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企業法務に関するコラム

ネット販売の注意点

  • 企業法務

はじめに

コロナ禍において市民の行動が大幅に制限された結果、インターネットを利用して商品やサービスを販売する企業が増えています。

しかしインターネット販売は実店舗販売とは異なった法規制があります。

適用される法律

インターネット販売で特に注意して欲しいのは、以下のの2つの法律です。

  1. 特定商取引法(正式名称「特定商取引に関する法律」、以下「特商法」といいます。)
  2. 景品表示法(正式名称「不当景品類及び不当表示防止法」、以下「景表法」といいます。)

特商法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。

景表法は、消費者に誤認される不当表示を規制し、また過大な景品類の提供を防止することにより、消費者が適切により良い商品やサービスを選べるようにすることを目的とする法律です。

もちろんそれ以外にも、消費者契約法、電子契約法、製造物責任法など様々な法律が、消費者保護を目的として事業者に規制をかけています。

インターネット販売をするにあたっては、これらの規制を適切にクリアしておくことが必要です。

特商法

広告記載事項(特商法11条)

インターネット販売で一番気を付けて欲しいのは、「広告記載事項」です。

インターネット販売では、消費者はネット上の記事である「広告」をみて商品を購入するかどうか判断します。

そこで特商法は、消費者が適切に判断できるための情報提供を求めるため、原則として以下の事項を記載するように義務付けています。

販売価格

「希望小売価格」などではなく、消費者が実際に支払う価格である「実売価格」を記載する必要があります。

また、消費税も込みで表示しましょう。

送料・その他負担すべき金額

消費者が負担する場合は金額を具体的に記載しなければなりません。

「送料実費負担」といった記載では具体性に欠け不適切とされています。

また「代引手数料」なども項目を明示し、具体的な金額を記載しましょう。

代金の支払時期・方法

これも具体的に表示する必要があります。

支払方法が複数ある場合は、すべて記載する必要があります。

なお、前払いにした場合は、特商法13条に注意が必要です。

商品の引渡時期

商品の発送時期(または到着時期)を明確に表示してください。

返品特約

返品特約の記載がない場合、消費者が商品を受け取った日から8日間以内は、自由に契約解除(返品)されてしまう可能性があります(送料は消費者負担)。

事業者の連絡先・責任者の氏名

名称(個人の場合は氏名)、住所、電話番号、責任者の氏名の記載が必要です。

誇大広告等の禁止(特商法12条)

「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」は禁止されています。

オプトイン規制(特商法12条の3,同4,同5)

電子メールやFAXによる広告は、消費者があらかじめ承諾しない限り送付してはいけません。

消費者の意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止(特商法14条)

例えば、あるボタンをクリックすればそれが有料の申込みとなることを、消費者が容易に認識できるように表示していないと本条に違反することとなります。

※電子契約法でも規制されており、このような場合は契約が無効になり得ます。

罰則等

これらの規制に違反した場合、業務停止命令(特商法15条)や業務禁止命令(特商法15条の2)などの行政処分のほか、罰則の対象にもなります。

景表法

不当表示の禁止(景表法5条)

事業者側に故意・過失がなかったとしても違反となりますので注意が必要です。

優良誤認表示の禁止

商品やサービスの品質、規格などの内容について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく優良であると消費者に誤認される表示は優良誤認表示として禁止されています。

例えば、「有名ブランド和牛の肉であるかのように表示・販売していたが、実はただの国産牛肉だった」といったものが優良誤認表示にあたるとされています。

有利誤認表示の禁止

価格などの取引条件について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく有利であると消費者に誤認される表示は有利誤認表示として禁止されています。

例えば、「地域最安値と表示したが、実はそうではなかった」といったものが有利誤認表示にあたると考えられます。

景品類の制限(景表法4条)

景品による競争がエスカレートすると、事業者は商品やサービスの内容での競争がおろそかになり、消費者の不利益につながっていくという悪循環に陥りかねないことから規制されています。

クローズド懸賞

商品の購入を条件とする懸賞の場合は、提供できる景品類の価格の最高額は10万円かつ取引価格の20倍を超えてはいけません。

従って100円のお菓子の景品の最高額は2000円、20万円の貴金属の景品の最高額は10万円となります。また、景品の総額は売上予定額の2%までに抑える必要があります。

総付(べた付け)景品

商品購入者全員に提供する場合、取引価格が1000円未満の場合は景品の額は一律200円まで、取引価格が1000円以上の場合は取引価格の20%までとなります。

オープン懸賞

商品の購入とは無関係なため、景表法上の規制はありません。

罰則等

消費者庁から措置命令がだされることになります。

また、特に不当表示の禁止に違反した事業者には課徴金が賦課されます。

まとめ

今回記載したのはインターネット販売で注意しなければならない規制のごく一部です。

販売する商品やサービス、販売方法等によってさまざまな規制がかかってきますし、例外などもあります。

違反した場合のペナルティは軽くはありませんので、一度、しっかりと確認しておくことをお勧めいたします。

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