自分と同じ嗅覚と感性を持った後輩を育てるためのツールでもあるが、
現場の各部門に法的リスク対応の自覚とやる気を与えるツールにもなる。
手柄を与えたことを当然と思われるのではなく、
感謝されるように持っていくことがポイント。
【解説】
「法務の技法」からの引用ですので、
法務の手の内を明かした表現です。
けれど、
基本的な考え方は、
普通のビジネスでこそ活用できるはずです。
私が法律事務所に入所したとき、
何でも仕事を押し付けてくる先輩がいました。
けれども、
クライアントへの説明の際、
こいつがやったんですよ、
と露骨に褒めてくれました。
最初は、
仕事を押し付けた償いなのだろう、
と反発していました。
そんな気持ちが出てしまったのか、
少し雑な仕事をしたときです。
先輩は怒るのではなくがっかりしながら言いました。
お前にやらせたのを手直しするより、
最初から自分でやった方がずっと早いんだ。
だけど、
お前にやらせてるんだ。
頼むから、
応えてくれよ。
先輩は、
やせ我慢して手柄を与えてくれていたのです。