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相談事例

事案の概要 従業員が一斉退職し雇用主に過大な慰謝料請求をした事例

  • 労働問題

相談内容

ご相談いただいた動物病院では、獣医師・動物看護士を含め4人の従業員が勤務していました。ある時期、従業員4人のうち3人が同じタイミングで突然退職し、退職後間もなく今までのパワハラ行為に対してうつ病を患ったから治療費と慰謝料を請求するとの通知を送付してきたという事案になります。
依頼者は、急な退職により従業員が不足し混乱を極める中、長年ともに働いてきた仲間から心当たりのないパワハラという主張を突き付けられました。精神的にも苦しい状況にあり、どのように解決すれば良いかとのご相談でした。

解決までの道筋

セクハラ・モラハラ・アルハラetc.近年では様々な行為が「ハラスメント」であると耳にすることがあります。こうしたハラスメント行為を理由に慰謝料を請求するケースが増えていますが、パワハラ(=職場内の優位性を利用した、主に社会的な地位の強い者による、自らの権力や立場を利用した嫌がらせ)についても慰謝料請求の根拠となり得ます。
ここで、そもそもどのような場合にパワハラに基づき損害賠償請求が認められるのかご説明したいと思います。

①ハラスメント行為の存在の立証

まずはハラスメントを主張する被害者が、ハラスメント行為が行われたという事実を証拠によって立証する必要があります。一般的にハラスメント行為は、職場という外部からは認識し難い空間におけるやり取りであることが多く、行為の存在を裏付ける証拠の提示が必須となります。双方の供述、録音・録画データや日記やメモの記載、第三者の証言等が証拠になります。

②行為の違法性

次に、問題とされる行為が損害賠償の根拠となるには、当該行為が許容される限度を超えた違法なものであると認められる必要がります。違法性は、被害者の主観的な感情から判断されるものではなく、当事者の職務上の地位・関係、行為の場所・時間・態様、被害者の対応等様々な事情を考慮して判断されることになります。
職場で業務にあたる際、時と場合によっては厳しい指導が必要となる状況も少なくないかと思います。雇用主や上司の行為が適切かつ必要な「指導」であるか、指導の域を逸脱した嫌がらせや罵倒に当たるのか見極める必要があります。

③損害と因果関係

ハラスメント行為を理由に損害賠償請求を行うとき、明確な損害が発生しており、その損害がハラスメント行為に起因しているという点の立証も必要になります。
まず、当人が精神的に苦しい、辛い、悲しいという思いをしただけでは損害として認められにくく、ほぼ金額に結びつきません。そのため、精神疾患の発症や自殺等、明確な結果の発生の有無が重要になります。
また、業務以外にも抱える心理的負担が大きいと認められる場合は、被害者に生じた結果が業務によるものでないとされる可能性があるので、業務に起因すると言えるかもポイントとなります。

以上のとおり、パワハラを理由に損害賠償請求を行う場合、超えなければならないハードルがなかなか多いと言えます。
逆に雇用主や上司の立場から考えると、円滑な業務や取引先との関係、人材育成の観点から部下を指導することや注意することは不可欠なことであり、このような行為が全てパワハラとして認定されていては問題です。
したがって、今回のご相談においても、そもそもパワハラ訴訟によって損害賠償が認められるようなケースに当たるのか、訴訟はともかく交渉段階においてどのような解決を図るべきかという判断が重要な点でした。

解決のポイント

1 パワハラの事実の有無

適切な紛争解決策を図には、パワハラの事実の有無を正確に検討することが大切です。結論から述べると、今回のケースでは、元従業員である相手方らの主張は抽象的・感情的なものが多く、適時されるエピソードも上司・部下の関係上必要な指導にとどまるものと言え、こちらのパワハラを立証するには到底足りるものでないと思われました。

2 リスク回避と和解

本件では元従業員側が、紛争調整委員会のあっせん制度を申し立てていました。紛争調整委員会のあっせん制度とは、紛争当事者の間にあっせん委員が入り、紛争の調整、話合いを行うことで和解による解決を目指す制度です。

1で述べたとおり本件は、相手方の主張や依頼者からの聴き取りから考慮してもパワハラが認定される可能性は極めて低いと考えられるケースでした。そのため、あくまでも調整・話合いの場であるあっせん期日に参加せず、パワハラ主張は事実無根であると一切の交渉を拒否するという方針も採り得たかと思います。
しかし、パワハラが認定される可能性が低いと言っても、複数人が同時期に退職したという事実は不利に働くおそれがあること、仮に訴訟を提起された場合は長期にわたり訴訟対応せざるを得ないこと、その間ストレスを感じ業務に支障が出ること等を考えるとリスク回避の観点からある程度相手方の主張に歩み寄り和解するという方針を採るべきと考えました。

解決結果

一人当たり200万円を超える請求を行っていた相手方に対し15万円を支払うことで、ご相談をいただいてから3ヶ月という期間で解決に至ることができました。現在はトラブルなく業務に集中できているとのことです。

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