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企業法務に関するコラム

事業承継で早期対策が必要な理由

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事業承継をするときには、「早期の対策」が非常に重要です。タイミングが遅れれば遅れるほどトラブルのリスクが高まりますし、事業承継を終えるまでに前の経営者の判断能力が失われたり死亡したりするリスクがあるからです。 今回は、事業承継で早期対策が必要な理由をご紹介します。

1. 事業承継には長い期間が必要

会社経営者の方が「事業承継」を検討するとき、自分が弱ってきて「いよいよ次の承継者に譲らなければ」という気持ちになってから始めれば良いと考える方が多いです。 しかし、このような考えでは事業承継を成功させにくいです。事業承継には非常に長い時間がかかるからです。 たとえば長男などに会社を継がせる場合、長男が経営者として未熟であれば、引き継がせるのに10年かかるケースも珍しくありません。 従業員や幹部に承継させるとしても人選の問題がありますし、M&Aを行うとしても相手先の選定や契約などにかかる期間を考えると、数年単位で検討する必要があります。拙速に手続きを進めると、損をしたり後悔する結果になってしまったりするものです。 このようなことを考えると、事業承継は経営者が元気で事業経営にまったく支障を感じていない時点で開始する必要があります。 「しんどいな」、と感じ始めてからでは間に合わない可能性が高くなります。

2. 多彩なスキームから選択できる

事業承継をするときには、さまざまなスキームを利用できるので、ケースに応じた適切な選択をすべきです。しかし、事業承継を開始する時期が遅れると、とりうる選択肢が少なくなってしまいます。 たとえば経営者が高齢となり早期に事業承継を終えなければならないとすると、未熟な長男などに承継させる時間が足りず、最終的にM&Aで会社を売るしかなくなる可能性もあります。 また、早い段階なら株価が下がった段階で株式を生前贈与する、会社の内部留保が少ない間に処分するなど、様々な方法が考えられたかもしれませんが、ゆっくり対策できなくなると、そういった方法はとることができなくなり、高額な相続税、贈与税、所得税が発生するケースも考えられます。 早期に検討を開始するとそれだけ選択肢が広がるのでメリットが大きくなります。

3. 軌道修正できる

事業承継を進めるとき、途中で方針転換しなければならないケースがあります。 たとえば、当初は長男に会社を継がせようと思っていたけれども、長男が経営に向いていないので他の子どもに経営権を譲ろうと考えることもありますし、会社を継いでくれると思い込んでいた子どもが「継ぐ気がない」と言い出して、別の後継者を探さねばならないケースもあります。 信頼できる部下や役員に承継させようと思っていたけれども、いざ承継に取りかかろうとすると周囲からの反発があって断念せざるを得ないケースもありますし、本人にその気がない場合もあるでしょう。会社の経営権譲渡と引換に金銭的負担を求めたい場合、支払いができないので従業員承継を諦めることもあります。 M&Aを進めようと思ったけれども良い相手とマッチングできない事態も考えられます。 このように、想定していなかった問題が起こってそれまでの方向性を転換しなければならないとき、時間がなかったら対応できません。 適当に会社を投げ売りするか、事業承継が中途半端なまま前経営者が亡くなって会社が傾いてしまうかのどちらかになってしまう可能性が高いです。 そのようなことのないようにするには早期対応が必要です。

4. 慎重に対応できる

事業承継は、大切な会社の運命を決める大切な作業ですから、納得できる方法で進めていく必要があります。 しかし時間がなかったら、判断を急がされて間違った判断をしてしまう可能性があります。結果として「こんなはずではなかった」ということになるでしょう。事業承継によって「本当にこれでよかった」と納得できる結果を得るためには、早期に対応を開始することが重要です。

5. トラブルになりにくい

経営者が事業承継に取り組まないまま時が過ぎていくと、周囲がやきもきして「そろそろ事業承継を考えた方が良いのでは?」と言い出すことがあります。しかし経営者が素直に聞き入れられず、「私はまだまだやれる」と言い返してトラブルになってしまう例があります。 たとえば長男が親に経営権の移譲を打診したところ、親が「私を追い出そうとしているのか」などと言い出して、反対に長男を追い出そうとして社内対立が起こるパターンです。 早期に経営者自ら事業承継に取り組んでおけば、このようなトラブルにはなりません。

6. 途中で頓挫しにくい

事業承継の開始が遅れると、承継手続きが終わる前に前経営者が倒れてしまう可能性があります。そうなると、スムーズに承継ができず、経営者が空席になってしまって会社経営が非常に困難となります。空白時期が続いたために、将来的な見通しは明るく業績が好調なのに、現金不足により支払い停止で倒産に至るなんてケースもあるので注意が必要です。そのようなことにならないよう、早期に事業承継を開始すべきです。

以上のように、事業承継を進めるときには、なるべく早期に開始する必要があります。まずは何からすれば良いのかわからない場合でも、弁護士が最適な方法をアドバイスいたします。

以上

監修者
弁護士法人キャストグローバル 企業法務担当
〒101-0054 東京都千代田神田錦町2-11-7小川ビル6階
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