クレーマーから「弁護士の知り合いがいる」等と言われた場合の対処方法
企業がクレーマー対応をするとき、相手から「弁護士の知り合いがいる」「弁護士に相談している」「弁護士が正当な主張だと言っている」等と言われるケースがあります。 そのようなとき「弁護士に依頼されたら大事になる」「裁判されるかも知れない」などと考えて焦ってしまわれる企業の担当者の方も多いのですが、冷静になれば恐れる必要はありません。 今回は、クレーマーから「弁護士の知り合いがいる」等と言われた場合の考え方と適切な対処方法について、解説します。
1.弁護士がついたからといって、相手が正しいとは言えない
クレーマーから「弁護士の知り合いがいる」「弁護士に相談する」などと言われると、気が動転してしまうものですが、ここで1つ考えていただきたいのは「なぜ、弁護士に相談されたらこちらが困るのか?」ということです。 それは、一般の方が「弁護士」と聞くと、「相手の言い分に筋が通っているのではないか?」「裁判されるかもしれない」と考えてしまうからです。 しかし、相手が弁護士に依頼したからと言って、相手が正しいということにはなりません。 世間では多くの裁判が起こっていますが、弁護士がついていても負けている事例がたくさんあります。裁判では原告と被告の両方に弁護士がつくことが多いですが、判決が出ると原告か被告のどちらか一方は負けるわけですから、敗訴した当事者の代理人弁護士は言い分が通らなかったということになります。 また、相手が弁護士に依頼したからと言って,必ずしも裁判になるわけではありません。 弁護士がつくと、代理人として「交渉」をすることにより、トラブルが解決できる事例も多いからです。 そこで、「裁判になる」と思って構える必要もまったくありません。 裁判になったとしても、こちら側が勝訴する可能性も十分にあるのです。
2.実際には弁護士に相談しないケースも多い
相手が「弁護士に知り合いがいる」「弁護士に相談している」と言ったからと言って、本当に弁護士に知り合いがいたり、対応を依頼したりするとも限りません。そもそも、駆け引きに使っているのみで、弁護士の知り合いがいない、相談していないということも多いと思われます。 悪質クレーマーは、企業にプレッシャーを与えるために、実際には心当たりがなくても「弁護士」を引き合いに出しているケースがたくさんあるためです。 そこで、相手が「弁護士」と言ってきたときには、一度「どこの何という弁護士ですか?氏名と連絡先、法律事務所名を教えてください」と言ってみましょう。相手に本当に知り合いの弁護士がいれば回答してくるでしょうけれど、たいていのケースでは「答える必要がない」などと言ってくるものです。それは、実際には心当たりの弁護士や、相談している弁護士など存在しないからです。 以上のようなことから、クレーマーが「弁護士」と言ってきても、企業担当者が焦る必要は一切ないと言えます。
3.弁護士がついたら、お互いに冷静に話ができる
もしも相手が本当に弁護士に対応を依頼したら、どのような状況に発展するのでしょうか? 多くの場合には、相手の弁護士から通知書が届きます。 そして、その後はその件についてのすべてのやり取りを、弁護士を通じて行うことになります。つまり、クレーマー本人と話をすることはなくなります。 弁護士はクレーマー本人のように、企業を恫喝したり強迫したりしませんので、かえって冷静に落ち着いて話を進めていくことができます。 相手の言い分に法的な理由がない場合には、相手の弁護士が依頼者である相手本人に対して「それは無理ですよ」と説明することもあります。 つまり、相手に弁護士がついた方が、むしろまともな話し合いができて、妥当な解決を目指しやすくなる可能性があります。
4.相手に弁護士がついたら、こちらも弁護士をつけるべき
相手に弁護士がついた場合、弁護士は法律知識を駆使して責任追及してきます。 相手が完全な悪質クレーマーであれば弁護士も追及のしようがありませんが、クレーマーの言い分にも一応理由がある場合などには、合法的な方法により理詰めで責められ、企業側が不利になってしまう可能性もあります。 そのような場合には、対応する企業の側としても弁護士を立てることをお勧めします。 そうすれば、弁護士同士が話し合いをすすめて、法律的に妥当な内容で解決することができるからです。 また、弁護士が代理人になれば、企業がクレーマーに対応する必要がなくなるので、経営に専念することも可能となります。 以上のとおり、冷静な対応をしつつ、対応に困られたら、当事務所にご相談ください。