はじめに
2019年12月に始まった新型コロナウィルス感染症の拡大は、大きな波を何回も繰り返しながら、未だに完全収束の気配はありません。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う我々国民の生活の変化に伴い、消費者の購買行動に大きな変化がありましたことは皆様、実感されているところと思います。
そのような中、弊所の顧問先の中でもBtoCの商売をされている企業様などでは、インターネットを利用した販売(以下「ネット販売」といいます。)を開始・増加させていっているところも増えてまいりました。
ネット販売をするにあたっては、特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)や個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」といいます。)などによる規制のほか、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」といいます。)の規制を受けます。
特に最近はネット販売も参入者が多く、競争が激しくなってきています。
しかしながらその競争に勝ち抜くためのアイディアが法に抵触してしまっては元も子もありません。
今回は、そのうちの景表法について、ご紹介いたします。
景表法とは
そもそも景表法とは何でしょうか?
景表法は一般消費者の保護を目的とする法律です。
一般消費者は、誰もがより良い商品やサービスを求めます。ところが、本物の商品やサービスよりも良く見せかける表示が行われたり、過剰な景品を付けた販売が行われたりすると、一般消費者が合理的な判断をすることが難しくなり、実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまいかねません。
そこで、景表法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制(表示規制)するとともに、過剰な景品類の提供を防ぐために提供する景品類の上限額を設定(景品規制)することなどにより、一般消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に判断できる状態を保持しようとしているのです。
表示規制について
景表法は、一般消費者に誤認されるような不当な表示を禁止しています。
⑴ 優良誤認表示
商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示をいいます。
最近ですと、大手飲料メーカーの果汁ジュースについて、実際は2%しかメロン果汁を使用していないのにも関わらず大部分がメロンの果汁であるかのように表示していたとして、優良誤認表示と認められた事例があります。
⑵ 有利誤認表示
商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示をいいます。
例えば、他社商品の2倍の内容量と表示しながら、実際には同程度の内容量に過ぎなかったような場合が該当します。
⑶ 誤認させるおそれがある表示
誤認させるおそれがあり、かつ不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるもので、総理大臣が指定した表示が該当します。
これは、おとり広告や商品の原産国の表示など、6つの表示が指定されています。
景品規制について
景表法は、景品類の最高額、総額等を規制しています。
⑴ 一般懸賞
商品・サービスの購入者に対し、くじなどで景品類を提供する懸賞です。
この場合、1つ1つの景品類についての最高額は取引価額の20倍(10万円を超える場合は10万円)とされ、景品類の総額は売上予定総額の2%までとされています。
ですので、6000円の商品を2000個売る予定であった場合は、景品の最高額は10万円、景品総額は24万円以内ということになります。
⑵ 共同懸賞
商品・サービスの購入者に対し、くじなどで景品類を提供する懸賞ですが、複数の事業者が一緒に行う懸賞のことをいいます。商店会のくじ引き企画をイメージしていただければわかりやすいかと思います。
この場合は、取引価額に関わらず景品の最高額は30万円とされ、景品の総額は売上予定額の3%以内とされています。
⑶ 総付景品
商品・サービスの購入者に対し、もれなく提供する景品です。
この場合、取引価額が1000円未満の商品・サービスについては200円まで、1000円以上の商品・サービスについては、取引価額の20%までの景品を付けることができます。
⑷ オープン懸賞
商品・サービスの購入や来店を条件としないで行われる懸賞については景品規制はありません。
おわりに
景表法に違反したときは、行政から指導が入ったり、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除や再発防止策の実施などを求める措置命令が下されたり、課徴金の納付を命じられることとなったりします。せっかくの販促ですので、そのようなことにならないよう充分お気をつけください。
景表法規制の詳細かつ正確な内容は、変更される可能性もありますので、都度、消費者庁のホームページなどを参照されることをお勧めいたします。
もし、ご不明な点がございましたら、当弁護士法人キャストグローバルまでお気軽にご相談ください。
監修者
弁護士法人キャストグローバル 景表法担当
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