相談事例

眉下切開法による上眼瞼リフトの失敗と責任を追及された事案

  • クリニック

眉下切開法による上眼瞼リフトをしたところ、釣り目になったきがする、肉を多くとりすぎたのではないか、という患者からのクレームが入った。感覚的な問題であるため、失敗ではないとお話しし、患者の希望を聞き、更に埋没法によって修正しようとした。しかしながら、それでも二重の位置や長さがおかしくなったということで、初めから失敗していたのではないかと責任を追及された事案です。

顔面への切開法ですから、傷跡をいかに目立たなくするかということ、また通常両目を同時にしますので、左右差をいかになくすが大切です。傷跡について、眉下切開法では、眉下の生え際ラインに沿って皮膚を切除するため、傷が眉ラインに沿うことになり、傷が目立たなくなります。より目立たなくする方法として、毛包斜切開によって、眉毛部分を斜めに切開し、毛根を痛めず切開し、傷跡部分から眉毛が生えてくるようにすることで、より傷跡は目立たせないようすることもできるようです。しかし、目の周りの状況から眉下切開法となりました。いずれにしても、傷跡は問題となっていません。

解決までの道筋

眉下切開法により、瞼のたるみを除去したのですが、たるみだけ綺麗にとることはかなり難しく、若干眉毛の位置も下がってしまう事になることが多く、眉毛と目の間隔が変化するため、外観が微妙に変化します。
それを見る人によって異なる見え方になり、本人からすると釣り目になったということでしょう。

そもそも、瞼のたるみは、目頭より目尻に多くあるのが普通です。ですから、目尻部分のたるみがなくなるために、釣り目に見えてしまうということがあります。これは、たるみをとることそのものの問題であるといえるのではないでしょうか。

程度の問題があるのですが、術前術後を並べて見比べても、たるみがなくなったこと以外はほとんど変わらず、釣り目になったとも言い難いかなとおもわれました。いずれにしても、ミスであるとはいえないという見解です。

解決のポイント

医療過誤といえるかが問題!

失敗(医療過誤)があったのではないかと、患者さんが主張してくることはままあります。特に、美容クリニックの場合は、病気の治療ではなく、外観を変えるものであり、患者さんにとっての成功とはなんなのかといわれると、患者さんのなりたい外観になるというもので、極めて困難な条件成就となることになります。
しかし、患者さんにとって成功ではなかったとしても、失敗ではないということが大切な捉え方です。医療過誤とまで言えるかというと、基本的には、本来あるリスクの範囲内といえるのであり、医療過誤とはいえません。

医療過誤でないといっても患者対応が重要!

そうはいっても、過誤ではないので、対応できませんと突っぱねるわけにはいきません。
患者に理解と納得させるよう努めることが必要です。
当たり前かもしれませんが、問題が起きないようにすることが大切。つまり、術前にどのように対応するかということです。同意書に署名いただくことは必須ですが、同意書の内容や医師からの説明方法がもっとも重要です。患者さんによっては、もう理想のあの姿になれると思いこんで、話を全然聞いておらず、何も考えずに署名していることも多いです。
術後、出来栄えの問題によって紛争になる可能性は常にあります。大切なことをはっきり言うと、患者さんの乗り気を奪うことなく、理想のみをいかに下げるか、患者さんの許容範囲を大きくするかが大切。マニュアル作成や対応方法作成をご支援させてもらいます。
また、美容クリニックの場合は、インターネットの口コミが大きな影響を受けます。したがって、インターネットで拡散しないよう、問題を小さいうちに、いかに早く終わらせるかが大切。当事務所としては、ご相談を受けてから、最悪の状況を想定し、訴訟リスクを検討した上で、両者納得いただける解決が出来ないかを検討しております。

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