相談事例

求人広告掲載料の請求は支払い拒否できる|裁判例と対処法を弁護士が解説

求人広告の「無料掲載」をうたう電話営業をきっかけに、後日になって高額な掲載料を請求される——そうしたトラブルのご相談が、当事務所には数多く寄せられています。本記事では、実際の相談事例をもとに、どのような手口で請求が行われるのか、請求を受けたときにどう対応すればよいのかを、弁護士がわかりやすく解説します。

1 はじめに|「無料」のはずが高額請求されるトラブル

求人広告のトラブルでは、広告会社が詐欺的ともいえる手口で契約させ、後から求人広告掲載料を請求してくるケースが見られます。

当事務所がご依頼を受けた求人広告掲載料の請求事案では、いずれも掲載料全額の支払いを拒否することができています。「請求書は届いたが、支払うべきか分からない」という段階でも、まずはご相談ください。

なお、求人広告を申し込む立場であるため、ご相談の多くは法人・企業の方からのものです。

2 よくある手口の流れ

ご相談を整理すると、多くは次のような流れで進みます(細かな点は事案により異なります)。

  1. 広告会社から電話がかかってくる……求人広告の掲載をすすめる営業の電話です。メールやFAXのこともありますが、電話から始まるケースがほとんどです。
  2. 「最初は無料」と案内される……不要と伝えても、「最初の2〜3週間は無料」「必要なければ更新しなければよいだけ」などと案内されます。電話口では「自動更新はない」と明確に言われることもあります。
  3. FAXで申し込む……無料で自動更新もないならと考えて申し込みます。送られてきた申込用紙・注意事項の書面に署名押印し、FAXで返信する方法が多く見られます。電話で「無料・自動更新なし」と聞いているため、書面の内容をよく確認せずに申し込んでしまう方が少なくありません。
  4. 無料期間の終了後に請求書が届く……FAXで掲載料の請求書が送られてきます。あるいは「期限までに所定の方法で解約しなかったため料金が発生する」という案内が届きます。解約方法が「解約用紙を郵送する」などに限定されていることが多く、事実上、解約しづらい仕組みになっている場合があります。
  5. 想定外の請求に驚いて相談される……聞いていた話と違う請求が届いたため、当事務所へお問い合わせをいただきます。

また、広告会社は「掲載した」と主張しても、実際には応募が来るような形にはなっていないことも多くあります。たとえば、知名度の低い自社サイトに載せるだけで、検索してもすぐには見つからない、といったケースです。

実際にあった相談事例は、無料求人広告のトラブル事例のページでも詳しく紹介しています。

支払う前に、まずは弁護士へ。初回相談は無料です。

3 請求を受けたときの解決方法

当事務所では、広告会社に対して支払いを拒否する書面を送り、「支払い義務がない」ことを前提に交渉します。

ただし、理由なく「払わない」と伝えても請求は止まりません。そのため、書面を送る前に、お客様から契約の経緯を詳しくお聞きします。

支払いを拒否できる理由の例としては、次のようなものがあります(どの理由が当てはまるかは事案によって異なり、これらに限られるわけではありません)。

  • 自動更新について、書面に書いてあるだけで口頭の説明と食い違っている場合、自動更新は合意になっておらず、無料期間で契約が終了していると考えられる。
  • まだ有料の掲載期間に入っていない場合は、契約を解除することで掲載料は発生しない。

4 求人広告掲載料の請求が否定された裁判例

求人広告掲載料の請求をめぐっては、裁判で請求が認められなかった事例があります。下記①・②は、いずれも広告会社からの求人広告掲載料の請求が否定された東京地方裁判所の裁判例です。「無料」と案内された求人広告で後日に掲載料を請求された場合でも、契約の成立や契約内容によっては支払い義務が否定され得ることを示すものといえます。

① 令和元年9月9日 東京地方裁判所判決(平成31年(ワ)第4528号)

3週間の無料掲載期間が過ぎても、所定の解約手続きをとらなければ、自動的に有料の掲載へ移行して1年分の広告料が発生する仕組みの契約でした。営業担当者は電話で「無料」であることばかりを強調し、有料へ自動的に切り替わることや高額な料金が生じる仕組みを説明しておらず、掲載サービスの実際の内容もはっきりしないものでした。

裁判所は、この契約は、無料掲載期間内に解約しなかった利用者から1年分の広告料を支払わせることだけを目的としたものといわざるを得ないとして、公序良俗に反し無効(民法90条)と判断し、広告会社の請求を退けました。

② 令和元年11月13日 東京地方裁判所判決(令和元年(ワ)第7890号)

無料での掲載自体には同意があったものの、有料で掲載する求人広告の内容について、利用企業が明確に了解していなかったケースです。広告業者は「2日以内に返信がなければ掲載原稿に同意したものとみなす」とする確認書をメールで送り、返信がなかったとして掲載を開始し、掲載料を請求しました。

裁判所は、求人広告の掲載契約では掲載する広告の内容が確定していることが必要不可欠であるとしたうえで、2日以内に返信がないことをもって企業が原稿に同意したとはいえないと判断しました。そのため、広告の内容が確定しておらず契約の効力は生じていないとして、求人広告掲載料の請求を退けました。

※上記はいずれも個別の事案に対する判断であり、結論は事案ごとの事情によって異なります。実際のケースについては弁護士にご相談ください。

5 弁護士費用について

求人広告掲載料の請求への対応にかかる弁護士費用は、請求額や交渉の経緯など、事案により異なります。当事務所では初回のご相談を無料で承っておりますので、まずは費用の見通しも含めてお気軽にご相談ください。詳しい費用体系は弁護士費用のページをご覧ください。

6 まとめ|請求が届いたら、まず確認したいこと

求人広告掲載料の請求で、とくに気をつけていただきたいのは次の3点です。

  • 申し込むときは、申込書などの書面の内容を必ず確認する。
  • 請求が届いた後、安易に減額に応じて「支払う」と約束したり、合意書を取り交わしたりしない。
  • 「何かおかしい」と感じたら、早めに弁護士に相談する。

すでにご自身で交渉して減額を提示された方や、いったん支払いの合意書を交わしてしまった方からのご相談も承っています。お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

その請求、支払う前に弁護士へご相談ください

「無料」のはずが高額な掲載料を請求された場合、支払い義務がないことがあります。実際に全額の支払いを拒否できた事例があります。

弁護士法人キャストグローバル|第一東京弁護士会所属|日本全国対応・オンライン相談可

以上

中島孝之 弁護士

弁護士法人キャストグローバル 虎ノ門事務所

中島孝之(第二東京弁護士会)

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