企業法務に関するコラム

合同会社設立のすすめ

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最近聞くようになってきた合同会社。何となく名前は聞いたことはあるけれど、株式会社と何が違うのだろう、と思われている方も少なくないと思います。しかし、アメリカではポピュラーなんです。LLCという言葉をきいたことないですか?合同会社のことです。我が国ではまだまだ認知度が高いとはいえません。 まだまだ株式会社がなんか信用できそうといったイメージがあるようですが、急速に合同会社が増えています。日本の有名な合同会社といえば、西友、アマゾン、アップルジャパンです。そもそも、合同会社は、有限会社がなくなって、代わりに出来た会社形態です。有限会社って、沢山ありましたよね、これから合同会社は、もっと増えていくものと予想できます。 これから起業されるという方は、将来的に上場まで考えておられるのでなければ、合同会社を検討されることをお勧めします。 では、具体的に株式会社と何が違うのか、個人事業とも比較しながら、合同会社の設立とその運営についてご説明したいと思います。

1.合同会社とは

合同会社とは、日本の会社法で認められている会社の形態の一つです。合同会社は、「Limited Liability Company」とも呼ばれ、頭文字を取って「LLC」とも呼ばれます。 我が国では、合同会社の形態を採用する企業はまだまだ少ないのですが、有名企業では、Apple Japan(アップルジャパン)や西友、P&Gマックスファクター、シスコシステムズ等が合同会社の形態を採っています。

2.合同会社の特徴

(1)出資者=経営者である

合同会社は、「出資者=株主」、「経営者=取締役」であって、所有者と経営者が分かれている株式会社と異なり、「出資者=経営者」という形態を採っており、所有者と経営者が一致しているという特徴があります。 日本においては、多くの会社が株式会社の形態を採用していますが、一般の株主が多数存在する上場企業とは異なり、中小企業においては、創業者や社長が株式のほぼ100%を保有しているという会社が多く、その意味では、中小企業においては、株式会社と合同会社の間にはあまり差はないといえます。

(2)利益配分が自由

また、合同会社においては、株式会社と異なり、利益配分を自由に決めることができるという特徴があります。株式会社においては、原則として株主に対する利益配分は、その株数(出資額)に応じて配分することになりますが、合同会社においては、利益配分を出資者でどのように分配するかは自由であり、出資比率は同じでも(または低くても)優秀な者には利益配分の比率を高くするなどの方法により、有能な人材を確保することが可能になります。

(3)決算の公告が必要ない

株式会社は、会社の規模にもよりますが、決算ごとに、貸借対照表等を、官報や新聞、インターネット等で公告しなければなりません。これに対し、合同会社においては、決算の公告は法律上求められていません。

3.合同会社の設立方法

合同会社は、定款を作成し、資本金を銀行に払い込んだ後、登記を行うことで設立することができます。会社設立の流れは株式会社と同様ですが、公証役場における定款の認証が必要ないこと、登記にかかる登録免許税が株式会社に比べて安いことから、株式会社よりも低額な費用で簡易に設立することが可能です。
また、合同会社の役員には任期がないことから、任期満了の際にいちいち役員の変更登記必要ありません(株式会社では、同じ者が再任する場合も登記が必要)。

4.合同会社の運営について

(1)ランニングコストが低い

前記のとおり、合同会社においては、決算の公告が必要ないことや、役員の任期が無制限なので任期ごとに役員の変更登記をしなくてもよいことから、運営にかかるランニングコストが少なくて済みます。

(2)迅速な意思決定ができる

合同会社では、出資者=経営者ですから、株式会社のように、重要な事項は株主総会に諮らなければならないということがなく、迅速な意思決定が可能です。
ただ、出資者の数が多い場合は、出資者の意見が一致せず、逆に意思決定がスムーズにいかない可能性があるので、出資者の中から業務執行役員を選任し、特に重要な事項以外は業務執行役員が決定できるようにしておく、という方法もあります。

5.個人事業との比較

合同会社は、設立にかかる費用やランニングコストが低いことから、個人事業主の方が法人化を検討する際の有力な選択肢となります。
特に、以下のような点において、個人事業よりもメリットを享受することができます。

  • 一般的に経費として認められる範囲が広くなる
  • 個人事業においては事業の利益に対して累進課税が適用されるのに対して、法人の場合は税率が一定である法人税が適用される
  • 一定の条件を満たせば、設立後2年間は消費税が免除される
  • 赤字を最大9年繰り越すことができる(個人事業の場合は3年)

6.合同会社設立のススメ

合同会社は、2006年の会社法改正によってできた会社の形態で、まだまだ日本でポピュラーとはいえませんが、有名企業で合同会社を採用している会社もあるほか、中小企業においても合同会社という形態を選択される方も増えてきています。特に、個人事業主の方が法人化(法人成り)する際には、手続きが簡易で費用も低額であることから、合同会社の設立を選択肢の一つとして検討されることをおすすめします。

以上

監修者
弁護士法人キャストグローバル 企業法務担当
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