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企業法務に関するコラム

出来の悪い従業員を解雇したい

  • 企業法務

はじめに

出来の悪い従業員を解雇したい…

会社を経営する側からすると、いつかは必ず行き当たる問題です。

しかし、結論から申し上げますと、「出来が悪い」ということだけで従業員を解雇することは極めて難しいです。

強引に解雇してしまいますと、逆に従業員側から訴えられ多額の金員の支払いを命じられてしまうリスクがあります。

このようなリスクを回避するためにも、従業員を解雇したいと考えたときほど慎重な対応が必要となります。

従業員に辞めてもらうには

会社側の意向をうけて従業員に辞めてもらう方法は2つ考えられます。
一つ目は、解雇です。
二つ目は、合意退職です。

解雇は、会社の意向のみで、従業員の同意なく、会社を辞めてもらう方法です。法的にみると、会社と従業員の間の雇用契約を会社が一方的に解除する行為となります。
合意退職は、読んで字のごとく従業員と会社双方が合意して会社と従業員の間の雇用契約を解除するものです。

こうしてみると、会社の意向のみで従業員に辞めてもらえる解雇のほうが便利に見えます。
しかし、解雇には大きなリスクがあるのです。

解雇のリスク

解雇は、いわば「クビ」の宣告です。
感情的にも従業員がこれに反発し、トラブルになりやすいことは自明の理といえます。
また、解雇には「時効」のようなものはありません。解雇された従業員は、いつでも会社を訴えることができます。逆にいうと、会社はいつまでも訴えられるかもしれないリスクを抱え続けることになります。
そして、解雇が無効とされてしまうと、当該従業員の復職を認めなければならなくなるばかりか、それまでの給与も支払わなければならなくなる可能性があります(バックペイ)。例えば、月給30万円の従業員を解雇し、2年後に訴えられ、裁判で1年かかったような場合、30万円×12か月×3年の単純計算でも1080万円ものバックペイが発生する計算になります(しかも遅延損害金もつきます)。
もちろん、バックペイとは別に、精神的苦痛に対する賠償金等の支払いを命じられる可能性雄あります。

残念ながら、後述するとおり解雇のハードルは極めて高く、強引な解雇をしてしまうと解雇が無効とされてしまう、すなわちこのようなリスクが現実化する可能性が高いと言わざるを得ません。

現実的な手段として

このようなリスクを回避するためにも、辞めてもらいたい従業員がいる場合には、まずは合意退職を目指すべきといえます。
具体的には、会社側から辞めてもらいたい従業員に対して、退職勧奨を行うということになります。
退職勧奨をうけて従業員側も同意して退職するのであれば、解雇のときのように訴えられて多額のバックペイが発生するようなリスクは低減できると考えられます。
ここでは、あくまで退職の「勧奨」であって、「強制」ではないということに注意が必要です。
すなわち会社からの退職勧奨に対して、従業員側が理由を示すことなく自由に拒否することができる状態であったことが重要です。
逆にいうと、授業員側が拒否しにくい状況であったなどとみられてしまうと、事実上の解雇とされ、解雇の場合と同じようなリスクを負うことになってしまいます。
ケースバイケースではありますが、例えば当該従業員1名に対して大人数で囲むように面談したり、執拗に長時間・多数回に渡って退職勧奨を行ったりしたような場合には、「強制」と判断される可能性が高くなります。
また、退職に同意させようとするあまりに、過度に事実を誇張したり、嘘をついたりして退職に誘導するようなことも極めて危険です。

退職勧奨も、適切な手段・方法で行うことが重要です。

解雇

退職勧告がうまくいかなかったときに、初めて解雇という手段を検討すべきです。
本件のような場合に検討できるのは普通解雇と懲戒解雇の2種類の手段です。

普通解雇は期待された業務遂行能力がないことを理由とする解雇です。
このように書くと本件に一番フィットしそうに見えますが、単に能力不足というだけではなく、能率・能力が著しく不良であり、かつ、改善に向けた対処を実施していたにもかかわらず改善がなかったなどの事実が必要となります。
最近ですと、複数の業務上のミスや落ち度があり、かつ2回の懲戒処分を受けた従業員についても普通解雇を認めないとする裁判例があります(東京地裁R2.9.16判決)。

一方、懲戒解雇は、ルール違反をした従業員に対する罰としての解雇です。普通解雇でも簡単には認められないところ、懲戒解雇はきわめて重い処分ですから、よほどの特別な事情がなければ認められないと考えておいた方がよいです。
懲戒解雇をするためには、その内容が就業規則などでしっかりと予め定められていることが必要です。
また、懲戒するにあたって適正な手続きが取られているかどうかも重要です。
それでもなかなか認められないのが懲戒解雇です。

このように解雇を検討する場合は、どのような形で「証拠」を残すかということも重要です。

最後に

このように従業員に会社を辞めてもらうということは、内容・手続きともに判断が難しいうえに、リスクが大きいこともご理解いただけたのではないでしょうか。

顧問先企業様から相談を受けたときも、一番神経を使うのがこのような問題社員対応だったりします。

このような場合は、事案に応じて、時間をかけ、適切な手段・方法をとる必要があります。

早い段階から弁護士にご相談いただければと思います。

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