クレーマーからの電話に対応するときのポイント
企業がクレーム対応を行うとき、しつこい電話に辟易する事例が多いです。 悪質なクレーマーからの電話が続いて困ってしまったときには、どのように対応すれば良いのでしょうか? 今回は、クレーマーからの電話に対応するときのポイントについて、解説します。
1.悪質クレーマー電話のパターン
企業に対して悪質クレーマーから電話がかかってくる場合、どのようなパターンがあるのでしょうか?まずは、よくあるクレーム電話のケースをご紹介します。 ●時間に関係なく、早朝や夜間、担当者が不在と伝えても、一方的に電話をかけてくる ●一日に何度でもしつこく電話してくる ●いつまでも電話を切らせてもらえない ●大声で怒鳴る、恫喝する、脅迫する ●「上司を出せ」「社長を出せ」と言ってくる ●上部団体や親会社などの無関係な別機関に電話する このようなクレーム電話がかかり続けると、企業の担当者も時間を割かれ、疲弊します。また、不適切な対応をすることによってトラブルが拡大してしまう例もあります。 クレーム電話に対応するときには、きちんと企業内で対応方法を整備した上で、研修を受けた担当者が適切な方法で対応すべきです。
2.なるべく冷静な雰囲気を作る
クレーマーの中には、感情を爆発させて担当者を罵倒してくるものがあります。 そういったタイプのクレーム対応では、冷静に話ができる雰囲気作りを試みましょう。 ただし「落ち着いてください」などと言っても相手は余計に感情的になるだけです。そこで、相手の気持ちを尊重し、共感する態度をとることが大切です。たとえば「おっしゃることはわかります。詳しくお伺いしたいので、お聞かせ下さい」などと言ってみると、相手も「自分の話を聞く気がある」と考えて気持ちが落ち着く例があります。 また相手の気分が収まらない場合、タイミングを見て上司に取り次ぐなど、対応者を変えることが効果的であるケースもあります。 ただし、理由や説明なしにコロコロ対応者が変わるとかえって不信感を煽り逆効果になりますから、対応者を変えるのであれば「責任者である上司がお話を伺います」など、理由を説明すべきです。
3.無理な要求に応じない
企業のクレーム対応の担当者が謝罪すると、クレーマーによっては「今からすぐに、家に謝りに来い」など無理な要求をしてくるケースがあります。 そのようなとき、担当者によっては焦って「はい、すみません。」などと言ってしまうこともあるものです。 しかし、相手の無理な要求は拒否しなければなりません。クレームが来たからと言って、何もかも一方的に相手による要求に対応しないといけないわけではないのです。 悪質クレーマーの場合、いったん不当な要求に応じたら、その後要求がエスカレートしてしまうことも多いので注意が必要です。 当初の段階から「無理なものは無理です。」と毅然とした態度をとりましょう。
4.個人の連絡先を開示しない
クレーマーによっては、企業のクレーム対応の担当者の個人的な連絡先を確認しようとするケースがあります。たとえば、名前や電話番号、住所などを聞き出そうとするのです。 しかし、担当者が個人情報を開示すべき義務は無いので、このような要求に応じてはいけません。義務がないのに脅迫行為によって無理に個人の電話番号や住所を聞き出す行為は刑法上の強要罪にも該当します。 いったん個人の携帯番号を教えてしまったら、早朝深夜、土日祝日にも関係なく何度でも電話がかかり続ける可能性がありますし、個人的に金銭請求されてしまうおそれもあります。そうなると、個人情報を漏らした企業にも、責任が生じてきます。 万一そのようなことになってしまったら、すぐに弁護士や警察に相談しましょう。
5.弁護士に対応を依頼する
企業が特定のクレーマーからの電話対応に困ってしまったときには、弁護士に対応を依頼することが効果的な解決策となります。 弁護士が企業の代理人となれば、そのクレーマーとの関係ではすべて弁護士が窓口になって対応するようになるためです。 電話も弁護士にしかかけてはいけないルールになるため、弁護士が対応を開始すると、それだけで電話がかかってこなくなるケースも多いです。万一ルールを破られて企業に直接電話がかかってきても「本件は〇〇弁護士に依頼しているので、そちらにかけてください」と言って切ることができます。 このように、企業がクレーマーの電話に対応するときには、いろいろな注意すべきポイントがあります。適切な対応をとらないとトラブルが拡大する可能性もあるので、対応に迷われたならば、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。問題が大きくなる前にご相談頂けると、迅速な解決が見込まれます。