は本件では認められない可能性が高いこと、②残業代請求の一部については労働の実態がないので、その部分についての残業代を争うという方針をご提示したところ、代表者もこの方針で進めたいとのことでした。

交渉

相手方弁護士に対して受任通知を送るとともに、残業代請求の根拠となる資料一式を弊所に郵送するよう指示しました。
郵送された資料を確認したところ、やはり残業代請求の一部については労働の実態が確認できませんでした。代表者や従業員にヒアリングしたところ、その時間帯について労働をしていることは考え難いとのことでした。

そこで、弊所は、相手方弁護士に対して、残業代請求の一部については労働の実態が確認できないことを主張するとともに、早期解決を前提に、請求金額から多少減額した額を解決金として提示しました。

しかし、数日後、相手方弁護士から、「こちらとしては残業代請求のすべてについて労働の実態があったという認識である。この点について交渉をしても解決は困難であるから、訴訟を提起する」との連絡がありました。
代表者に確認したところ、相手方の提示してきた金額で和解する意思はなく、訴訟で争って欲しい旨のご要望を受けました。

訴訟

交渉決裂から数か月後、元従業員から残業代請求訴訟が提起されました。
元従業員は交渉時よりも請求金額を増額してきました。
このような手法は残業代請求事件ではよく見られることです。すなわち、交渉段階では訴訟段階よりも低い金額を提示することで早期解決を図り、交渉が決裂して訴訟に至った場合には交渉よりも高い金額を提示するという手法です。残業代請求事件では、このような手法を意識して、交渉で解決するか訴訟で解決するかを見極める必要があります。

本件では証拠の数が膨大であったため、1回の期日で審理する範囲に限界がありました。そのため、訴訟提起から1年程度審理が継続しました。
このように、残業代請求事件は証拠の数が膨大であることが多いため、審理が長期化する傾向にあります。残業代請求権の時効は本記事の執筆時点では3年ですが、今後5年に延長されることが見込まれています。そうなると、証拠の数がより膨大になるため、審理がより長期化することが予想されます。審理が長期化するデメリットとして、①訴訟対応により本来の業務が圧迫されること、②他の従業員に残業代請求訴訟の存在が明らかになる可能性が高まること、③弁護士費用がタイムチャージの場合には弁護士費用が増大すること、④M&Aの際に買収金額に不利に働く可能性があること等が挙げられます。そのため、訴訟による解決を選択する場合には、このようなデメリットがあることも考慮しなくてはなりません。

和解による解決

訴訟提起から約1年後、裁判所から、本件に関する和解案が提示されました。その内容としては、①原告の請求は基本的には認められるが、被告の指摘するとおり、一部労働の実態について疑義のある部分が存在すること、②もっとも、その部分に関する被告の労務管理が十分であるとはいえないから、その部分のすべてについて残業代が発生しないとするのは妥当ではないというものでした。提示された解決金は、原告主張の請求額よりも相当程度減額されたものでした。

弊所としては減額幅に不満はあったものの、会社側に有利な和解案であったため、十分検討できる和解案だと思いました。
代表者に和解案をご確認いただいたところ、和解案の内容については納得されていましたが、和解案の金額を一括で支払うのは会社の財政状態から困難であるから解決金を分割払いにして欲しい旨のご相談を受けました。会社は新型コロナウイルスによる影響で売上が激減し、今期は赤字決算が確実とのことでした。
そのため、弊所は、解決金金額を支払うことを前提に、裁判所及び相手方弁護士に会社の財政状態を丁寧に説明して、和解額の分割払いを提案しました。
相手方弁護士から分割払いに応じる代わりに解決金の頭金の額を上げて欲しい旨の要望があったため、頭金の額のみ変更になりましたが、基本的にはこちらの提案を通る形になりました。
こうして、交渉開始から約2年、訴訟提起から約1年半を経て、本件は訴訟上の和解で解決することになりました。

解決のポイント

残業代請求は弁護士にすぐ相談!

これまで見てきたとおり、残業代請求の対応は、法的知識はもちろんですが、様々な事情を総合考慮して対応する必要があります。そのため、残業代請求を受けた場合はすぐに弁護士に相談されることをお勧めいたします。特に、労働者側に弁護士が就いた場合には、訴訟まで見据えて受任しているのが通常ですので、いち早く弁護士に相談されることをお勧めいたします。本件も早期にご相談をいただけたので、当初から戦略的に活動することができ、最終的に会社側に有利な解決をすることができました。

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